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6. ダイエット

「あき~、お昼は?」

「ん~席で食べる。良子ちゃんは?」

狭山のいる会社には社員食堂はない。

駅前なので食べる場所に困ることはないのだが、狭山はほとんど社内の自分の席で食べる。


財布を手に立ち上がった良子を見上げると、ふふ~んといわんばかりににやついている。

「昨日、給料日だったじゃない。だから今日は奮発してトンカツよ!!」

「…そう」

朝は、マクドナルドで昼はトンカツ?

どうしてそれで太らないのかあきは本当に不思議だった。

「あきは?一緒に行かない?」

「そうよ。たまにはどう?」

向かいの席から加藤も声をかけてくる。どうやら今日は二人そろって食べに行くようだ。


「う~ん、また今度」

トンカツはおいしそうだけど…と思いながらもあきは断った。

あきが断るのはよくあることなので、そう?といいながらも二人は深追いしてこなかった。

「じゃね。あき、しっかり食べなよ~」

「はいはい。…いってらっしゃい」

うきうきとはねだしそうな良子と加藤を見送りつつ、あきはそっとため息をこぼした。


「だって、お金ないし…」

部屋にかかっている白いドレスを思い浮かべる。

あの日、手放せず買い取ったドレスはどこにもしまえずにいまだあきの部屋にかかっている。

店側でホテルへ交渉してくれて定価よりはだいぶ安価で手に入れた。

と、いってももとがもとなのであきからすれば到底手に入るようなものじゃない。

あきの給料の3分の2が飛んでいった。

借金はしなくてすんだけど、当面は清貧生活を余儀なくされそうだ。

外食なんてムリムリ!!


あきは気を取りなおすとかばんに手を伸ばした。

ダイエットにと炭水化物を取るのを減らしてはみているものの、お腹が膨れるのはやっぱりご飯。

それにあきは食べることが好きだ。

お菓子だって食べたいし、ご飯だって好き嫌いは殆どない。

でもあきはダイエットを今度こそ成功させたかった。

着る機会はもうないかもしれないけど、あのドレスがすっきり着こなせるような体になりたい。

早く帰れる日は少し遠くのスーパーまで買い物に行ったり、朝は一駅手前で降りて歩くようにしている。

そのせいか、気持ち足が引き締まってきたような気がしていた。


でも!ここで油断は禁物よ!

あきは自分に言い聞かせるとかばんから大きめに握ったおにぎりを取り出す。

おにぎりの中には昨日焼いておいたたらこ。

思いっきりほおばったらなんだか甘かった。

あ~でもやっぱりご飯はおいしい…

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