強敵との出逢い。
今回は常識的な話をしたいと思う。
前回はあまりにも酷いというご指南を頂戴した。私は心を入れ替え、至極まっとうな話題を選ぶことにする。
往時、それはだいぶ昔。私が年長さんの頃だから、かれこれ20年ほど前。
私はよくゲームセンターに入り浸たっていた。
5、6歳がゲーセンに入り浸るという表現は穏やかじゃないとおっしゃる方もあると思うが、本当なのだからしょうがない。
近所のゲーセンは、私にとっての託児所みたいなものだったのだ。(いや、親にとってだったのかもしれぬが)
当時のゲーセンは、かなり荒れていた。トイレでシンナーを吸ってるは、カツアゲは日常茶飯事だは、とてもかわゆい無垢な園児が立ちいって良い場所ではなかった。
しかし、これはあとになって(不良の溜まり場であったという事実が)わかったことであり、当時の私はゲーセンはとても楽しい場所だと思っていた。
その理由の一つに、お兄さんお姉さんたちが優しかったからだ。
メダルゲームをすれば、やり方、攻略法(主に不当)を教えてくれたし、メダルがなくなったら貰えた。
そして当時の私はアーケードゲームに並々ならぬ執念を燃やしていた。
毎日のように高校生を相手に対戦ゲームをし、修行僧のごとくストイックさで日々鍛錬した。その厳格さたるや、今でも毎日牛飲する大好きなリアルゴールドを断つほどであった。鍛えられたといっても、当然幾分かの手心を加えてもらっていた。
そして、"CAPCOM vs. MARVEL" のウルバリンで"らんらんランド"のランキング12位にランクインすると、急激に格ゲー熱が冷め、私はその熱をちがうゲームへと移し、ふただび青白い炎を燃やすことなる。
シューティング初プレイは衝撃だった。タイトルは不明瞭であるが、ゲーム開始早々たまらなく一瞬でコンティニュー。五十円を入れぇい!的な催促画面が映し出されたことに、脅威を覚えた。いや、もちろん格ゲーでも催促画面はある。あるのだが、あまりにも呆気ない瞬殺に、なんかゲーム機にお金をカツアーーー吸い上げられていくような感覚にすらなったのだ。これは子供がやっていいゲームじゃない、そう直感した。確か1945というタイトルだったか、沙羅曼蛇だったか、、、今となってはわからないが、ツインビーのようなお花畑的世界がシューティングゲームだと信じていた私はカミナリに撃たれたかの様な衝撃を受けた。
格ゲーの師匠たちですら、満足に1面をクリアできなかった。これはまずい。実にまずかった。何がまずいかって、こんなあっさりと爆死したら、お金がいくらあっても足りない。こちとら、お父さんの肩を毎日10分揉んで30円の駄賃である。死活問題に苦しんだ師匠と私たちは、とにかくシューティングゲームというものに慣れる必要があると考えた。
皆で持ち寄ったシューティングゲームのカセットーーーゼビウス、ツインビー、パロディウスーーーなどをゲーセンのテレビを拝借しプレイしまくった。楽しかった、みんなでワイワイ、ああじゃないこうじゃないと攻略法を言い合ったり、譲れぬ意地の張り合いに喧嘩になったりーーー当時の私はとても幼かったが、本当に至福の時であったと今でも思う。
結論からいって、他のシューティングゲームをクリアできたからといって他のそれをクリアできるかといったら、当然そんなことなかった。
お金を気にせず攻略法を考えられたのと違い、アーケードはお金がかかる。
まだ年長さんには背伸びが過ぎた。
師匠たちの集まりも悪くなるし、イライラして筐体を蹴っ飛ばしたら、「次やったら出禁」と厳格なおやじ店長に説教折檻された。もうシューティングに対する情熱もお金も底を尽きかけていた。
そろそろ潮時かと思った、、、その翌春。小学校に入学した私は、あるシューティングゲームにふただび熱狂することになる。
続