後輩
仕事が終わり家の前の玄関で、いつもどおり玄関を開ける。
「ただいまー」
そう言いながら玄関を開けると、目の前には高校の制服姿の雨沙が立っていた。
「おかえりなさい晴太先輩、先にお風呂入っちゃってください」
笑顔でそう言うと、雨沙は俺の上着を脱がし、脱がした上着を持ってリビングに歩いて行く。
「う、うんわかった」
反射的にそう返事すると、俺はそのままお風呂に入っていく。
体を洗い終わり、お風呂に浸かるとすぐさま、さっきのことを思い出す。
少し考えるとすぐに答えはでた、先輩と言っていたので今週は後輩属性だろう。
答えがでたのでお風呂から上がる、服をきてリビングに向かう何故だかはわからないが、いつもより少しだけテンションが高い気がしなくもない。
リビングに入ると美味しそうな料理が机に並べられている。
机の前に座り、台所から出てくるであろう雨沙を待つ。
文字通り台所から出てきた雨沙に目を向けると、思わず驚いてしまう、なぜなら高校の制服を着ている、ここまでは帰って来た直後に見たので平気なのだが、その上にエプロンをしている。
制服の上にエプロンを付け、男女が2人だけしかも、後輩属性もの凄く危ない匂いが、する気がする。
まぁ結婚してるし大丈夫だろうと心を落ち着かせる、すると雨沙が早く食べようと言わんばかりに、こちらを上目遣いで見ている。
それでまたドキドキしてしまったが、なるべく顔に出さないように。
「いただきます」
そう言いながら、ご飯を食べ始める。
「私の作ったご飯美味しいですか? 先輩」
どうかな? と少し心配した表情でこちらを見ている、もちろん料理はいつもどおり美味しいので素直に。
「うん、いつもどおり美味しいよ!」
そう言うと雨沙は、さっきの心配そうな顔が嘘のように、顔が笑顔になっていく。
「本当ですか! 先輩に美味しいって言ってもらえて嬉しいです!」
なにこれ後輩ってこんな可愛いものなの? 俺はそっと自分の中での好きな属性ランキングに後輩を入れた。
ご飯を食べ終わると雨沙は、食器を洗うために台所に向かってしまった。
いつもならここで、雨沙が先にソファに座って何かをしてくれるのだが、今日は違うようだ。
じゃあ今日は洗い物が終わるまで、ソファに座って待っていようとソファに座る。
しばらくすると洗い物が終わったのだろう、雨沙がこちらに歩いてくる。
そのままソファに座ると思っていたのだが、雨沙は俺の目の前に立ちながら少し恥ずかしそうに。
「あの先輩お願いがあるんですけど」
「うん、何?」
「次の先輩の休みの日久しぶりに、その、デートしたいなって思ってるんですけど、どうですか?」
なんだそんなことか、別に断る理由もないし、むしろ行きたいくらいだし。
「うん、いいよ行こ!」
そう言うと雨沙は、いかにも嬉しそうに、表情を笑顔にして、勢いよくソファに座ってくる。
座った雨沙は、だんだんとこちらに近づいてくる、ある程度近づいたところで、雨沙は俺の腕を掴み雨沙自身の腕と組ませる。
そのまま俺の腕を雨沙の胸元に近づけてくる。
「晴太先輩」
そう言いながら雨沙は、上目遣いでこちらを見ている。
色々察してしまった俺は、静かに俺の唇を雨沙の唇に重ねる。
しばらくして、唇を離し2人は会話をしないまま寝室に入っていく。
いつもより早く起きてしまって、もうちょい寝ようか悩んだが、せっかくだし起きよう。
リビングに行くと先に起きていたのだろう、雨沙が朝ご飯を作っていた。
「おはよう晴太」
「うんおはよう雨沙」
そんな会話をしながら、俺は顔を洗いに洗面台に足を進める。
顔を洗い終わりリビングに向かうと、朝ご飯ができていた、そのまま机に向かい座る。
ご飯を食べながら1つだけ質問をする。
「雨沙、聞きたいんだけどさ、昨日のデートの話ってあの後輩でするの?」
「そんなわけないよ、普段の私でデートはする」
あたりまえと言わんばかりに言ってくる。
「晴太もしかして、制服のままがいいとか思ってないよね?」
思わぬ質問に驚きに表情を隠しきれずに慌ててしまう。
「そ、そんなわけないだろ!」
否定をしたがそんな物は無意味だったようで、雨沙の表情が蔑みに変わっていく。
「晴太ちょっと気持ち悪い」
「だから違うってば!」
こんなやりとりをしながら今日も仕事に向かう。
こんにちはモクです
後輩っていいですよね。
それでは次の話でお会いしましょう。
さようならー