和服
12月31日午後11時59分俺はあと1分で年が明けるというタイミングで、家のドアを開けた。
「ただいまー、ギリギリ間に合ったよね?」
すると玄関には和服着て、正座をしている雨沙の姿があった。
雨沙は俺が帰ってきたのに気づくと、頭を1度下げ、顔を上げたタイミングで。
「おかえり晴太、あと20秒ぐらいかな?」
そう言い終わると雨沙は、テレビが置いてあるリビングに目を向ける。
テレビの画面には、カウントダウンをしている人たちが映っていて、右下には残り10秒と書かれていた。
そんなことを考えているうちにカウントダウンが、ドンドン進んでいく。
残り、3、2、1。
年が明けると同時に雨沙はこちらに目を向きなおし、抱きついてきた。
「ハッピーニューイヤー! 今年もよろしくね晴太」
雨沙の顔がとても近く少し照れくさくなってしまったが、それを隠すように返事をする。
「うんこちらこそ、今年もよろしくね雨沙」
そう言い終わると俺は、雨沙の顔を少しだけ離し、そっと唇を重ねた。
少しすると雨沙が。
「年も明けたし、お風呂入ってきちゃって」
雨沙に言われるがまま、俺はお風呂に向かう。
お風呂に入りながら、和服が今週のやつだと考考えをまとめる。
普段和服を着ない雨沙がネットで調べて、頑張って準備をしたのであろう、少し雑というか、失敗しているというか、そんな雰囲気が漂ってくる。
それだけ頑張ってくれた可愛い雨沙に感謝しつつお風呂を出る。
お風呂から出てリビングに行くと机に上にはそばが並んでいた。
そばって年越しだよな? もう年越しちゃってるけど大丈夫なのかな? そんなことを考えていると考えを見透かしているかのように雨沙が答え始めた。
「本当は年越しそばとして作ったの、朝家出るとき晴太今日は早めに帰るって言ったのに、いつもよりも全然遅かったから、もう年越しちゃってるけどそば食べてね!」
少し怒っているのか、いつもよりも口調が強くなっている。
年越しから喧嘩をするのも嫌なので、言い訳をせずに謝る。
「ごめんね雨沙、今回遅れちゃったのはまた今度何かで埋め合わせするから、許して欲しいな」
誠心誠意頭を下げて謝った。
すると雨沙は、何かを企んでいるかのような口調喋りだした。
「晴太が休みの日私の言うことなんでも聞いてくれるなら許してもいいよ」
まぁそれくらいならと一言。
「いいよ」
そう言うと雨沙は笑顔になり、早く食べよと言わんばかりに腕を引っ張って机に向かう。
机の前に座り箸を持ち2人で同時に。
「いただきます」
そばを食べ終わり、いつもどおりソファーで2人並んでいると雨沙が突然、巻いてある帯を緩め始めた。
先ほどまで露出がほとんどなかった和服が、少しずつ肌を見せていく。
胸辺りまで肌見えたところで、固定をする。
「ちょっと何してるの? 雨沙」
俺は慌てながら雨沙に聞くと、雨沙は? を頭に浮かべている。
「え? だって男の人って和服のこういうのが好きなんでしょ?」
その言葉を聞いて納得した、今週のやつだと。
それならしょうがない、雨沙の質問に答えを返す。
「うん、好きだよ和服」
すると雨沙はホッとしたのか、短く息を吐きそれじゃあと言わんばかりに体を近づけてくる。
「いいよ」
一言そう言うと雨沙は目を閉じ始めた。
わかったよ、心の中でそう言い俺は雨沙を押し倒す。
少しずつ顔を近づけ、雨沙の唇に俺の唇を重ねた。
しばらくして、雨沙を見ると先ほどよりも和服が脱げてしまっていた。
俺は急いで雨沙を抱きかかえ、寝室に向かう。
すると雨沙が一言。
「好きだよ晴太」
もの凄く可愛い顔で言われると俺も素早く返す。
「俺も好きだよ雨沙」
そのまま雨沙の顔を見ていると、なぜか2人同時に笑ってしまった。
そのまま寝室に向かう。
暇潰しにでも読んでもらえたら幸いです。