戦旗
一回目のボス攻略を失敗し、強い敗北感を味わっていた。
ただ、その敗北感よりも味わっていたのが友情、そして楽しさだった。
「雅君、早速ボスの情報をまとめましょう」
春和が机の上で手を組んでそう言った。
「今回の敗因はボスの体力が残り4割を切ったときのボスの形態変化です。鉱石に被弾し、回復、ヘイト管理が不可能になったことです」
俺は春和の話を聞いて改めて実感した。春和は尋常ではない観察力を持っている。
そして、その鋭い観察力を最大限に生かす職業、
付与術師<エンチャンター>を選択している。
春和自身、尋常ではない観察力を持っていることを自覚しているのだろうか……。
「そして、あの鉱石は障壁で防ぐことが出来ます。
後は、僕達後衛がいた岩場でも伏せれば岩は当たりません」
春和は撤退する時に取ったのだろうか、後衛の岩場の写真を俺達に見せた。
「俺達みたいな剣士系職業のメンバーも、スキル使えばダメージ押さえられたし、継続回復とバフがあればなんとか耐えれそう」
一番前衛で戦っていた雪美は背もたれに深く身を落として言う。
「えーと……次の攻略では体力残り5割になったら、
攻撃は後衛のスナイパーのみにしましょう。そしたら南口のスライムライダーも対応しつつ、鉱石の吹き飛ばしも避けれます」
「あぁ、後、鉱石が無くなったコボルト……滅茶苦茶動き速かったぜ。まぁ、その分防御力は下がってるんだろうけど……」
鉱石被弾を経験した後、ボスの動きを唯一確認していた翔琉が言った。
「壁役がしっかりとヘイトを集めるのと、1番隊に負担がかからないように、4番隊でしっかりとスライムライダーを受けましょう。そうすればボスの受けは成立すると思います」
「えーと……まとめると……。ボスのHPゲージが残り5割になったら攻撃を後衛のみに絞ります。その間に拳闘士<グラップラー>、短剣士<ロイヤル>、壁役に
障壁と継続回復、バフを掛けます。その後、ボスには麻痺の状態異常を入れ、限界までDPS上げる。そうしたら行けそうですね」
このまとめを聞いて、俺は春和は観察力が鋭いだけでなく、観察力をさらに生かす、思考力も優れていると実感した。
「明日、また挑んだら勝てると思うか?」
俺は机の上で手を組んで言った。
「まぁ、皆次第ですが、昨日みたいな試合運びが出来れば勝てると思います」
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翌日、俺達第一レイドチームは再びボスエリアの扉の前に集まった。
「俺達の旗立てるぞぉぉ!」
俺と望雨で同時に叫ぶ。
「おぉぉぉぉぉぉ!」
翌日、俺達第一レイドチームは再びボスエリアの扉の前に集まった。
「俺達の旗立てるぞぉぉ!」
俺と望雨で同時に叫ぶ。
「おぉぉぉぉぉぉ!」
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後書き
第6話をお読みくださりありがとうございます。
この物語では「友情」をテーマにしたいんですが、
こちら側のメタい事情であまり友達関係を描けなかったので……ネタバレになるので止めますか(笑 )。
確か少年ジャ◯プのテーマも「努力」「友情」「勝利」 でしたね。
少しでもネタ要素を取り入れて行きたいんですが、
攻略が終わってからですかね……。
ボス再戦ご期待下さい。
ご愛読ありがとうございました。