表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/58

50話 覗きは犯罪です ①


「あ、帰ってきた!」


「亜理紗っ!!」


 湖の散策を終えて暗くなる前に水場の拠点へと戻ってきた。

出迎えはギャルとお嬢様に、黒髪短髪も待ち構えていた。

 こちらに走って来る黒髪短髪に、俺は身構える。

以前に突き飛ばされて背中を強打したことがあるからな。


「美紀ちゃん、ただいまですぅ!」


「おかえりって……! そうじゃないでしょ!?」


 俺を無視して亜理紗に駆け寄っていった。


「……おっさん、おかえり〜」


「……」


 俺に近づいて来たギャルはどこかよそよそしく、お嬢様は……怒っている?


「山田さん最低ですね。 リサちゃんという者がありながら、女性と二人で外泊なんて……」


「いや、これはだな……?」


「言い訳なんて見苦しいです!!」


 うっ……。

お嬢様めんどくさい。 元はと言えばお嬢様が陥没おっぱいをマッサージさせてくれなかったからなのに。


「いいんだよ。 男なんてみんな同じだよぉ……」


「リサちゃん……!」


 抱きしめ合う二人。

なんだこの茶番は? それとも百合でも芽生えたのだろうか。


「ぐおっ!?」


「……おっさん。 次は潰すって言ったよね、私?」


「み、美紀ちゃん!? 山ピーは悪くないですぅ、私がノコノコついていってしまっただけなんですぅ……」


 黒髪短髪に急所を蹴られた。

コッカケは常に使っている訳ではない。 奇襲で急所蹴りはイカン。

 いつかのように俺は片膝をつき、胸倉を黒髪短髪に掴まれた。


「気づいたらもう帰れなくて、二人でお泊りするしかなかったんです……。 山ピーは凄い策士ですよぉ!」


「おっさん……!」


 天然系ピンクよ。

ワザとか? ワザと俺を貶めようとしているのか?


「サイテーですねっ!」


 お嬢様まで乗っかってきた。

女性陣が俺を取り囲み審問会が始まる。


「だいたい山田さんはデリカシーがないんです。 すぐ裸になるし、お腹の調子とかオシッコの臭いとか聞いてくるし……。 それと、……胸ばかり見すぎですよ?」


 体調が悪そうだったから、聞いただけじゃないですかぁ。

胸だって気づいたら見てしまうのだ。 不可抗力、つまり俺は被害者だろう?


「ごめんなさい」


 一応謝るけど。


「そうだよぉ。 お嬢様の胸ばっかり見てるよねぇ、そんなに巨乳がいいの? おっぱい星人なのぉ?」


「おっぱい星人でごめんなさい」


「違いますよーー、山ピーはキノコ星人ですぅ!!」


 何言ってんの?

これが恐怖の天然タイムか。


「「「キノコ星人っ!?」」」


 マズイな。

状況は不利になる一方だ。 どうにか打開せねば!


「そ、そうだ。 新しい果物、見つけてきたんだ。 早く食べようぜ?」


「キノコ星人ってどういうこと?」


「卑猥です……」


「やっぱ潰すしかないようだなぁ……!」


 マズイな。

ここは一旦退散だ。


「あ!」


 三十六計逃げるに如かず。

俺は転がりながらその場を後にする。

 しばらく時間を置こう。



◇◆◇



 暇つぶしに道具作りに精を出し、日が暮れる頃に拠点へと戻る。 

しかし、夕暮れ時の水場の拠点は静かだった。

いつもなら騒がしく、慌ただしく食事の準備をしているはずだが。


「誰もいない?」


「山田さん?」


 イケメンに遭遇した。

夕陽に照らされるサラサラの髪がなびく。

 爽やかな声が俺の名を呼ぶ。


「よう。 他の奴らは?」


「女性の方は皆さん水浴びに行ってます。 他の男性の人達は砂浜に行きました」


 機長は体調が悪く寝込んでいると、イケメンから教えてもらう。


「そうか。 砂浜には行かなかったんだな?」


「足手まといだと、断られてしまいました。 ははは……」


 イケメンから哀愁が漂っている。

リストラされたのがバレたお父さんのようだ。

以前に飲んだ時も落ち込んでいたが、このままでは本気で禿げるぞ。


「少し気を張り過ぎだな。 そんなんじゃ持たないぞ?」

 

 助けがいつ来るかも分からないんだ。

ストレスは発散していかないと。 

 

「ですが……」


「ふぅ……。 自分を奢り過ぎだぞ? お前が頑張らなくても意外となんとかなるさ」


 少なくとも自分を犠牲にしてまで、他人の面倒を見る必要は無い。

できるなら凄いと思うが、そんな義務は無い。


「……」


 真面目過ぎる。 意外と頑固なのか。

これでは生き辛いだろうなぁ。 息抜きが必要だろう。


「まったく……世話の掛かる奴だな。 少し付き合え。 男同士の付き合いも重要だぞ?」


「は、はい!」


 爽やかなイケメンの笑顔。

 なんでそんな嬉しそうなの? まぁイケメンは同性に嫌われやすいからな。

男友達いないんだろうか。 



「そう言えば、田中さんは弟子になったんですか?」


「あぁ、一応な」


「そうなんですか……」


 俺はイケメンと共に歩き出す。 世間話をしながらゆっくりと。

隠しているようだが、歩き方がぎこちない。

まだ足が痛いのだろう。


「おら、脱げ」


「ええぇ!?」


 俺は裸になり、イケメンに服を脱ぐように指示する。


「大きな声をだすな……気づかれるだろう?」


 沢の方へとやって来ていた。

今は女性陣の水浴びタイムらしい。 


「な、なんで脱ぐんでしょう?」


「バレた時、俺たちも水浴びに来たと言えるだろう?」


 裸で覗きに来る奴なんていないからな。

そう、俺はイケメンを連れて女子の入浴を覗きに来たんだ。


「や、やっぱりダメですよ! 覗きなんて……」


「うむ。 だからこそ、興奮するだろう?」


 適度な興奮はストレス発散にいいからね。

娯楽のないこの生活では貴重なアトラクションだ。

 犯罪だけど。


「一皮剥けるための修業だと思えばいい。 それとも、怖いのか?」


「っ! そんなことありません!」


 だから声大きいよ。

とはいえ、やる気になってくれたようだ。

 元気よく服を脱いでいくイケメン君。


「さぁ、いきましょう!」


「お、おう」


 凄いやる気。 ほんとは覗きたかったんじゃないか。

むっつりスケベなのかな。

 

 おっさんとイケメン。

裸の二人は女性陣の水浴びする沢へと忍び寄る!














時間が足りない。

次話に持ち越しです><;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ