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エピローグ
名簿には、“桜庭美羽”と“佐々木朱音”、二人の名前が並んでいた。
今では誰も、どちらがどちらだったか、わからなくなっている。
どちらが“救った側”で、どちらが“戻ってきた側”なのかも――
だが、それでよかった。
記憶が交差し、境界が滲み、ふたりの“私”が共に生きるこの世界。
鏡守は言った。
「存在とは、“忘れずにいること”じゃ」
「名を呼び、思い出し続ける限り、誰も消えん」
そして、レッドムーンは、何も語らず……
ただ、ふたりの少女の影を静かに照らしていた。
――END――