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目覚める記憶

来ました!!新作『日常を千変万化に染めて』です!!実はタイトルは最後まで悩んでました。実際今もこのタイトルで大丈夫なのか?という気持ちです。


まだこれでも未定です。今後もこのタイトルは気分次第で変わると思いますね。今回も楽しく書いて行きます!!


それでは今回もどうぞ!!

変わらない日常、変わらない景色、ただ過ぎる時間。今日も学生達はいつものように学校へと向かって行く。


俺は斑鳩和司、ただの高校二年生だ。最近では進路だの就職だの親からうるさく説教を受けている、そんな時期だ。


テスト休みが終わり、今日からまた暇な学校生活に戻る。勉強は好きだ、意味のない知識を身につけるのはそれなりに面白い。運動はてんでダメだ、わざわざ体を動かして疲れる事の何処に喜びを感じるんだ?ただ体を酷使してるだけだろう?俺はそんな学生だ。


「みぃー」

和司「あ、クルミ、朝ごはんまだだったな」


俺は猫用の缶を開けて皿に移す。クルミは数秒俺を見つめてからご飯を食べ始める。クルミは俺が拾って来た黒い子猫だ。クルミはなぜか俺にしか懐かない、しかも女に対しては敏感に反応する。前に幼馴染の女の子が来た時なんかは飛びかかって行って大変だった。それによりクルミの世話をするのは俺のみとなった。まあ、最近では俺のバイト代からクルミの身の回りの物を買ったりするようになったのだが。ご飯を食べ終わったクルミはただ俺をじーっと見つめている。クルミ用の食器を片付けて俺は家を出る。


っと、その前に確認、カバンの中には・・・。


クルミ「みぃ?」


どうやってかは知らないがいつも俺のカバンの中に忍び込んでいるクルミ、本当にいつの間にやら。俺はクルミを玄関に降ろしてすぐに家を出た。クルミは寂しそうに、ただ扉を見つめていた。


◇◆◇◆◇◆◇


変わらない道、変わらない人通り、毎日変わると言ったら天気ぐらいだろうか。


うーん、やっぱりあるんだな。


和司「!?」


バナナを踏んで滑るというギャグ漫画みたいなことが・・・。


俺は足を前に滑らせ、そのまま後ろ頭をアスファルトの地面に叩きつける。そのまま俺の意識は闇に落ちた。


◇◆◇◆◇◆◇


『儂は世界を統一したい』


なんだ?


『世界中の国々が一つとなって・・・』


この声は・・・なんだ?


『人々の笑顔・・・幸せが溢れた世界を・・・』


何を、言って・・・。


『儂は、そんな世界を・・・』


これは・・・。


・・・。


◇◆◇◆◇◆◇


「・・・ず・・・・ん・・・」


今度はなんだ?


「・・・か・・・ん・・・・く」


よく、聞こえない。


「・・ん・・が・・・くん!カズくん!!」


俺を呼ぶ声、これは・・・。


目を開くとピンク色の髪の女の子が涙を流しながら俺の名前を呼んでいる。


「カズくん!!」

和司「・・・鈴鹿か」

「よ、よかった・・・目を覚ましてくれて!!」


こいつは上村鈴鹿、俺の幼馴染だ。なんというか、産まれた時から一緒だと言う。産まれた時間は同じ、同じ病院で産まれ、産まれた病室は隣同士、隣のベッドで寝かされ、家も隣同士、学校でも毎回席が隣同士、誕生日には毎年一緒に祝われる。ここまで来るともう呪いだ。最近俺はその呪いに立ち向かってみようと鈴鹿から離れようとした。だがどうやってもどこに行っても気付けば隣に鈴鹿がいた。


・・・これが運命なんて俺は認めん。


っと、今俺は学校の保健室にいる、辺りを見渡す、俺の眼鏡は・・・。


和司「俺のめが・・・ね?」

鈴鹿「はい、カズくんの眼鏡」


・・・おかしいぞ?はっきり見える、と言うか見え過ぎてる。てか、体が軽い・・・。


『儂は、世界を、平和な世界を創る・・・』


・・・!!


『儂の名は・・・』


・・・ロンギヌス、そうだったのか。俺は、前世である世界を纏め上げた国王だった。


名を、『英雄王』ロンギヌス・アストレイア。


◇◆◇◆◇◆◇


前世を思い出すなんて・・・しかもこの名前・・・中二病臭え・・・!!


俺はあまりにも中二病くさい展開により頭を抱える。


俺の前世、剣と魔法のファンタジー世界で、戦争が頻繁に起こる世界を一つに纏め上げた最強の男だと言う。


これ、公言したら恥ずかしすぎるぞ。・・・てか、これ、前世思い出した事によって前世の力が手に入った感じだよな?体が羽みたいに軽いんだが。


鈴鹿「どうしたの?眼鏡受け取ってよ」

和司「ああ」


眼鏡をケースに入れて鞄にしまう。


鈴鹿「あれ?眼鏡かけないの?」

和司「ああ、今はいい」


俺はベッドを降りて保健室の出口に行く。


鈴鹿「あ!カズくん!!まだ寝てないとダメだよ!!」


鈴鹿が保健室を出た時、和司の姿はもう無かった。


◇◆◇◆◇◆◇


びっくりした、走ったと思ったら壁が迫って来ていた。本当に前世の力が俺に宿ったっぽい。うーん、これ、日常生活にも支障がありそうだな。


まず教室に行こうか。HRは既に終わっていて、一時間目の体育の準備をしていた。女子は別室でお着替え中ってね。


「あ、和司、大丈夫だったか?ダメそうなら体育見学でもいいと思うぞ?」

和司「涼太か、もう大丈夫だ」


こいつは風間涼太、俺の親友、気取りだ。別に俺は親友のつもりはない。


◇◆◇◆◇◆◇


・・・どうしてこうなった?


「おい!挟め!!」

「間髪入れず投げろ!!」

「こいつこんなに動けたか!?」


現在ドッチボールで俺のチームで残ってるのは俺だけだ。取り敢えず避ける、ボールが来たから避ける、ただそれだけしてる。


涼太「和司!行くぞ!!」


涼太が大きく振りかぶってこっちに投げる。そろそろやられとくか。にしても、本当に遅い球だ・・・。


涼太「!?」


あ、取っちまった。しかもよりにもよってスポーツバカの涼太のボールを・・・。えっとこう言う時は・・・。


和司「・・・まぐれだ」

「「「「ンなわけあるかぁ!!」」」」


だってしょうがないじゃん。俺はさっと外野にパスする。よし、手加減は出来るな。さてこっちには外野がたくさんいる、そう簡単に相手に回ることは・・・。


涼太「よし、ミスボール!」


マジか、誰だ手を滑らせた奴!


涼太「今度こそ行くぜ!!」


あ、こいつさっきより本腰入れて投げに来る。こいつ本気出すと回転加えて来るんだよな・・・。えーっと、なんだっけ?ジャイロボールだったか、あれをドッチボールでして来るんだ。


涼太「おりゃ!!」


こいつの本気は誰も取れたことがない、正直人間離れしてるからな。ぶつけた反動で人間が尻餅つくとかおかしいだろ。


さすがに体で食らうのはなぁー、と思い、片手を出す。


涼太「な!?」

「「「「ええええ!!」」」」


・・・あのなぁ、これはアニメじゃないんだよ、だからアニメで出るような掌で受け止めるとガリガリガリッて掌で止まるのはやめてくれ。


ガリガリガリッ、ボスンッ


手で受け止めたボールはそのまま地面に落ちる。


和司「はい、俺アウト、試合終了な」

涼太「・・・」

「「「「・・・」」」」


終わりったら終わり!!


◇◆◇◆◇◆◇


鈴鹿「カズくん!!いきなり居なくなっちゃダメだよ!!」

和司「わかったから、席に戻ってくれ」

鈴鹿「ここが私の席です!」


忘れてました。隣の席に座っている鈴鹿が俺に説教垂れる。もう面倒だな。この呪いどうにかならないのか?


和司「この呪いの解呪方法を前世の俺は知らないのか?」

鈴鹿「あ!いま聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!!」


俺が呪いと呼ぶ物を鈴鹿は赤い糸の祝福と呼んでいる。俺はよく呪い呪いというから、呪いという言葉には敏感に反応する。


鈴鹿「呪いじゃなくて祝福だよ!!」

和司「毎回言ってるけどおかしいだろ、産まれた時から一緒なんて!どう考えても呪いだろ!」

鈴鹿「違うよ!!私達を結ばせようとする神様の祝福なんだよ!!」

和司「俺は『神なんて信じない!!』」


なんだ今の、何かが重なった。


『神がいるなら、何故争いは無くならない?神は慈悲深く、そして全知全能ではないのか!!』


まただ、これは前世の記憶か?


『神は救いを求めた人々の想像が創り出した幻想に過ぎん!!そんなもの、儂は断じて認めん!!』


神は想像の産物、そんなものには縛られないという強い意志だ。


神とは、誰もが知る存在だ。それは全知全能で、神聖な存在で、誰もが敬う存在だ。だが誰一人としてその姿を見た者はいない。中には見たことがあると言っていた者がいたが、それはきっと他者の支持を得る為の妄言だろう。実際神を描かれたものは多種多様にある。それは話に聞いたものを想像で書いただけであって本当の神を見たわけではない。だからこそ個性溢れる神が存在する。つまり、神というのはあくまで人間の理想像である。


・・・はっ!?俺は何を考えてたんだ!?


鈴鹿「和司!どうしたの!?」

和司「・・・なんでもない、ただ、俺は神を信じはしない」


前世の俺と現世の俺がリンクしているのかもしれない・・・。いつか俺という意識が消えてしまうかもしれない。


◇◆◇◆◇◆◇


今日はもう全体的におかしい、全ては頭を打ってからだ。あの時から、前世を思い出すなんて、自分が自分じゃなくなるような気がしてならない。


「ねえ!あれ!今日だったよね!」

「うん、楽しみだね〜」


今教室では今日の夜、地球に近付く箒星の話をしていた。俺達が暮らすこの町が一番近く、一番綺麗に見えるらしく、女子達を中心に盛り上がっている。俺はそれどころじゃないけど。テレビでもそれ一色、ニュースで持ちきりだった。俺はそれどころじゃないけど・・・。


◇◆◇◆◇◆◇


HRが終わり放課後だ。俺は友人達から箒星を観に行かないかと誘われる。この町には一つだけ展望台がある、絶対混むから俺は行かないと断った。


鈴鹿「帰ろ!」

和司「お前は友達は「断ってきたー」ああ、そう?」


はあ、ただの会話だと呪いに逆らえないか。


鈴鹿「ほらほら早く帰ろ〜!」

和司「わかったから抱き着くな、怒るぞ?」

鈴鹿「ねえ、頭打った時、何かあった?」

和司「なんで?」

鈴鹿「・・・何かね、おかしいの、なんかこう、考え事ばかりしてる」


ああ、その通りだ。俺はおかしくなって行っている。何がとは明確には言えないけど、いつか俺が俺じゃなくなると思う。


◇◆◇◆◇◆◇


家の門の前に着く。今日は両親がいない、いるのはクルミだけだ。クルミがいる限り、鈴鹿は俺の家には入ってこれない。


和司「ただいま〜」


・・・。


あれ?いつもならクルミが飛びついて来るのに、物音一つしない。


和司「クルミ〜、どうしたー?」


まず、俺の部屋を見る、すると窓から空をジィーッと見上げるクルミがいた。猫でも箒星が気になるのか?・・・いや違うな。尻尾が小さく、素早く振られている。これは不安を表している。何かわかるのだろうか?


和司「・・・クルミ」


俺はゆっくりと近付き、クルミの背中を撫でる。すると尻尾をゆっくり大きく振り始める。安心してる証だ。


が、尻尾が動きを止めると、ブワッと尻尾が膨らむと、俺にクルミが飛びついて来る。俺は驚きつつ抱き止める。クルミはギニャーとかいろんな声で鳴き続ける、パニック状態だ。俺が空を見上げると、箒星が今、割れたところだった。


クルミはこれに気付いていたのか。だが、ここまで怯えるのには何かあるのだろうか?まだこれから何かが起こるとか。


ん?あ、ああ、割れたのが真っ直ぐ落ちてきている。これはつまり、この町、終わったな。逃げても間に合わないだろう。前世を思い出した瞬間命が終わるとはな・・・。


次の瞬間意識が暗転する。

和司「という事で、よろしく」


主人公の斑鳩和司くんです。


和司「前世を思い出してしまった」


英雄王ロンギヌスだね。


和司「名前が・・・」


恥ずかしいとか言ってあげないでよね。


さて一話目ですがどうだったでしょうか?これからが楽しみ!!と思っていただけたら幸いです。


それでは次回もお楽しみに!!

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