負け筋
ボスモンスター<ウルツァイト・コボルト>との戦闘は長時間に渡った。
防御力が高い割に、攻撃力が弱く、耐久戦がしやすく、身体に攻撃パターンを刻むことが出来た。
「ボスHPゲージ残り一本!」
前衛で戦っていた雪美の声が聞こえた。
「前衛限界までDPSあげて!防御低下のデバフはもちろん、障壁がっつり張っつけて!」
DPSとは、一秒間に与えるダメージ総数の事である。
「敵増援報告!東口から再び蝙蝠岳6!」
6番隊隊長の直斗が叫ぶ。
「さっき同じ様に4番隊で受けて!」
俺はボスからの攻撃を剣で防いで叫ぶ。
「雅!上から落石!」
一緒に攻撃を受けていた琢馬が言った。
『ヤバい!避けれない!』
俺は内心でかなりの焦りを感じた。
「スキル!デッドリー・ナックル!」
刹那、俺の背後から紫色の影と共に声が聞こえた。
その影は落石に対して殴りかった。すると紫の閃光と共に岩は粉々に砕け散った。
「怪我は無いですか?雅君、琢馬君」
そう話しかけてきたのは紫の装備に濃い青のナックルを着けた少年。翔琉だった。
「あぁ、大丈夫。落石のこと、すっかり忘れてた。でも落石が降り始めるタイミングは分かった」
「反撃行きましょう!」
翔琉は拳を合わせて微笑んで言った。
俺は昔から友達と一緒に笑い会えるこういう瞬間が大好きだった。
家族と居るより、好きな物を食べている時より、深い眠りから覚めて、気持ちよく朝を迎えた時より、友達と居るこの感覚が宝物だ。
それから約五分後、悲劇は起こった。
「ボス残り体力4割!」
前衛から誰かも分からない声が聞こえた。
「南口から新手!スライムライダー×6!」
後衛からの報告を耳にした俺はすぐに指揮を入れる
「4番隊で南口受けて!」
俺が叫んだ直後、前衛から声が聞こえた。
「ボスの形態が変わります!全員離れて!」
その声の直後、とてつもない爆風と共にボスに媚りついていた鉱石が吹き飛んできた。
「うぁぁぁぁぁぁ!」
所々で悲鳴が上がる。
その鉱石は確実に後退した俺にも飛んできた。
鉱石に被弾した俺はその鉱石とともに壁に叩きつけられた。
俺はダメージ被弾による少量の麻痺を感じた。
その鉱石は絶対的に安全だと思っていた後衛がいる岩場まで吹き飛んだらしく、後衛の数人も被弾している。
「被害報告!前衛の壁役、数人即死!後衛のヒーラーも半数以上が即死!戦闘が続けられません!」
障壁を張り、隠れていた春和が叫ぶ。
「残ったメンバーでボスに麻痺入れて!4番隊は出来るだけスライムライダー引き付けて撤退!」
俺は同時に吹き飛んだ剣を広いながら言う。
「雅君……ボスの動きが以上に早くなってる……」
被弾したのだろうか、苦しそうに翔琉も寄ってきた
「全員撤退!被害は最小限に押さえろ!」
俺達は入り口の扉に向かって走り出した。
後書き
第5話をお読みくださりありがとうございます。
ヒロイン居ないじゃねーかと思うかもしれませんが、
ボス攻略が終わると登場します。
登場人物を小学生にしている理由も、ヒロイン登場後に後書きで書く予定です。
ご愛読ありがとうございました。