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輪廻巡る月夜の果てに  作者: 中沢文人
オーバーチュア
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序奏曲

序楽曲


「こちらワーム。こちらのチーム名はオーグとなった。メンバーは俺ことワーム、ギリギリデスメタル、トピオ、タピオカ、ココナタデ、チキンハートだ」

「こちらカブトガニ。こっちのチーム名はヘラクレスオオカブトガニだ。メンバーはカブトガニ、ヘラヘラク、夜のスポーツレス、オオー、シチュー、タッチワイフだ」

「下ネタじゃないか」

「こちら怪盗小市民。チーム名が決まった。チーム名は怪盗団キットカットだ。メンバーは怪盗小市民、ワーキット、ジャックザカッター、ルパン御時世、迷探偵ホームズ、輪と孫君だ」

「探偵が怪盗団にいるようだが…」

「こちらペロペロ。どうやらうちのチーム名が一番のようだな」

「名前だけで嫌な予感しかしないんだが?」

「チーム名は…シスロリ、だ!!メンバーはハァハァ、ブヒブヒ、ペロペロ、フガフガ、ハフハフ、アヒーだ!」

「…6人とも知り合いか?」

「いや、今日がはじめてだ!良き同士となるであろう仲間が出来た今日を祝福せねば!」

「…余った奴らが1番団結力がありそうなんだが…まぁいい。それぞれ決まったようだな。それでは前方に見える仮想敵を倒す。我がチーム、オーグを先頭とし、オーグの後方を怪盗団、その後方をクリーク、矢尻となるような位置にシスロリ、カブトガニがついてくれ」

「了解!」


それぞれのチーム名が決まったところで、いよいよ出撃だ。


「この隊列を移動時の主隊列とする!準備はできたか?」

「チームオーグ、完了!」

「チームクリーク、完了!」

「チーム怪盗団キットカット、完了!」

「チームシスロリ、完了!」

「チームヘラクレスオオカブトガニ、完了!」

「では、出撃!」

「「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


隊長の号令とともにまずは隊列を崩さないよう移動。


「さすがだ。俺らは本当に今日知り合ったばかりなのか疑わしいほどだぞ」

「隊長!前方に仮想敵が陣を展開!」

「チームオーグはレールガン射出準備!チームシスロリ、ヘラガニは左翼右翼から遊撃!キットカットは射ち漏らしを除去!クリークは周囲を警戒しながら各チームの補佐を!」

「「「了解!!!」」」


シスロリとカブトガニが離れて、両翼から迎え撃つような位置につく。


「レールガン用意、射撃準備3秒前!2、1、撃てぇぇぇぇぇ!!」


『ダダダダダダン!』とレールガンが撃たれていき、仮想敵が撃ち落とされていく。しかし弾幕をうまく回避した敵がこちらに向かってきた。それをキットカットが撃ち落とし、後続の仮想敵はシスロリとカブトガニがワイヤーと小機関銃を駆使し殲滅した。しかしまだ終わらない。


「各チームへ通達!こちらクリーク、後方から総数30ほどの仮想敵が襲来!これより迎撃する!」

「こちらワーム了解。キットカット、補助に入ってくれ」

「キットカット、了解」


キットカットがレールガンを撃ち、仮想敵が10ほど減るが、勢いは衰えない。


「こちらクリークよりキットカット、サポートを頼む。クリーク、迎撃するぞ!」

「おう!」


右足でDAVEを動かし仮想敵へ突入。右腕を引き、そのまま振りかぶる。普通のパンチだが、左足をうまく使うと飛行ユニットで威力補正もかけられる。


「すっげぇ、あんな使い方もあるんだな。負けていられねぇぞ!」


ヘルワンワンとゲートが小機関銃を撃ち、勢いのあるやつを落としていく。タクロウがワイヤーを鞭のように使い殲滅していく。キミヒトとクワガタは俺と一緒に近接戦だ。


「ふぅ、終わりか。…ん?」

「どうした?クワガタ」

「おい…下みろ…下っ早く!」

「はっ?下?」


言われた通りに下を見た。その先にあったのは、巨大な渦を作りながらうごめく黒い影。それがいまにも襲ってきそうな…。


「クリークより各チームへ!全員、にげろぉぉぉぉ!!」

「こちら夜のスポーツレス。何を…ぐあぁぁ!?」

「スポーツレスぅぅぅぅぅ!!?」

「クリークより各チームへ!巨大仮想敵の出現を確認!スポーツレス、大丈夫か!?」

「こちらスポレス!なんとか…」

「了解。隊長、指示を!」

「こちらワーム。敵は全長200メートルと仮定。散開し注意をそらしながら弱点を狙え!」

「弱点とは!?」

「あれだけ巨大なんだ。目を狙い視界を塞ぎ、鼻から体内に侵入。脳を直接焼ききるんだ。シスロリは相手の右目を、カブトガニは左目を、キットカットは鼻先を飛んで注意をそらせ!オーグは不意の対応に備えるぞ。クリーク、視界が塞がったのを確認したら直ぐに侵入してくれ!」

「「「了解!!」」」


巨大仮想敵…200メートルほどのウツボのような生物が海面から体をのばし突撃してくる。瞬時に散開し、シスロリが右目を、カブトガニが左目をレールガンで潰す。


「はっ、こりゃぁ俺ら、出番なかったな」

「まだだ!キットカット、ウツボの額を見ろ!」

「な、目が3つあるのか!?」

「オーグ、レールガン発射準備!」

「了解!」

「俺達クリークは突入用意!」

「了解!」

「ちっ、狙いが定まらない!キットカット、囮頼んだ!」

「みすみす出番を逃してたまるかよ!皆、いくぞ!」


キットカットが額の目玉に小機関銃をうち、注意をそらす。


「ちっ、この目玉、左右の目より一回り大きい上に頑丈だぞ!」

「こちらワーム、了解した。オーグは接敵!なるべく近距離から撃つぞ!シスロリ、カブトガニもサポートを!」

「「了解!」」

「射撃準備!射撃10秒前、キットカット、あわせてくれ!狙うは瞳孔だ!」

「無茶をいうぜ隊長さんよぉ!」

「3…2…1…射撃ぃぃぃぃぃぃ!!」


一斉にレールガンを食らったウツボは『グゥゥェェェェェェ!!』と鳴き、のたうち回って海中へと沈もうとする。だが俺らはそれを狙っていた。


「ラピスよりクリーク各員。鼻の穴がどこに来るか、狙いを誤るなよ?」

「対象の鼻の穴は半径10メートルほどだ。タクロウ、クワガタ、ウツボの左の鼻の穴からはいるぞ!」

「こちらキミヒト。ヘルワンワン、ゲート、お前らは俺と一緒に右だ!」

「了解」


巨大ウツボが体をくねらせて頭から水中に入ろうとする。水面近くにいた俺らは鼻の穴の着水地点を予測し…


「突入!」


視界が急激に暗くなる。自分がどこにいて周囲どんな状態になっているのか把握ができなくなる。その一つ、自分の位置を確定するためにタイミングを見計らい…


「ワイヤー射出!」


ワイヤーを出して鼻の穴に突き刺す。ついでDAVEのライトをつけ、周囲を確認する。


『グゥェェェ!!』


ウツボが勢いよく鼻で水を吹き出す。


「耐えろ!」

「うっ…あっ!うわぁぁぁぁ!!!」

「クワガタァァァァ!」


ワイヤーが勢いに負け、鼻から抜けたようだ。クワガタが海中へと放り出された。


「こちらラピス。クワガタが流された!」

「こちらキミヒト。ヘルワンワンもだ!」

「了解。2人の無事を祈ろう…いくぞ!」


左右のワイヤーを駆使しながら鼻のなかをすすむ。そして少しすすんだ先、脳辺りをレールガンでぶち抜く。


「海水補正パないな!」

「威力が上がったな」


ぶち抜いた先でキミヒト達と合流。


「あれがこいつの脳ミソか?」

「みたいだな。脳幹をさっきと同じようにぶち抜くぞ」

「了解です」

「カウント3秒前、2、1、射撃!」


4人での一斉射撃だ。弾はゴムだが、繊細な脳を傷つけるには十分すぎる威力。もし水中で射てなかった場合はレールガンに変えようと思っていたが、問題なく射てた。


『グ…グェェ…』


「体が浮上していくな」

「こちらヘルワンワン。倒したか?」

「こちらクワガタ。やったか?」

「あぁ、無事みたいだな。脳幹をやった。もう動かないはずだ」

「そうか…やったぞ!目標達成だ!」

「こちらワーム。よくやった!上空で待機しているぞ」

「了解。いま合流する。クワガタ、ヘルワンワンは現在位置分かるか?」

「こちらクワガタ。海の中ということしかわからない」

「こちらヘルワンワン。右に同じだまったく」

「こちらラピス。了解。海面に向かって浮上してくれ」

「こちらクワガタ。了解」

「こちらヘルワンワン。わかった」


ふぅ。巨大ウツボは焦ったがなんとか切り抜けたな。クリアできなかったらどうなっていたんだろうか。

慣れない操作でこれだけの成果を上げた瑠璃也たちは、もうウツボの次はこないだろうと一息ついた。


「こちらワーム。よくやった。おっ、あっちに見えるのはクワガタだな。奥に見えるのはヘルワンワンか。もう一度言おう。よくやった」

「こちらラピス。皆のおかげだ。隊長の指示も的確だったぞ」

「そういわれると照れる。皆、帰投するぞ」

「了解」


…あれ、どっちがDAVE庫だったっけ。


「隊長。どっちがDAVE庫ですか?」

「…わからん。そもそも出動したとき近くにそれらしき場所なんてあったか?」

「言われてみれば…」


言われてみれば、出撃したとき、下には陸地などなかった。

どういうことだ?と瑠璃也は考えるが、答えはすぐに返ってきた。


『第23中隊の皆さん。気付いちゃいましたか。これは演習訓練です。演習の訓練ですよ?演習ならともかく、演習の訓練にDAVE本体を出すわけないじゃないですか。それに玉はゴム弾といいましたし。最初に言ったはずです。DAVEの操作方法を説明すると。それに演習訓練の終了の仕方も、上空に出現した(・・・・・・・)仮想敵の殲滅といいました。まさか巨大仮想敵も倒しちゃうなんて想定外ですよ。こういう強敵は水中にもいるので警戒は怠らないように、と注意を促すはずでしたのに…巨大仮想敵を倒しちゃったのは第23中隊、あなた方だけですよ?』


「…た、隊長……」

「………」


静かな苛立ちの空気が流れる。実際瑠璃也も、あの苦労はなんだったんだとため息をついた。


『まぁ倒しちゃったものは仕方がないので、皆さんに貢献ポイントを差し上げましょう。今後も期待もあわせて、それぞれに100000ポイントです。終了の仕方はさっきもいったとおり、箱上部についている取っ手を引っ張ると出れますよ。今回の演習訓練はVR空間でVRゲームという認識で結構です。この箱…そうですね。演習訓練用仮想兵器とでもいいますか。ながいので箱でいいや。箱はチームワークの強化や操作に慣れる、などの訓練に使えますし、難易度も設定できます。是非利用してください』


「…隊長、とりあえず出ましょうか」

「……そうだな」


『ガチャ』と音を発し、箱を開ける。周囲を見渡すと他の箱も空いていくのが見えた。


「最後の最後で感動が持ってかれたな…やはり安物だったか」

「あぁ、そうだなラピス…俺の感動を返せよ…」

「まぁ普通の予想を裏切らない結果になりましたね」

「まぁとりあえず、第23中隊のみんなに挨拶すっか」

「そうですね」

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