月見の唄
僕の名前は月黄泉 雫月<つくよみ しずき>。
この春からロール・プレイング・スクールに入学した小学6年生。
種族 ルー・ガルー
職業 多道術士<ノーブル>
所属ギルド ノアの方舟
で、コンバートした。幼い頃に交通事故に合い、小学1年生までの記憶がない。
そして虹彩異色症を患っている。
そして俺の隣にいるのが、相棒の對馬 奏斗<つしま
かなと>。
スナイパーで、肩には愛銃の<バレットM82>を担いでいる。
「しず?まだ目の原因は分からないの?」
奏斗が頭の後ろに手を組みながら言う。
「目の原因」というのは、本来VRであれば、虹彩異色症の影響は受けないはずだ。
なぜなら、VRゲームであるこの世界は「VRの身体」に、直接「脳」を繋げている為、身体の傷や、虹彩異色症の影響も反映されないはずなのだが、雫月の目は右目が青、左目が緑になっており、普通ではありえない現象が起きている。
「分かんない。まあ視界に影響があるとかは無いからこのまま生活するけど……」
「眼帯は……こっちでも着けるのか?」
僕は虹彩異色症が嫌で、昔から右目に眼帯をしている。
「うん……。まぁ、もし皆に外せって言われたら外すけど……」
「そっか……。俺はしずに合わせるけどな。もうそろそろログアウトしとくか」
僕達はそう言ってホームウィンドウを開き、ログアウトした。
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ぷつん、と言う感覚を脳が直接感じた。その感覚はVRの世界から完全に切り離されたということだ。
2時間程ログインし続けていた僕は身体の感覚を取り戻すため、少し身体をほぐす。
「しず、風呂入りに行こうぜ」
同じくログアウトした奏斗がそう言った。
rpsに入ってから、寮生活なので、家族との時間より、友達との時間が大幅に増えた。
6時~7時の間に夕食を食べ、7~9時30分の間に風呂に入る。
その後、10時に就寝し、7時に起床。という生活を続けている。
最初は友達との風呂には慣れなかったが、お互いにそれなりの意識を持って生活するので、もう何とも思わない。
ここでは「友達」が、「家族」なのだから。
僕と奏斗は着替え等を持って部屋を出だ。もう夜なので、外の景色はかなり暗く、本校舎は恐らく地獄になっているだろう。
1階に僕達の教室、風呂、職員室があり、2階に女子部屋、3階に男子部屋がある。
風呂に着くと、どうやら僕達が最後の客だったようだ。
「二人でゆっくり入れるな」
奏斗と僕はそんなことを言いながら服を脱いだ。
脱いだ服は洗濯籠に入れておく。
ガラガラと戸を開けると、そこからムッとした熱気が流れこんでくる。
僕達はさっそく身体と頭を洗い、湯船に使った。
「なぁ、しず、俺達rpsの生徒は世間からしたらどう思われてるんだろうな」
「rps」とは、「ロール・プレイング・スクール」の略称で、ニュース等でも「rps」と略されている。
「賛否両論あるよね……まぁ、あんまり良い印象は無いだろうね……」
「てか、だいぶ話し変わるけどさ、お前好きな女子とか居ねぇの?」
そういって奏斗は肩を組んでくる。
「別に居ないよ。奏斗こそ居るんじゃないの?」
「俺の性格でいると思うか?」
自虐するが、実際奏斗は僕からしたら必要不可欠な存在だ。
僕の本当の秘密を知っているのは奏斗しか居ない。
いや、奏斗しか僕が信じれない。雪美や雅も確かに仲が良い。しかし、いつか見捨てられると思ってしまい、真実を切り出せない。
今でも……。
「しず、お金だって貯めすぎると人を殺すんだぜ。
人はなんでも抱えすぎたら死ぬ。そうならない為に俺がいるんだよ」
少し照れながらも優しい口調でそう言った。
おそらくこの言葉の意味は、「悩みを抱え込むと死んでしまう位キツいから俺に相談しろ」ということだろう。
遠回しだが、自分からこういうことを言ってくれるから奏斗は嫌いになれない。
「なんだよそれ」
微笑混じりに返すと、
「俺もわかんね」
適当な答えが帰って来た。
そんな会話が俺の中では、宝物のように尊いものだった。
後書き
第9話をお読みくださりありがとうございます。
今回から、後書きでは「僕が通っている学校の献立」
並にどうでも良い雑談コーナーをもうけようと思います。
僕は小学4年生からラーメンがこの世で一番嫌いで他にはマグロ、茶碗蒸し、チャンポンなども嫌いです
(今気づけば好きな食べ物がタケノコの里位しか無いですね……)
以上、「僕が通っている学校の献立」位どうでも良い雑談コーナーでした。
次回は第10話ですが少し戦闘から離れます。