ギルドハウス
レイドダンジョンを攻略し終えた俺達は、オリュンポス・オンライン五大都市、東の国<カナン>に訪れていた。
「今日は、皆のギルドハウスを購入したから、その説明と紹介をしようと思う!」
学先生は手を大きく広げて言った。
「これが俺達のギルド<ノアの方舟>のギルドハウス!」
そう言って指を指した家は、俺達、生徒全員が入れる程の広さでは無かった。
「先生、こんな小さな家じゃ俺達全員入れないぜ」
雪美が首を傾げて言った。
「まぁ、皆入ってくれ!」
ハイテンションな学先生はそう言ってギルドハウスに入って行った。
俺達もゾロゾロと入っていくと、信じられない光景が俺達をお迎えしてくれた。
そこに広がっていた光景は、館と言っても過言ではない程の広さを誇り、床は綺麗に磨かれた石レンガで出来ており、生徒が全員入っても広さは十分足りる。
「す、すげぇ……」
俺は思わず声に出してしまった。
「どうだ?凄いだろ?この家は屋内拡張システムが導入されてるから見かけの数倍広いんだ」
「こんなもんじゃないよ。あと数人、皆にサプライズがある」
学先生がパチンと指を鳴らした。
「お呼びでしょうか?」
部屋の奥からそう言って少女がスラスラと歩いてきた。
「紹介しよう。この娘は家事アシストAIのアリッサ。俺達のギルドハウスの掃除とか、料理とかしてくれるメイドさん。特に悪いこともしないし、仲良くしてあげてね」
「ご紹介を承りました、皆様のお手伝いをします。アリッサと申します。以後よろしくお願いします」
白と黒のメイド服を着たアリッサは清潔かつ、従順で、とても静かだ。
「もう下がって良いよ」
学先生が右手を上げて合図をしながら言うと、
「かしこまりました」
と言い、部屋の奥に去って行った。
その後、俺達は、学先生の後を付いていくと、大きな庭に出だ。
そこには、大きな加治小屋があった。
「ここが、俺達の装備のメンテナンスをしたり、強化したりする場所。出て来て」
そう言ってパチンと指を鳴らした。
「失礼します」
そう言って静かにで出来たのは、赤い髪の毛が特徴の、俺達と同じ位の年齢の少年だった。
「この子の名前は、オリバー。皆と同じ12歳で、種族は火妖精で、まぁ、年齢は幼いけど加治のスキルだったらプロだから、仲良くしてね」
学先生が言い終わると、オリバーは何も言わずに去って言った。
学先生は、「着いてきて」と言うと、歩き出した。
最初に入った部屋に戻ってくると、全員に体育座りするように命じられた。
「今から配るプリントが、このギルドハウスでの、時間割、ルール、地図、部屋割りです」
学先生はそう言ってプリントを配り始めた。
俺達、男子の部屋が3階で、女子の部屋が2階。
それぞれの階に談話室があり、一階には食堂がある。
地下には風呂があり、他には倉庫もある。
「倉庫は基本、先生が管理します。レイドで手にいれたアイテムはこの倉庫に保管。個人で手にいれたアイテムは自分で管理してもらいます」
「そして、話しは変わるけど……。さっき挨拶した二人のなんだけど……。無愛想っていうか、無感情って感じだったろ」
確かにそうだった。目には光が灯って無いし、声も感情がこもって無かった。
「あの二人はオリジナルNPCって言って、最初の内は感情が無いんだ。俺達と関わっていく上で感情を覚える。覚える感情は様々です。厳しい関わりをすれば、せっかちになるし、優しく接すれば温厚な性格になる。あの二人の性格を決めるのは皆次第っていうことだ」
簡単に言えば、俺達にはゲームを通して、「人との関わり方」を学んで欲しいのだろう。
「二人の話しは以上で、各自の部屋についてだけど……。基本、自分の部屋は隣に迷惑をかけたりしない限りは自由にしても良いです。ペットを飼おうが、家具を置こうが何しても構いません」
その後、他にも色々な説明を受けてから、自由行動となった。
俺は自分の部屋に行ってみたのだが、あるのはクローゼットとベッドなどの必要最低限の家具のみ。
ここは死体安置所なのかと錯覚してしまう位だ。
今後、クエストを進めて行くと、かなりのお金が貯まっていくので、それなりに揃えていきたい。
後書き
第10話をお読みくださりありがとうございます。
<雑談コーナー>
僕はライトノベルの挿し絵が苦手でして、小学生の頃とあるライトノベル小説を、学校で読んでいたのですが、友達にその本を取られて、下着姿のヒロインの挿し絵を思いっきり見せてきて、ひどくいじられたことなあります(笑)。
次回は、6年生視点から外れて5年生視点での物語となります。
ご愛読ありがとうございました。