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合格とルームメイト

さて、今回でロンド君の合格発表ですね、ロンド君、意気込みをどうぞ。


ロンド「あれで落ちてるとしたら、俺は学校で学ぶ事がないから来なくて大丈夫ですと言われたものと判断する」


さてどうなりますかね。


では今回もどうぞ!

俺は発表があるまで休憩所の椅子に座っていた。


「隣、いい?」


そこには二人の女がいた、一人は金髪、一人はピンク髪、俺が間を開けようと横に寄ると金髪の女が寄った方向から俺を押し出すように椅子に座る。


「寄らなくていいよう、私達あなたとお話ししたいんだから」

「ご、ごめんね、この子が貴方と話したいって」


二人に挟まれるように座られる。因みに二人とも俺の詳細は知らないらしい。


「ねえねえ!君ってどこに住んでるの?」

ロンド「アストレイア」

「へえ!あそこか!あそこって例の英雄ミュリア様が住んでいる街だよね!」


ここでバラすと騒ぎになるか?やめた方がいいか。


「名前は?」

ロンド「ロンド、家名は、まあ入学してからのお楽しみってな」

「あ!もう合格した気でいる!」


何故腕を絡めてくる、やめろい。


ロンド「腕を絡めるのはやめろ」

「むー、もう少し焦ってくれた方が良かったのになー」

「ちょっとやめときなよ!」


そんでこいつら、俺に絡んでくる金髪はライラ・ゴースタット、ライラを嗜めるピンク髪はエリシア・ローアインス、ライラとエリシアは別の国の貴族、ライラは侯爵でエリシアは公爵らしい。こんなプライベートな場だとタメ口で話したりする仲だという。


そんな辺りで合格発表が始まる。合格発表と言ってもそれぞれに通知が渡されるだけでだったが。通知は封筒に入っていて中身はまだ見えない、結果の不都合による騒動を避けるために通知は自宅に帰ってから開封せよとの事、あくまで通知に書かれた事が全てであるため、その後どの様な申し立てがあろうとも試験結果は覆らない。それだけ言われて解散となった。


ライラ「ロンドくんまたねー」

エリシア「また会いましょう!」

ロンド「また入学式でな」

ライラ「結果はわかんないけどねー」

ロンド「お前らなら大丈夫だろ」


こいつらは筆記試験でも見かけた。中でもこの二人は常に冷静だった。あの感じだと問題もしっかりと理解出来たのだろう。魔力も整っていて、足運びからも武術の嗜みがあるのが見て取れた。


ライラ「そっちはどうなのよ」

ロンド「あれで落ちるような鍛え方はしてない、頭も体もな」

ライラ「あははは!それで落ちたら笑い者だね!」

エリシア「落ちたらって縁起悪い事言わないでよ、本当に落ちたらどうするの!」

ライラ「そりゃロンドに笑いかけてあげるよ!」

ロンド「大丈夫、落ちたらお前とも会う事がなくなるから笑い者になる事はない」

ライラ「ありゃ、これは一本取られたね」


そんな他愛もない話をしながら俺達は帰路に着いた。


◇◆◇◆◇◆◇


ロンド「そろそろいいか」


人気の少ない場所でそう呟き、転移魔法を発動させる。


一瞬で家の前に着いた。はあ、学園に行くために馬車に乗って腰が痛え。腰をさすりながら家に入って行く。


ロンド「ただいまー」

ミラ「おかえり!どうだった!?」

ロンド「結果はこれから」


俺は封筒を開き、中身を取り出す。通知には合格という文字が書かれている。


ロンド「合格だな」

ミラ「おお!!さすがご主人様にゃ!」

ミュリア「お、帰ってきたな」

レト「主様、お帰りなさいませ」

ロンド「ただいま」


俺は通知を目を通す。・・・あ、これ・・・。


俺、首席になってる。入学式では新入生代表で挨拶することになる・・・。どうしよう?俺新入生代表の挨拶なんかしたことないぞ!?ていうか大勢の前で喋ったこともない!!


ミュリア「えっと、どうしたの?ロンド、固まってるけど」

ロンド「・・・新入生代表に、なった」

ミュリア「・・・だと思ったよ、挨拶を考えるんだろ?まだ数ヶ月ある、みんなで考えよう」


俺は初めてでよくわからない新入生挨拶の文を、みんなと一緒に考えた。


◇◆◇◆◇◆◇


数ヶ月後、明日は入学式、今日から寮に入ることになる。寮は二人の生徒が一つの部屋で生活する事が決められている。その選択はランダム、相手が同性の場合もあれば異性の可能性もある。


俺は寮の部屋の扉に手をかける。特に他の生徒の靴は見当たらない、俺が先のようだ。まず荷物の整理、今日からここに住むのだから、キチンと整理しておかないとな。既に使う場所は決められているようで、椅子、机、棚、ベットには名前が彫られている。


同性相手の名前は・・・シャルロット・エスフィリア・・・ちょっと待て?この家名は、爺さんの本に載ってたような気が・・・。


ガチャリ。


あ、同棲の生徒が来たようだ。挨拶でもしておこうか。入り口に振り返ると、そこには銀色の長髪で、ピンッと立った犬耳と、ふわふわの尻尾が生えた女の子がいた。相手は獣人だったか。


ロンド「はじめまして、今日からこの寮で一緒に暮らすことになったロンドだ、よろしくな」

「・・・」


ん?どうしたんだ?固まってるけど。


ロンド「ど、どうしたんだ?」

「ご、ごめんなさい、私はシャルロット、シャルって呼んで」

ロンド「わかった、よろしくな、シャル」

シャル「ふわっ!!」


え?ど、どうしたんだマジで、う、うわ、後ろ向きに倒れ・・・。


俺は既に行動に移っていた。倒れそうになる彼女を抱きとめる。


ロンド「どうしたんだ」

シャル「はっ、はわわわわわわわ!!」


あ、顔真っ赤だ。・・・あれ?気を失った。


◇◆◇◆◇◆◇


sideシャルロット・エスフィリア


私はシャルロット・エスフィリア、エスフィリア国の第一王女、と言っても王位は既に兄さんが継ぐことになっているけど。今日、私は運命の出会いに巡り合うことになった。


寮のルームメイト、ヒューマの男性、黒髪に黒眼、私はこの人と会った瞬間、ドキドキが止まらなくなった。これが、書物で読んだ、一目惚れ、というものなのかな。つい愛称で呼んでもらうほどに一瞬で惚れ込んでしまった。


実を言うと私は人見知りだ、ちゃんと会話ができるのは家族ぐらいだ。そんな私が初めて会った相手に・・・。一体、私はどうなっているのだろう。


◇◆◇◆◇◆◇


はっ!!私はいつの間にか気を失っていたようだ。既に部屋は暗く、彼も寝ているようだ、二段ベッドの下から静かな呼吸が聞こえる。二段ベッドから降りる、そう言えば彼の名前はなんと言うのだろうか。確かロンドと名乗ってた気がする、そんな事を考えながら無意識に彼の顔を覗く。


シャル「!?」


見た事を後悔してしまう。私は彼の寝顔から目が離せなくなってしまった。美しい寝顔、それはまるで童話の王子様のようだった。かっこいい、そんな言葉じゃ足りない、それに見合った言葉が見つからない。ドキドキが止まらない。


シャル「ハア・・・ハア・・・」


気付けば呼吸が荒くなって来ていた。それはまるで発情期と同じような感か・・・マズイ!!私はトイレに駆け込んだ。


あのままだと襲ってた。出会ったばかりの彼を襲うなんてトンデモない。でも、こんな毎日が続けばいつかは襲ってしまうかもしれない。学園を卒業するまでの数年間、私は理性を保てるだろうか・・・。


sideロンド


朝だ、俺は体を起こし、ベッドから降りる。今日から学園が始まる。上のベッドを見るとシャルがいない、もう既に起きているのだろう。バスルームからなにやら音が聞こえる、シャワーを浴びているのだろう。昨日は気を失ってそのまま寝てたし、女の子には色々あるだろうしな。なら、俺は朝食を作ろう。材料を家から持って来ておいてよかった。


この世界でも箸は使われていた。米も主食として食べられている。ただ味噌汁はなかった。味噌を一から作るのは大変だった。だが今はある、作り出して量産できた。やっぱり日本人ならご飯、味噌汁、焼き魚だよな、あと軽めの野菜サラダを作ってドレッシングはいくつか種類を作っておいた。そしてデザートにヨーグルトだ。


にしてもエスフィリア、名前を聞いた事が・・・。あ!エスフィリア国だ!獣人の国、確か今の俺と同い年の王女様がいたはずだ。それが彼女か、ほうほう、だからと言ってどうということはないが、手を出すと面倒ごとになりかねないな。


ん?シャンプーの香りがする。出て来たらしい、そろそろ食卓を出して食事の用意をするか。


◇◆◇◆◇◆◇


朝食の用意が出来たところでシャルが来た。


シャル「あ、あの、おはよう、ございます」

ロンド「おはよう、朝ご飯用意したから、食べよう」

シャル「は、はい」


ご飯を食べ始めた、シャルは初めて見る味噌汁に困惑していたが、俺が食べるのを見て同じように食べるとすごく気に入ったようだった。


朝食の最中で、少しお話をした。俺の事(ミュリアやロンギヌスの事を抜いた)、シャルも自分の事を話した。その中で意を決したようにシャルは自分が王族だという事を打ち明けた。俺は。


ロンド「ああ、さっき気付いた」

シャル「え!?」


軽く返した、あの様子だと王族だと知られて距離を取られる事を恐れていたんだろう。俺は相手が王族でもなにも変わらないさ。だって俺英雄王の生まれ変わりだし。


ロンド「俺は相手が貴族だろうと王族だろうと王様であろうと、必要な時以外は普通に喋る、どうかな?今君にとっては必要な時かな?」

シャル「違う!私に必要な時なんてない!その喋り方で居て!」

ロンド「そうそう、シャルもタメ口でいいよ」

シャル「う、うん、わかった」


俺達の出会いはこんな感じだった。


◇◆◇◆◇◆◇


話をしながら学園へと向かった。


シャル「それにしても、ロンドって歩く時足音が全くしないんだけど、もしかして暗殺術とか会得してる?」

ロンド「いや、してないよ」


あ、当然重力服は着てるよ、どんな時でも修行してる感じだよ、最近も少しずつ重力を強くして行ってるよ。


ロンド「シャルってさ、もしかして槍術得意?」

シャル「うん、そうだけど、わかるの?」

ロンド「ああ、かなりの練度だと思う、その上魔法も・・・風と水かな?」

シャル「え!?どうしてわかるの!?すごい!!」

ロンド「まあ、な」


この子はかなり強いようだ。魔力も整っていて、歩みも武術の嗜みを感じさせる。ライラやエリシアより強いだろうな。


にしても、モフモフの尻尾が揺れてる。友達が飼ってるグレートピレニーズ以上に綺麗な毛並みだ。なんせその友達、飼い犬の為に自分達よりも高級なシャンプーや服を買ってたりなど、犬を愛してる奴だったからな。


俺がモフモフ尻尾に目を奪われているとシャルに気付かれてしまう。


シャル「だ、だめだよ?尻尾と耳は生涯のパートナー、番となる相手だけにしか触らせちゃだめなんだから」

ロンド「やっぱりそうだよな」


触りたいけど、本人が駄目って言うならやるわけにはいかない。


シャル「ロンドになら、いつか触らせてあげても・・・」(小言)

ロンド「ん?なんか言ったか?」

シャル「う、ううん!なんでもないよ!」


んー?確かに、ロンドにならいつか、までは聞こえたんだが・・・まさかな。


学園に着くまで俺達は他愛もない話をした。シャルの父は歴代で二番目に強いだとか。一番目に強い初代様はロンギヌスと友人だったとか。あ、俺がロンギヌスの生まれ変わりとかミュリアの養子だとかはまだ喋っていない。


さて、学園に着いた。一体どんな学園生活になるのやら。

ルームメイト、女の子でしたね。


ロンド「一つ屋根の下で男女が二人きりか、リタにバレたら大変な目に遭わされそうだな」


但し性的な意味で。


ロンド「下ネタはやめろい」


あの歌を思い出したんだ。


ロンド「ああ、あの歌か、多分これを見てる人も知ってる人が多いんじゃないか?」


まあ、ともかく、今日はこれでおしまいです。次回もお楽しみに!!

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