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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第45話 謎のスルース

Side:オルトス


 僕はタイラ商会を経営してる会頭の息子で、5人いるうちのひとり。

 商会の跡継ぎ候補でもある。


 3男だけど、跡を継ぐのに、産まれた順番など関係ない。

 全ては商才に掛かってる。


 兄弟は全てライバル。

 姉妹は跡継ぎ候補ではないが、隙あれば取って代わろうと必死。

 会頭の父は商才さえあれば、女でも差別しない。

 ただ、女は舐められるから、跡継ぎ候補から外されてるだけだ。

 女というハンデを克服すれば、認めるに違いない。


 甘い考えの奴など要らない。

 そういう考え方だ。


 ただ、助力は惜しまない。

 アドバイスはくれるし、伝手を使わせてくれたりもする。

 対価は必要だけどね。


 そろそろ、王国立の学園に入る歳。

 僕は決断を迫られた。

 この一手は大きい。

 学園はどこも3年間で卒業。


 3年間を無駄にすると、後継者レースで大きな後れを取ってしまう。

 普通の一手では駄目だ。

 リードするには、大胆な手が必要。


 この国で一番の富豪は恐らく、エングレイ伯爵だろう。

 ミスリル鉱山を経営してて、莫大な利益を上げている。

 鉱山ともなると産出されるミスリルだけでなく、多種多様な利益が発生する。


 この利権に食い込めれば良いが、一介の若い商人など相手にされない。

 エングレイ伯爵の息子とは、入学年度が合わなかった。

 やはり、同級生で友達にならないといけない。


 色々と調べてみた。

 鉱山の権利を持っているのはスルースという男。


 謎の人物だ。

 この男の正体を知っている者はほとんどいない。

 いくら探っても出て来ない。


 スルースがエングレイ伯爵と話し合いでもすれば、伯爵家の使用人から話が漏れる。

 正体は山師で、今も鉱山を探して放浪しているのだろうか。

 スルースという名前はありふれたもの。

 珍しくもない。

 名前だけではどうにも分からない。


 この謎が解ければ、かなりの金を生むような気がする。

 とりあえず、スルースという名前が出たら、知らせてくれるように情報屋に頼むか。

 入学試験まで、まだ間がある。


「オルトス坊ちゃま、手紙が届きました」

「ご苦労様」


 情報屋から報せが来た。

 エクスカベイト家が代替わりして、スルースという人物が跡を継いだらしい。

 前伯爵の後妻のキュラリーが魔女認定されて、処刑された家だな。

 前伯爵の辞任理由は、キュラリー事件の全責任を取るとなっている。

 ありがちな理由だ。

 あれは大スキャンダルだった。

 仕方ない処置だろう。


 この跡を継いだスルース伯爵は社交界に顔を出さない。

 屋敷にも住んでないようだ。

 謎山師のスルースと、謎伯爵のスルースが、妙に重なる。

 伯爵のスルースが山師から鉱山の権利を買ったという線もあるが、そんなに多額の金があるなら話題になっているはず。


 まさかな。

 謎山師のスルースと、謎伯爵のスルースが同一人物という線は荒唐無稽だ。

 貴族になるような人物が山師などしない。

 そんなのは物語の中だけだ。


 そして、入学願書の受付が始まった。

 そろそろ、決断しないと。


「オルトス坊ちゃま、手紙が届きました」

「ご苦労様」


 手紙は情報屋からだった。

 騎士学園にスルース・エクスカベイトの入学願書が出されたとある。


 謎伯爵のスルース本人か?

 あり得ないだろう。

 学園を卒業してない奴に跡を継がせるなどという事態は普通ならない。

 息子が駄目でも、親戚でそれなりの歳の適任者がいるはずだ。

 偶然なのか?

 エクスカベイト家の分家筋かな。

 貴族籍は持ってないが、分家で家名を名乗る者は多い。


 父に情報を求めたい。

 だが、貴族の情報は高いだろうな。

 それに、謎山師のスルースと、謎伯爵のスルースが同一人物説は無理がかなりある。


「ああー!」


 頭を掻き毟る。

 どうしても、謎伯爵のスルースが気になる。


 騎士学園に入る利点を考える。

 騎士学園に入るのはほとんどが貴族。

 平民は数人だ。

 貴族と伝手を作るのなら、悪い選択とは言えない。


「ああー!」


 頭を掻き毟る。

 もう、どうにでもなれ。

 騎士学園の入学願書を書いた。


 入学試験は受かった。

 勉強は得意だ。

 知識がない商人など、大したことはない。


 だが、張り出された合格発表を見て青くなった。

 スルース・エクスカベイトが最下位。

 嘘だろ。

 兄弟達のあざ笑う顔が浮かぶ。


 終わった。

 伝手をコツコツ作るという大して得点にならない行為で、3年間を無駄にすると決定してしまった。


「ああー!」


 頭を掻き毟る。

 冷静になる。

 過ぎたことだ。

 目利きを間違って、売れない商品を買ってしまった気分。

 こうなったのなら、せいぜい高く売り抜けて利益を出すさ。


 スルースのファンクラブを見つけた。

 会員のひとりから話を聞く。

 スルースの人気はあるのだな。

 人脈を作るのなら、スルースと友達になるのはありか。

 ファンクラブというバックがついたからな。


 スルースの道場へ行くと、驚いた。

 リリアンヌがいるではないか。

 エングレイ伯爵の3女だよな。

 それが、スルースの婚約者。


 待て待て、パイルバンカー流は王族の秘伝武術?

 何が起こっているんだ!


「ああー!」


 頭を掻き毟る。

 メッキの高い商品を買わされて、失敗したと嘆いていたら、金無垢だった。

 結果として、大儲け。

 いや、話が美味過ぎる。


 スルースって、どんな奴だ。

 調べないと。

 体術の授業の様子を他の生徒に訊いた。


「ぼこぼこにされてたよ。反撃は一切なしだ」


 落ちこぼれだな。


「それに、笑ってたな。打たれ強いのは確かだ」


 だが、笑ってたと。

 分からん。

 理解できない。


「不思議と全部引き分けなんだよな。あんなこともあるんだな」


 そして、全て引き分けだと!

 対戦相手がトラブルで、みんな途中でやめたらしい。


「ああー!」


 頭を掻き毟る。

 スルースこいつ、本当に何者?

 モンスターが化けているんじゃないだろうな。


 商人の頭では理解が追い付かない。

 金になるのか、駄目なのかの判断さえできない。


 英雄ではない。

 天才でもない。

 奇才が近いのか。


 もっと、身近で調べないと。

 パイルバンカー部に入ることにしたから、これからだ。

 金にならなかったら、良い笑い者だ。

 鑑定が出来ない品を買おうとしてる。

 そんな感じだな。

 ただ者じゃない感はあるが、骨董でもそういうのを買って損することは多い。


 なんか、どんどん馬鹿になってる気がする。

 でもここでやめたら、利益が出ない。

 なんとしても赤字はさけないと。


「オルトス坊ちゃま、手紙が届きました」

「ご苦労様」


 手紙は情報屋からだった。

 エングレイ伯爵のミスリル鉱山が2つ増えて、3つになった。

 所有者はやはりスルース。

 賭けの配当金額が勝手に上がった。


 流れが来てるのか。

 エングレイ伯爵令嬢のリリアンヌ様と伝手を作ろう。

 これだけでもかなりの利益だ。

 パイルバンカー道場に毎日、通うしかないな。


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