妹
俺は家のドアを開ける。
「ただいまー」
玄関に入りきった、タイミングで体に何かが抱きついてくる。
「お兄ちゃんお帰りー!」
元気な声でそう挨拶したのが、雨沙だということにすぐに気がついた。
抱きついてきた雨沙の姿を見てみると、髪をツインテールにしていた。
この時点で今週のあれがわかってしまう、今週は妹だと思う。
「お兄ちゃん先にお風呂入ってきちゃって」
なんだか少し危ない気もするが、まぁ大丈夫だろうそう心の中で、自己完結してお風呂に向かう。
お風呂から出てリビングに行くと、今日も今日とて美味しそうな料理が並んでいた。
いつもどおり机の前に座り、雨沙が来るのを待っていると、エプロンを外しながら雨沙がこちらに向かってくる。
机の前に座り手を合わせる、2人同時に。
「いただきます!」
そう言ってご飯を食べ始める。
食べ始めてしばらく経った頃、雨沙が喋り始めた。
「お兄ちゃん、雨沙が作った料理どう?」
若干上目遣い気味にそう言ってきた雨沙の顔は少し照れも入っているような感じだった。
俺は一言いつもどおりの感じで。
「うん美味しいよ」
そう言いながら雨沙の顔を見てみると、顔をむくっーと膨らませていた。
「それだけ?」
俺はそれだけとは? という表情をしてみた、すると表情を読みとってくれたのだろう。
「だからもうちょっと、感想無いのって聞いてるの!」
先ほどよりも怒りが強くなっているのだろうか、口調が強めになっていた。
「今まで食べた料理の中で、1、2を争うぐらい美味しいよ、うん本当に美味しい」
俺はとっさににでた言葉そのまま口に出した、すると雨沙の表情が怒りから、笑いに変わっていく。
今ので良かったのか? そう考えていると雨沙が。
「お兄ちゃんが語彙力ないの知ってたけど、頑張ってくれてありがとうね」
思わず撫でまわしたくなるような、可愛さだった。
こんな妹が現実にもいれば、人類みんな幸せになれるだろうに、現実の妹はと言えばもうね、そんなことを考えながらご飯を食べ進めていく。
ご飯も食べおわりいつもどおりソファーに座っていると、洗い物が終わった雨沙がもの凄い勢いで走ってくる、そのまま勢いで俺に抱きついてくる。
「お兄ちゃんかまってー!」
そう言われると俺はすぐさま、雨沙の頭を撫でた。
「よしよーしいつも色々家のことやってくれてありがとう」
そう言いながら俺は、雨沙の頭を撫で続けた。
「えへへー、お兄ちゃん撫でられるの気持ちいよ」
そうかそうかと俺は撫で続けていると、雨沙から次の要求をされる。
「お兄ちゃん次は膝枕して欲しいなー」
上目遣いでそうお願いされたら、断れるわけがなく、元から断る気もなかったが、いいよという合図で膝を叩く。
「ありがとうお兄ちゃん!」
そう言いながら雨沙は俺の膝の上に頭を乗せる。
ただ何をしたらいいのかわからず、俺はずっと雨沙の頭を撫でていた。
すると雨沙が喋りだした。
「お兄ちゃん雨沙ばっかりお願い聞いてもらってるから、次はお兄ちゃんが雨沙にお願いしていいよ」
突然のことだったので、考えてしまうお願いお願い、頭に思い浮かんだもの即座に言ってみる。
「じゃあ一言お兄ちゃん大好きって言って欲しい」
正直自分でも、少し引いてしまったが雨沙の表情を見てみると、そんなことでいいのというような表情をしていた。
「お兄ちゃん大好き!」
最後にお願いしてない、頬にチュっと言う音も聞こえた。
これはもう、ありがとうございますその一言に尽きた。
すると突然雨沙が、俺の耳元で囁きかけ始めた。
「この続きもいいよ、お兄ちゃん」
顔がものすごく暑くなってしまうが、冷静になって考えてみる。
今の属性で、この続きって色々危ない匂いしかしないけど大丈夫なのか? そんなことを考えていると、またしても耳元で。
「早くー」
そう言われると俺は今まで考えてたことを、放り投げ、自分の唇を雨沙の唇に重ねた。
しばらくした後に俺は、雨沙を抱きかかえながら寝室に向かう、その時抱きかかえた雨沙の体がいつもより軽く感じたがまぁ気のせいだろう。
その道中雨沙が。
「お兄ちゃん、雨沙お兄ちゃんに大好きって言ってもらってないよ」
そういえばと思い出し俺は。
「雨沙大好きだよ」
一言そう言って、寝室に入っていく。
こんにちはモクです。
現実の妹がこんなだったらどれだけ幸せだったか。