第37話 ゴーレム討伐
Side:スルース
「バーニヤ! バーニヤ! バーニヤ! はい、背中にとりついた。スキル破壊魔力パイルバンカー! アダマンタイトパイルバンカー! いっちょ上がり!」
ジャキンという音と、爆発音。
黒いアダマンタイトの杭が、ハッチを貫通して、中のパイロットを貫く。
プシュー音がして、スパークがハッチから発生、爆炎が上がった。
スパークと爆炎の魔法は様式美だ。
「ごぼっ、敵襲……」
俺の存在がばれたな。
だが、構わない。
カタパルトから出撃で気分は上々。
苦戦しない戦いなど、つまらない。
ある程度の苦戦はスパイスだ。
このゴーレムは遠距離戦闘用らしい。
武器は杖型の魔道具。
一番奥に遠距離タイプを配置する。
理に適った配置だ。
背後からの戦いを予期しないのであればだが。
ここに配置された兵士が駆け寄ってくる。
相手をしても良いが、弱い者虐めは趣味じゃない。
それに、敵が慌てている今、次のゴーレムに行くのが成功率を高めると思う。
最大出力でロケット加速。
ふもと近くに降りた。
ふもとの施設の広場近くに、こっそりと近づく。
兵士がゴーレムの周りを警戒している。
兵士はまるで、ボスモンスターの周りにいるザコモンスターだ。
このゴーレムは盾とメイスを持っている。
守備タイプなのだろう。
杭を結界で包み爆発魔法を杭の内部で発動。
いわゆる杭型爆弾を投げ込んだ。
爆発の方向が俺がいる方向だと敵は推測するから、ロケット加速で背後に回り込む。
ゴーレムの背中が丸見えだ。
敵兵士の何人かは怪我をしたらしい。
治療しているのが見えた。
そして、兵士は、俺が杭型爆弾を投げ込んだ位置に集まっている。
馬鹿な奴らだ。
「ロケット加速! はい、背中にとりついた。スキル破壊魔力パイルバンカー! アダマンタイトパイルバンカー! あらよっと!」
ジャキンという音と、爆発音。
いつ聞いても良い音だ。
癒される。
黒いアダマンタイトの杭が、ハッチを貫通して、中のパイロットを貫く。
プシュー音がして、スパークがハッチから発生、爆炎が上がった。
「ぐわっ! げふっ! し、死にたくな……」
盗賊野郎には死をだ。
爆炎の中から、ロケット加速で颯爽と生還。
恰好良いな。
決まったぜ。
「ゴーレムがやられた!」
「くそっ、逃げるぞ! 撤退だ!」
「団長の下に集まるんだ!」
最後の1体は警戒してるだろうな。
施設を見て回る。
捕まっている人とか助けないと。
リリアンヌと作戦を考えた時に、うちの使用人と雇った方をなるべく助けて下さいと頼まれた。
捕まって縛られている人を助ける。
スキル妨害の魔道具が使われているというので、それを壊すことにする。
施設の一室に魔道具は設置されていた。
「これだな。スキル破壊魔力パイルバンカー! アダマンタイトパイルバンカー! 妨害装置をパイルバンカーで破壊か。胸熱展開だな。レーダー妨害装置とかならもっと良かったが、贅沢は言うまい」
スキルが使えるようになったので、まだ助けていない捕まった人達も、自力で縄を斬ったようだ。
続々と施設から出てくる。
「スルース様、あなたが来れば百人力です」
「最後のゴーレムをやるが、どうする?」
「私達も微力ながらお手伝いします」
戦力は増えたが、杭型爆弾の手はもう使えないだろうな。
逃げた兵士が、手口を伝えているはず。
ちなみに人間の中に魔法は起こせない。
魔力が弾くからだ。
これが出来たら、爆発の魔法で暗殺とかやり放題になる。
リリアンヌなんか、千里眼で覗いて、壁の向こうの人間も殺せるだろう。
そんなに上手い話はない。
どういう作戦で行くかな。
最後の敵と一緒に戦ってくれる人達に、鉱夫の服に着替えてもらう。
そして、鉄ノミを手に持ってもらう。
ふもとの施設には洗濯場と倉庫があるから、これらの品は簡単に手に入った。
これは、鉱夫達が反乱を起こしたという設定だ。
2体目のゴーレムをやった時に俺は姿を見られてないと思う。
1体目のゴーレムの周りの兵士は、まだふもとに降りてない。
通信魔道具を持たせてたような感じはなかった。
通信魔道具は高い。
ゴーレムには通信機能があったようだが。
俺の存在はばれてないだろう。
味方の偽鉱夫を敵は殺せないはずだ。
殺すとしてもちゅうちょや、交渉はするかもな。
鉱夫がいなければ鉱山は止まる。
それは大損害だ。
この兵士達を雇った存在が許すはずない。
少しの間、味方の偽鉱夫と、睨み合いしてもらう。
そして、隙に俺が背後に回り込むってわけだ。
作戦開始だ。
最後のゴーレムは剣士タイプ。
大剣を装備してる。
頭には角がある。
隊長機というわけか。
胸熱だ。
このパイロットは分かってるな。
実に良い。
そうだよ、隊長機はそれと判る物がないとな。
味方の偽鉱夫の一団が、最後のゴーレムにゆっくりと近づく。
一団は足を止める。
敵は、どうするか考え込んでいるようだ。
敵兵士とゴーレムの注意は完全に、偽鉱夫の方に向いた。
俺は、後ろに回り込んだ。
「ロケット加速! はい、背中にとりついた。スキル破壊魔力パイルバンカー! アダマンタイトパイルバンカー! ちょろいぜ!」
ジャキンという音と、爆発音。
黒いアダマンタイトの杭が、ハッチを貫通して、中のパイロットを貫く。
プシュー音がして、スパークがハッチから発生、爆炎が上がった。
「俺が死ぬ?! かふっ! 死ねるものか……」
パイロットの断末魔を聞いて、爆炎の中から現れる。
良い終わり方だ。
兵士は全員が投降した。
エングレイ伯爵家の兵士達が到着。
遅いよ、遅い。
でも、空を飛べないからね。
仕方ない。
ロケット加速を、訓練させるべきかなと思ったが。
良く考えたら、魔力が少ないから、ここに来るまでに魔力切れになる。
貴族の血筋なら別だけど、そういう人は少ないのだろうな。
後の始末をエングレイ伯爵家の兵士達に任せた。
ゴーレムは修理して、そのうちリリアンヌが俺の下に届けてくれるはずだ。
首を長くして待とう。
そして、7日後、ゴーレムが届けられた。
整備基地付きで。
鉱山を襲撃したのは、ゴーレム傭兵団。
惜しいことに黒幕は分からなかった。
黒幕を知っているのは、ゴーレムに乗ってた幹部だけだ。
殺さないで無力化すれば、良かったのかな。
過ぎたことだ。
捕まった傭兵団の兵士は、各自が身代金を払って釈放。
まあ、どうでも良いことだ。
整備基地だが、傭兵団の秘密アジトだった。
その土地をリリアンヌが買ってくれた。
ゴーレムのカスタマイズを存分にできるな。
ミスリル鉱山を新たに見つけないと。
金をじゃぶじゃぶ使おう。




