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新撰組秘帖 闇の参謀  作者: 瀬古刀桜
会津藩家老襲撃および壬生浪士組局長副長襲撃事件
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其の弐

一八六三年(文久三年)五月一日・深夜。

(バカだバカだと思っていたが、ここまでバカやったとは計算違いやったなあ。)

わいは、副長室の上で土方と原田の話を聞きながら、軽く溜息をついた。

何故、わいがネズミの真似して、こんな所にいるか?

話は簡単だ。

今下にいる土方の護衛である。

先日、わいは、花街にて壬生浪士組の幹部である近藤勇、山南敬助、そして今下にいる土方歳三が狙われていという情報を掴んだ。

情報を聞いた尾形さんは、この連中の護衛と情報の真偽を確かめるように、わいを含めた六人の部下に指示したというわけである。

確かに、纏め役である尾形俊太郎という男は尊皇攘夷思想が強い肥後の出身である。

だが。

(出身だけで人を疑うなんて危険な副長様やなあ。しゃあない)

とりあえず、尾形さんに報告しておこか。

副長助勤の原田もいることだし、少し離れていても大丈夫だろう。

そう考えると一端、離れた。



一八六四年(元治元年)七月一日。新撰組屯所・八木邸。

「というわけや。早い段階で局長副長の襲撃情報が入っていたんで、わい、副長を張り込んでいたんや。」

団子を食いながら、林から説明を受けて、俺は盛大に溜息をついた。

だが、あの当時の俺に言いたい。何故、こいつらの気配を感じなかったんだぁ。

少しは気づけよ。

「で、わいは尾形さんに報告に向かった。」




一八六三年(文久三年)五月一日・深夜。

わいは、天井を経由して、尾形さんがいる部屋に向かった。

文机に本を起き、目を通していた男の後ろに、わいは天井から音も立てず飛び降りた。

「ご苦労。林」

「土方はんが、わい達のことを間者と疑っているようでっせ」

わいの目の前にいる男は、きょとんとした表情を浮かべた。

男の名は尾形俊太郎。

この男が、土方から間者の疑いをかけられている張本人である。

白く長い髪を赤い組紐で束ね、黒の紬を纏っており、メガネをかけ、一見すると学者を思わせるような男である。

だが侮るべからず。こう見えて、【副長助勤】を務めている。

まあ、隊内に真しやかに流れる噂に、一番弱い副長助勤と言われているが。

やがて尾形さんは、くつくつと喉を振るわせ、笑いだした。

「土方先生が、俺達を?」

無理もない。

話を聞いていた わいでさえ、【笑撃】を感じたからだ。

笑いを堪えるのに、ホント、苦労したで。

「ようやく疑うことを覚えたか。で、監視役は?」

「原田先生や」

「よりによって【死にぞこねぇの左之助】が俺たちの監視か?アイツのことだから、「監視させてもらう」とかわざわざ言いに来るんじゃないか?」

あり得る。

原田左之助という男の性格から考えてその可能性はあるだろう。

だが、土方副長の【密命】をわざわざばらすバカはいるだろうか?

「賭けしてみません?わいは、原田が密命をバラさないに一票」

「おう、お前さん秘蔵の春画収集が賭けの対象だぜ。俺はバラすに一票だ。」

穏やかに笑う尾形さんに、わいは少しだけ肩の力を抜いた。



一八六四年(元治元年)七月一日・八木邸。

林は盛大に溜息を付きながら、俺を見て笑った。

「今なら脳細胞筋肉男其の一に【こっそり】なんていう事は不可能だと理解できるんだが、あの当時のわいも、考えが甘かったんだよなあ。」

「酷い、そんな本当の事を」

「おい、林。あの犯人の似顔絵・・・」

現れたのは、新撰組監察方差配・尾形俊太郎。

新撰組監察方という組織を束ねあげたのが、この男だ。

もっと言うならば、監察という役割を原型から作り上げたのがこの男と言っても過言ではない。

そのため、古くからの副長助勤や隊士達からこう呼ばれ恐れられていた。

【闇の参謀】

「ああ、出来上がってますよ。後で確認お願いします」

林の言葉に頷き、尾形は改めて俺を見た。

「何やってんの?左之?」

「報告書の作成。池田屋事件の細かい顛末をまとめろと副長様の仰せでな。色々とコイツに話を聞いていた。」

俺の言葉に、林も頷いた。

「わい達と原田先生の甘い出会いを話していたところや。尾形さんの予想通り【監視させてもらう】て報告にきた時、思ったんや。【やはり原田は馬鹿だった】」

林の言葉に尾形は笑い、俺は苦い表情を浮かべた。

「一番最初に左之先生が、俺の所にきたのは壬生寺での稽古の時か。よりによってあの事件当日だものなあ。悪いことをしたよなあ。」

「せや。会津御家老と、局長副長暗殺未遂事件当日の昼。副長、わい達に恨みあんの?とマジに思うたわ。」

尾形の言葉に林は頷き、やがてその時のことを話し出した。

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