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005 レッツクッキング

 腹がぐぅ~と鳴り、元いた世界でも長い時間何も食べてなかったことを思い出す。


 アイテムボックスにある食べられるものは、おにぎり一個、さっき倒した羊の肉二百グラム、その羊から巻き上げた、五十センチはある巨大な卵だ。


 おにぎりをぱくつきながら調理を開始する。空腹感は少し紛れ、鼻歌交じりで作業する。


 アイテムボックスから調理器具セットと鍋とフライパンを用意して、草原の周りにある、石でかまどを作った。


 生活魔法の火魔法を二つ出し続け鍋とフライパンを温める。鍋には水魔法で水を張り卵を入れて茹で始める。フライパンには油をひき、羊の肉をスライスしたものを塩コショウで炒める。


 ジャア~と肉が焼ける。羊の肉は臭みも強く癖があるが、背に腹は代えられない。焼き上がったものをペロリとたいらげた。


 卵もそろそろいい感じ茹で上がってきたんじゃないかな。アツツ……。よし巨大ゆで卵の完成だ!


 まな板の上に乗せ、包丁の背をカンカンと叩きつける。ん!?殻の隙間から見えるものが明らかにおかしい。割れた殻を包丁で恐る恐るのける。一面毛むくじゃらだ。


 俺はまな板をひっくり返した。


 殻の中からゴロンと出てきたのは…茹で上がった羊戦士の小型版だった。


 身体の底から虫唾がはしる。


ゲェ~!


 俺はこれまで食べたものを全てリバースした…。


 なんだこれは!羊はいつから爬虫類になってんだよ!ありえねぇ!!気持ち悪っ!


 ゆでられた小型の羊戦士は死んでないのか、まだ少し息があるようだ。


 速攻で万能バットを四回超高速で振り下ろす。叩くたびに悲鳴のようなか細い声が聞こえた。


「ぐきゅぅ…きゅぅ…きゅぅ…きゅ…」


 羊戦士の小型版は光となって消えた……。そしてそこには何も残らなかった。


 まったくなんて玉手箱だ!恐るべし、ファンタジートラップ。あ~全部ゲロっちゃったよ……。まったくもー最悪。訳わかんねぇ。


胃の中の物を吐いてしまい、また空腹を感じる。腹減ったな~。服も汚れて臭いし…。


 脱いで水魔法で洗い、風魔法で乾かした。


 調理器具をさっさと片付けて、町に向かうとするか…。でもどっちの方角にあるかわからない。


 手掛かりになるのはさっきの少女の家ぐらいか。いや、絶対面倒なことになるから自分で探そう!あ、転移魔法が使えたんだ!


 念じてみると行先にはガミンの名が1つだけ表示されている。


 ガミンか……。とりあえず飯さえ食えればどこでもいいか。


「転移ガミン!」


 まぶしいくらいの光に包まれ目を閉じるが、やがて辺りから声が聞こえたので、目を開くと街の中についていた。


 五mほどの白い塔のオブジェクトが立ち、公園のような場所で冒険者らしき者たちが、にぎやかに話をしたり、露店を開いたりしている。


 お、露店でお姉さんが、から揚げを売ってる。


「いくら?」


「一つ百Gよ」


 手持ちは元々持っていた百Gと羊戦士から巻き上げた二Gの百二Gしか手持ちがない。くそっ、あの燕尾服の男、覚えてろよ!から揚げ一個しか買えないじゃないか!


 それでも腹が減っているので一個買う。まったくガキの使いかよ……。


 お!うまい!空腹は最高の調味料か?


「おいしいよ!」


 と、素直に感想を伝えると。


「ありがとう、最近売り出したところなの、いろいろ取り扱っているからまた来てね」


 コロッケ、ミンチカツやチーズケーキ、アップルパイなどラインナップに統一感はないがどれもうまそうだ。


「ああ、また来させてもらうよ」


 ほんの少しだが腹も満たされた。さて、この先どうやって金を工面するかな…。当然二Gでは宿には泊まれないだろう。


道具屋に行って、さっきの羊戦士の持ち物を売るか…。


道具屋では槍は二千G、アイテムボックス(ポシェットサイズ…二十個まで収納可能)は一万Gで売れた。そして売った金で下着を数枚買った。服はまた今度にするか。何とか今夜の宿代くらいは確保できたかな?


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