先に○○
仕事が終わり家の玄関を開けると、そこにはいつもどおり雨沙が立っていた。
「ただいまー」
そう言いながら家の中に入っていく、いつもならここで雨沙が、おかえりと言ってくれるのだが今日は違った。
「おかえり晴太、先にお風呂にする? ご飯にする?それとも、わ・た・し?」
からかうような表情をしながらも、頬を少し赤らめながらそう言ってきた。
雨沙はいつもは髪の長さを肩につくぐらいの長さにしているので、あまり髪型を変えたりもしないのだが今日に限って短い髪を束ねてポニーテールを作っている。
服もいつもより露出度が上がっているような気がする。
「お風呂でいいかな」
真っ先に雨沙がいいという気持ちを、なんとか抑え無理に笑顔を作りながらお風呂に入っていく。
お風呂から上がり、リビングに入ると美味しそうな料理が机の上に並んでいる。
今日はもう用事が終わっているのか、雨沙も机の前に座って待っている。
俺も食べるために急いで座る、そのままの勢いで箸を手に持ち、2人同時に。
「いただきます」
しばらく食べていると突然雨沙が思わぬ質問をしてきた。
「今日のやつね、ネットで調べてたら絶対お前って返答がくるって書いてあったんだけど、晴太お風呂って言ったじゃない? 私何か間違えてた?」
真剣な表情で質問をしてきたのでこちらも真剣に返す。
「雨沙が間違ってたとかじゃないと思うよ、大半作品であれが起きた時は大体みんなお風呂か、ご飯選んでるしね」
何を真剣に語ってるんだと思いながら返答をする。
「そっかそれなら良かった、今日のやつが失敗しちゃうと、今週の分のネタがなくなるところだったから心配だったんだ、良かった良かった」
安心したのか、凄い勢いでご飯を食べ進め始めた、そんなシステムだったのかと驚きながら俺もご飯を食べ進める。
ご飯を食べ終わり今日は普通に2人でソファーに座りながら手を繋ぎながらテレビを見ていると、グラビアをしている方が出てきて思わず、テレビの画面と横にいる雨沙を交互に2,3回見ていると、何かを感じたのか雨沙がこちらを睨んでいる。
「ごめんなさいね! この人みたいに大きくなくて」
見事に怒ってしまった、顔もそっぽを向き繋いでいた手も離されてしまっている。
「ごめん! これは完璧に俺が悪かった、でも俺は雨沙ぐらいがちょうどいいと思うよ!」
俺の中では誠心誠意、謝ったつもりだったのだがもっと怒らせてしまったのだろう、どんどん圧が強くなっている。
しょうがないなるべく使いたくはなかったが、最後の手段を使おう。
「わかった! なんでも1つ言うこと聞くから許してほしいなー」
最後の手段を投入、これで機嫌が治ってくれなければ、もう俺にはわからない。
「本当に?」
少しだけ気を許したのか先程よりかは口調を、弱めに聞いてくる。
「うん本当、1つね!」
すると雨沙の顔がこちらを向き表情は笑顔になっていた。
現金なやつと思いながら聞く。
「で? 俺は何をしたらいいの?」
「うーんそうだなーとりあえず家の外に出て」
笑顔をで言ってくるので、思わずあれこれ締め出されるパターンなのか? と思ったが次の言葉で救われた。
「10秒ぐらい経ったらもう1回入ってきて」
え? それだけと思いながらも締め出されないだけマシと思いながら、玄関に向かう。
家を出て、10秒ほど経ったところで玄関のドアを開く、玄関には雨沙が立っていた。
「先にお風呂にする? ご飯にする? それとも、わ・た・し?」
1回目の時とほぼ同じ表情と感情だった、ただ1つだけ違うことが、胸元を隠すように手を当てていることだった。
お風呂もご飯も終わっているので、迷わず。
「お前がいい」
そう言いながら雨沙を押し倒す、そのまま唇を重ねる。
いつもより長めにして唇を離す。
「本当は1回目の時に雨沙がいいって言いたかったんだけど、やってないことが多すぎたから言えなかったんだ」
そう言い終えると雨沙を抱きかかえながら、寝室に歩き始める。
こんにちはモクです
こんなセリフ人生で1回ぐらい言ってもらいたいです。