第41話 騎士学園入学
Side:スルース
マネーパイルバンカーの威力は絶大。
騎士学園に入学できた。
入学試験でほとんど白紙回答したのにだ。
張り出された順位は最下位。
俺がそれで良いと言ったのだ。
だって、異世界転生してから、勉強なんてしてない。
前世の知識があるから、科学知識と数学ぐらいならついていけるが、それ以外はダメダメだ。
実家を出るまでは、色々と本は読んだが、それだけ。
パイルバンカーに関係ない本は読んでない。
どうせ、馬鹿なのは入学してから試験をすれば、分かること。
最下位でも問題ない。
馬鹿だと言われても構わない。
パイルバンカー馬鹿なのは承知だ。
むしろ誉め言葉。
張り出されたクラスの割り振りを見て、その教室に入る。
座る位置は指定されてない。
既に来てた生徒は、思い思いの席に座っている。
後ろの席が人気らしい。
何だか懐かしくなった。
日本の高校も窓際の最後列の席が人気だった。
寒かったり暑かったりすると、エアコンが当たる位置とかが、羨ましがられた。
エアコンは設置されてない。
リリアンヌにエアコンのアイデアを話してみよう。
大ヒットするかも知れない。
俺は最前列の教壇の前の席に座った。
ざわめきが起こる。
どこに座っても同じなら、パイルバンカーの射程圏を考える。
クラスで最強である先生を一撃必殺出来る場所に陣取るのが正解だろう。
パイルバンカー使いとしては当然の行動だ。
驚くには値しない。
席が埋まった頃、先生が入ってきた。
顔に傷がいくつもある。
歴戦の戦士だな。
かなり強そうだ。
挨拶代わりにパイルバンカーを撃ち込んだら、気を悪くするかな。
「むっ!」
先生が俺を睨んだ。
やべっ、考えを悟られた。
何となく密着してパイルバンカーを撃ったら、かわされて反撃される気がする。
ボコボコにされる未来が浮かんだ。
勝てないかも知れない。
目を逸らして、わざとらしく口笛を吹く。
「ぴゅーぴゅー」
「ふふっ」
先生が笑ってから、後ろを向き黒板に名前を書く。
タルタスという名前だな。
覚えたぞ。
いつか、パイルバンカーを先生に試すのだ。
強化パーツなしに、先生を倒すのを目的としよう。
後ろを向いているが、一撃を与えられる隙がない。
さすがだ。
「前の左端から、立って自己紹介しろ!」
「はい」
始まった自己紹介を聞き流す。
パイルバンカーに関係なさそうだからな。
おっと、俺の番か。
「スルース・エクスカベイトだ。以上」
「おい、よろしくお願いしますが抜けてるぞ! スキルの名前はともかく、スキル数ぐらい言えよ!」
最後列の生徒のひとりが文句を付けた。
うるさい奴だ。
「死にたいのか?」
俺はパイルバンカーを撃ち込むかどうか考えて、本人に訊いた。
意思は尊重しないとな。
「ああん?! 喧嘩売ってるのか?」
「二度は言わん。やめろ。戦いたいなら、戦闘の授業でやれ」
ドスを利かせた声で注意して、先生が殺気を放つ。
おお、さすが歴戦の戦士。
だが、このぐらいではビビったりしない。
俺は涼しい顔で席に座った。
文句を言った奴も黙ることにしたようだ。
「ふんっ」
先生が楽しそうな顔で、俺を見た。
ライバル認定してくれたのなら、嬉しい。
自己紹介は進み、さっき聞いた声がした。
文句を付けた奴だな。
「ウンクラ・ゴールディだ。スキル数は5つ。どうやら、このクラスには俺を超えるスキル数の奴はいないみたいだな」
ふん、下らない。
スキル数なんて飾りだ。
レーザーの砲塔がいくつあっても、パイルバンカーの一撃を食らえば爆散する。
世の中ってのはそんなものだ。
自己紹介が終わる。
「次は第3修練場で体術の授業だ。遅れるなよ」
先生がそう告げてから、教室を出て行った。
体操着に着替える。
「おい!」
後ろから、怒りを滲ませた声が掛かる。
「何だ?」
「お前、スキルがない忌み子だってな。隣のクラスのお前の弟から聞いた」
「そんなことか。それがどうした?」
「弱い奴は偉そうにしないで、びくびくしてたら良い。生意気なんだよ」
「スキルなんて飾りだろ」
「ほう、俺のスキルを否定するのか。たっぷり味合わせてやろうか?」
「特別な授業以外のスキル使用は禁止だろう」
「ばれなきゃ問題ない。ぼこぼこにすれば、口を閉ざすしかないからな。喋れないほど、痛めつけるのも良いかもな」
クズだが、弱そうだ。
パイルバンカーを撃ち込むほどでもない。
大物をやってこそ、パイルバンカー。
「見逃してやる。去れ」
「何だって?!」
「ウンクラさん、こいつなんか切り札を持っているかも知れませんよ。この余裕の態度ははったりとは思えません」
取り巻きが、そんなことを言った。
こいつ、分かってる。
パイルバンカーは切り札だ。
「くそっ、こうなったら体術の授業でぼこぼこにしてやる。逃げるなよ」
ウンクラはそう言い捨てて、教室から出て行った。
体術の授業で、パイルバンカーをぶち込むほど、俺は狂ってはいない。
だが、火の粉は払わないと。
授業の時間もパイルバンカーのために費やしたい。
座学の時もパイルバンカーをこっそり撃って、内職をしたい。
体術の授業では、どうするかな。
決まってる。
こっそりとパイルバンカーを撃つんだ。
ウンクラの攻撃にパイルバンカーで反撃しよう。
パイルバンカーは最強。
体術などには負けない。
メカを壊すための技が、生身の人間のパンチや蹴りに負けるはずない。
だが、こっそりやらないとな。
退学になっても構わないが、リリアンヌに愛想を尽かされたら困る。
強化パーツは手放せない。
試し撃ちの威力は凄かった。
あれを超えるような強化パーツがない限りは、リリアンヌを手放さない。
従って、サイレントパイルバンカーだ。
静かに必殺の一撃を叩き込む。
「ふふふっ」
「やばい、遅れる!」
生徒が焦って駆け出す。
俺も行かないと。
「ロケット加速」
背中で爆発。
加速して、教室から飛び出す。
「バーニヤ」
爆発の反動で直角に曲がった。
「ロケット加速」
バーニヤで、歩いている生徒達をかわす。
そして、授業に遅れまいと走る生徒を追い越して行く。
ローラーを履いたら怒られるかな。
校内を走るななんて、校則はないらしいな。
騎士学園らしい。
ロケット加速を禁止されたら、別の手を考えよう。
普通にローラースケートでも歩くよりは早い。
フロートの魔法って手もある。
爆発ではなく、送風の魔法なら、それほど迷惑でもないだろう。
学校生活でも工夫したら、色々と技を磨ける。
廊下の移動だけでも、修行だ。
学園生活の全てをパイルバンカーの糧にする。
時間が勿体ないからな。
体術の授業で使うパイルバンカーをどうするかは思いついてない。
だが、パイルバンカーは無敵で最強。
その攻撃力でどんな難題も貫いて爆散させる。
それが、お約束だ。




