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ある冒険者の物語  作者: 丸歩堂
序章 ~冒険者の誕生~
1/6

00 プロローグ

初投稿作品です。

立ち上げ予定の同人サークルの作品の練習もかねて

投稿しました。

まだまだ力不足でしょうが、宜しくお願いします。

ブログもやっておりますので気に入っていただけたら一度覗いてくれたら

丸歩堂は歓喜で小躍りします。


追記:話数を01から00に変更しました。

ここは4つの大陸からなる世界「エデン」

その大陸のひとつであるクーレリア大陸にあるデルピュネー王国の辺境地である、

ここエキドナ村の平凡な農家の息子スコール=ランスロットの父であるドリス=ランスロットが亡くなる

数十分前からこの物語は始まってゆく。


―――エキドナ村―――



みすぼらしい家の中には二人の人影があった。

一人は痩せ細った体でベッドの上に横たわっており誰が見ても、

その命があとわずかであることがわかるほどに衰弱していた。

そしてその傍に寄り添うように一人の少年がいた少年の容姿は、

中世的な顔立ちをしておりともすれば少女と見間違えてしまいそうな容姿である。

髪はこの世界ではよく見られる黒色で肩の辺りまで伸ばしていた。

瞳の色は炎のような赤い色をしていた。

そしてその少年がベッドに居る人物に必死に声をかけていた。

「父さん!しっかりしてくれ!!もうすぐ医者がくるんだ!

 きっと父さんの病気もなおしてくれるはずだよ!」

「いや……無駄だろう自分の体のことは自分が一番良く知っているからな…」

「そんな事言わないでくれ!父さんが居なくなったら僕はいったいどうしたら良いんだよ!

 まだ教わってないことが沢山あるし、僕一人だけじゃあ生きて行けないよ!!

 父さんお願いだから…もっと…もっと生きていてくれよ!」

そう言って少年――スコール=ランスロットは父であるドリス=ランスロットに泣きついた。

しかしドリスは弱々しく首を横に振り、 

「スコール確かにお前一人でこの村で生きていくことは出来ないだろう。

なぜなら村長がお前をこの村から追放するだろうから。

だがそれは、仕方が無いことだ。私たちは所詮流民なのだ。

むしろ今まで置いてくれたことが奇跡なのだ。

だからスコール、お前はこれから一人で生きていくために稼がねばならない。

そのためにはギルドに行くんだ。そして冒険者として生きていくんだ…」

そう一息に言い切り激しく咳き込んだ。

「父さん!!もう喋らないでくれ!すぐに医者が来てくれるから」

「ゴホッゴホッ!!……いやもう駄目だ、私は直に死ぬだろう。

その前に…お前にゴホッ!…伝えたいことがある。」

先ほどからドリスの咳が一向におさまらない、どころか酷くなっている。

「わかったから…お願いだから喋らないでくれ父さん……父さん!」

その時部屋にノックの音が聞こえた。

「やっときた!!先生こっちです!!早く来てください!」

家の扉を開けた先にはスコールの待ち人である

少し肥満体系で白髪が生えた医者―――シェルパーが到着した。

シェルパーはかなり急いできたのだろう、汗だくで何度も咳き込んでいた。

が、息を整えると直ちにドリスの容態を診察し始めた。

スコールはシェルパーなら何とかしてくれるはずだと思っていた。

しかし、

「……スコール、落ち着いて聞くんだ。残念だがドリスはもう助からん」

告げられたのはスコールにとって残酷な宣言だった。

「そ…そんな!嘘だ、先生お願いです!

 いくらでも払いますからどうか父をたすけてください!」

「お金の問題じゃないんだスコール落ち着くんだ」

だが父がもう助からないと聞いてスコールはかなり取り乱していた。

シェルパーの声が聞こえないほどに

「嘘だ!!父さんが死ぬなんてあり得ない!父さんは…父さんは僕を残して死んだりしない!!

 シェルパー先生!嘘なんでしょう、嘘といってください……先生!!」

「いい加減にせんかスコール!!」

   ぱんっ!

部屋中に乾いた音が響き渡った。

「っ!!…シェルパー先生?」

たたかれたショックで正気を取り戻したスコールはシェルパーの顔を呆然と見つめた。

「叩いたことは謝ろう、すまなかった。

 しかしよく聞けスコール…君には親父さんの言葉を聞く義務がある。

今際の際にたっている親父さんの最後の言葉を聴くことが出来るのはスコール、君だけだ」

シェパードは優しくスコールにそう諭した。

「………わかりました。ご迷惑をかけてすいません。それと、ありがとうございますシェルパー先生。」

「うむ、さあ親父さんが待っている。時間はもう少ないぞ…後悔だけはするなよ」

シェルパーはそれだけ言ってドリスが寝ている部屋へのドアを開けて

スコールを部屋に入れた。

「…父さん」

「おおスコール、まだ伝えてない私の最後の話がある。

 どうか聞いてくれ。」

ドリスはそういってまた咳き込みながらそう言った。

「聞かせてくれ、父さん」

「ああ、冒険者になれといったところからだったかな?」

「あってるよ、だけど僕には冒険者になっても何も出来ないよ

 そりゃ、うちは農家で農作業などをしていたから少しは力があるけれど、

 それでもまだ他の冒険者からすると非力だし、

 なにより剣術なんて習ったことなんてないんだよ?

 そもそも武器を買うお金も無い。おまけに魔力が優れているわけでもないんだ。

 せいぜい雑用ばかりするだけで終わってしまうよ」

そう、この世界には魔法が存在する。

しかし魔法を使うことが出来るのは裕福層の国民ぐらいである。

その理由は彼らが特別だから、ではない。

誰でも魔力というものは宿っていて原理さえわかれば使用できるのだが、

その為には、教会に莫大な寄付金を払い教会から神の力が宿った洗礼を受ける必要がある。

仮に寄付金が払えず洗礼されぬままで魔法を使用した場合、

使用したときに自分の魔力が暴走してしまい爆発してしまうのである。

もちろん、流民の末の農民であるランスロット家にそのような資金などなくスコールが言った通り

彼には特別な力など、なにひとつ存在しないのである。

そのため彼が冒険者になっても低ランクで生涯を終えると答える人のほうが圧倒的に多いだろう。

しかし、ドリスは違った

「いや、確かにお前には目に見える特別なものは無い、しかしおまえには

 人一倍忍耐力が強く諦めるということをあまりしない。

 一度諦めても何度も努力して自分の知識を総動員して策を練って立ちふさがる壁を壊してきただろう。

 その不屈の精神があれば冒険者でもかなりの高ランクを行くことが出来るだろう。

 スコール…私はお前をいつまでも見守っているから、がんばるんだぞ。ゴホッゴホッ!!」

「!!父さん…血が!」

「もう時間のようだ。すまないスコール」

「シェルパー先生!父が」

「スコール生まれてくれてありがとう。」

そしてドリスは目を閉じて動かなくなった。

「父さん…?嘘だろ?目を覚ましてくれ父さん~~~~!!」

この日ドリス=ランスロットは死んだ。

そして冒険者スコール=ランスロットの冒険が始まる。

ご意見ご感想ありましたらどしどし送ってください。

最後までお読みくださってありがとうございました。


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