表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/13

第4話 殺し屋成敗

Side:スルース


 さて、強敵にパイルバンカーで立ち向かうには作法がある。

 パイルバンカーの搭載されたロボットは高速機動で近づく。

 ボロボロになってからゆっくり接近して、パイルバンカーってのもおつだけど。

 大抵は高速機動だ。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、ひゃっはぁ。ロケット加速」

「おいおい、何だそれは?」


 殺し屋を驚かすことができたらしい。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、【バリヤー、エクスプロージョン】、【バリヤー、エクスプロージョン】、体当たり」


 ランダムに動き最後に殺し屋に体当たり。

 殺し屋の腹に激突した。


「うっ、やりやがったな」


 殺し屋がナイフを落とす。

 ナイフを貰いっと。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、ロケット退避。ここからが本番だ」


 俺は殺し屋と距離を取って対峙する。


「6歳の子供だと思って油断した。次はこうは行かないぞ。武器強化、瞬発力強化、毒魔力付与」


 殺し屋が予備のナイフを抜いて構える。

 スキルも使っているようだ。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、ロケット加速最大。【バリヤー、エクスプロージョン】、バーニヤ、緊急制動」


 急加速からの急停止。


 殺し屋は、ナイフを空振りした。

 ナイフは刃が光って、レーザーブレードみたいだった。

 ナイフを振った軌跡が、光の弧として残っている。

 振るスピードが速くて、空振りの態勢になってたので、攻撃したんだなと推測した。


 スキルを使った全力の攻撃だな。

 でも当たらなきゃ意味がない。


「なっ」


 大技の後には隙ができる。

 この殺し屋は分かっている人だ。

 お約束に付き合ってくれている。

 すかさず、殺し屋に密着。


 くぅ、この展開は痺れる。

 敵の必殺技を空振りさせてからの逆転。

 燃える、燃える、ハートは溶鉱炉だ。


「【バインド、バリヤー、エクスプロージョン、クールウォーター】、ナイフバンカー」


 ナイフが空中に固定され、爆発で殺し屋の額にめり込む。

 俺は反動で2メートルぐらい、ずざざと後ろに滑った。


 殺し屋は崩れるように倒れた。

 どうやら、死んだようだ。

 うん、ほのかな蒸気も完璧。


 パイルバンカーで殺されるなら、満足しただろう。

 俺なら、天国に行けるぐらい嬉しい。

 殺し屋にしては贅沢な死に方だ。


 さて、鹵獲といきますか。

 殺し屋のナイフを全部頂く。

 全部で4本か。


 他の持ち物は、鍵がひとつ。

 財布ぐらい持ち歩けよ。

 使えない奴だな。


 しかし、何の鍵だ?

 普通に考えたら、こいつの家の鍵だな。

 どこに住んでいるんだ?

 調べるのは難しそうだ。

 そんなことをする暇があったら、パイルバンカーを極めたい。

 とりあえず、鍵は捨てないでおこう。

 何かの時に役に立つかもな。


 殺し屋の顔を見ると、今までに会った記憶がない。

 服は俺が住んでた屋敷の使用人の物だけど、屋敷の使用人ではないな。

 屋敷で1度会ったら、さすがに忘れない。


 路地裏から出て、目撃者がいないか、辺りを見回す。

 どうやら、見てた奴はいないようだ。

 正当防衛を主張できるけど、手続とか聴取で時間を取られたくない。

 さっきも思ったが、そんなことをする暇があったら、パイルバンカーを極めたい。


「あーあ、追放かよ。でも……うひゃひゃひゃ。煩わしい何もかもがない! パイルバンカーするのに、あんな屋敷にいられるか! 1日に1回はパイルバンカーしないと、禁断症状が出る。これからは、気兼ねなくできる。ははははっ」


 歩きながら、笑う。

 戦闘モードから、頭が日常モードに切り替わった。


 自由にパイルバンカーが開発できる。

 なんて素晴らしい。


「ひゃっはー! 自由って、素晴らしい。ビバ、パイルバンカー。いらっしゃいませ、パイルバンカー。おいでませ、パイルバンカー」


 お金がないから、まずは木の杭からだな。

 探せば棒ぐらい見つかるだろう。


 ナイフでのパイルバンカーは邪道。

 杭でないとパイルバンカーとは言えない。


 棒は裏庭に積んであった薪から一本拝借した。

 そして、ナイフで削って、先端を尖らせる。


 よし、実験するにも目標がないと格好がつかないな。


 前に一度連れられてきた冒険者ギルドに入る。

 ギルドの中は、冒険者がたむろしてた。


 パイルバンカーをぶち込みたいような硬くてでかい奴はいない。

 命拾いしたな。

 せいぜい人生を謳歌すると良い。


 確か、地下に訓練場があったはずだ。


 地下への階段を下りる。

 案山子が何体か立っていた。

 よしやるぞ。


「【バインド、バリヤー、エクスプロージョン、クールウォーター】」


 木の杭が空中にセットされ、その後ろに結界ができる。

 結界の中に爆発が生じて、爆発音。

 木の杭が案山子に激突する。

 そして、結界が冷やされ、湯気が少し。

 完璧だ。


 だが余波を食らって俺は少し後ろに飛ばされた。

 些細な事だ。

 反動がないパイルバンカーなんてパイルバンカーじゃない。

 これも醍醐味だ。


「おい、何の音だ?!」


 冒険者が様子を見に来た。


「爆発魔法の訓練だよ」

「それにしては音がでかかった」

「結界の中で爆発させるとこうなるんだ」

「それって自爆じゃないのか」

「うん、余波がないのはパイルバンカーとは呼べない」


「なんか知らんが、まあほどほどにな」


 全然、想定した威力じゃない。

 案山子に杭は当たったが、僅かな傷だけだ。

 爆発が足りなかった。

 だいぶ加減したからな。


「鉄の杭を撃ち込む仕事ってある?」

「石切り場か、鉱山だな。どちらも危険な仕事場だ。子供が行く所じゃない」


 よし、鉱山に行こう。

 ひゃっはぁ、これから毎日パイルバンカーざんまいだ。


 その前に、冒険者登録だな。

 これをしないと仕事ができない。


 1階に戻り、カウンターの前に行く。

 まだ、背が低いので、辛うじてカウンターの上に頭が出るぐらいだ、


「登録をお願い」

「いくつ?」

「6歳。年齢制限はないよね?」

「ないけど、最年少かもね。文字は書ける?」

「ばっちり」


 用紙を埋めていく。

 スキルがないんだよな。

 悔しいので願望として、スキル欄にパイルバンカーと書く。


「Fランクからね。凄いスキルとかあれば、特例でDランクからだけど、パイルバンカーって聞いたことがないから考慮されないよ」


 カードを通す紐を貰った。

 カードの穴に紐を通す。

 あれも、つけとこう。

 殺し屋の鍵も紐を通した。

 紐を首に掛け、カードと鍵をぶら下げた


 ええと、鉱山の仕事……鉱山で調理はパス……鉱石の運搬もパス……採掘はないのか?

 Fランクではないのか?

 あー、Cランクに鉱山周辺のモンスター退治があるな。

 パイルバンカーの活躍の場は採掘以外にない。

 他の仕事など認めん。


「あっ、ランク問わずに、鉱山の採掘がある。これだよ! これ! 常時依頼なので、カウンターで申し出て下さいか」


 定員がないのは良いな。

 きっと、慢性的な人不足なんだろう。


 ええと、採掘道具は現場で用意してます。

 良いね。

 鉄の杭とか買いたいけど、金がないからな。


 行く前に腹ごしらえしたい。

 ギルド併設の酒場のカウンターにナイフ1本を抜かずに置いた。


「これで食わせて」


 女性の給仕に話し掛ける。


「あいよ。ナイフね。見た所、結構高い気がする。武器屋に持っていったらどう?」

「そんなめんどくさいことはしない。いますぐに、食べたいんだ」

「そうかい。じゃ、ツケってことにしとくよ。金が貯まったらナイフを取りに来な」

「ありがとう」


 ツケで日替わり定食を食べさせてもらった。

 腹一杯だ。


 さあ、鉱山に行こう。

 パイルバンカーざんまいが待っている。

 まだ見ぬ、強敵よ、待ってろ。

 俺がパイルバンカー最強を証明しに行くからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ