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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第33話 女の気配

Side:スルース


 杭を補給しにピットマイン商会に立ち寄る。


「今日はなんの御用でしょうか」


 ヤーマルさんが応対してくれた。


「うん、杭の補充をしておこうと思って」

「魔鉄の杭の在庫はまだまだございます。希少金属ですと、少々お時間が掛ります」

「分かった。注文書を書くよ」


 注文書を書き、倉庫で魔鉄の杭を、収納鞄に入れる。

 今日はうっかりしてて、首からつるした冒険者カードを服の外に出していた。


「スルース様は、商業ギルドの貸し倉庫もお持ちなのですね」

「うんっ?」

「その鍵です」

「ああ、これね。これは敵からの鹵獲品。そうか、貸し倉庫ね。お宝があるといいな」


 鹵獲品で思い出した。

 ナイフを置いてツケで定食を食べた。

 あのお金を払ってない。


 倉庫は逃げないからね。

 先にそっちに行こう。

 あのナイフでツケにしてもらったのを、覚えている人はもういないかも知れないけど、けじめだから。


「ええと、覚えている人はいないと思うけど、10年前にナイフを置いて定食を食わせてもらった者だ」

「おう、先代から聞いてるぜ」


 ギルド酒場の料理人が覚えていた。


「食事代だ」


 そう言って俺はカウンターに金貨を置いた。


「子供だと聞いていたが、出世したんだな。この金貨は、ありがたくもらっておくよ。ほら、ナイフだ」


 カウンターに置かれたナイフを抜くと、錆なんかひとつもなかった。

 ずっと手入れをしてくれてたのだな。

 さすが、冒険者ギルドの酒場。

 俺のナイフではないが、嬉しくなった。

 これが、杭だったら、超絶凄い感動の話になったんだがな。


 さあ、殺し屋のお宝だ。

 鍵に彫られた番号の倉庫の場所を商業ギルドで聞いた。

 延滞金が発生していると言われる。

 当然、払った

 これで、しょぼい物しかなかったら、がっくりだな。


 さて開けるぞ。

 倉庫はかなりぼろぼろになってた。

 10年ぐらいの年月が経ったからな。


 中は、武器とか色々とあったが、武器はほとんどが錆びついてた。

 トレーニングに使う道具もある。

 鉄アレイみたいな物や、木の人形だ。

 木の人形の、急所にはナイフで付けたと思われる傷が付いていた。


 ガラス瓶に入った毒々しい色の液体や、粉末も棚に並んでた。

 毒に違いない。

 触らずにおこう。


 本棚には、殺人術とか物騒なタイトルばかりだ。

 奥義書なんて物もある。

 パイルバンカーには関係ないから、収納鞄に入れておいて、後で読もう。


 引き出しを開けると、色々な名前で身分証があった。

 これは殺し屋が潜入するのに使うのかな。

 これも、もーらいっと。

 潜入する必要はないけど、役に立つかもしれないからな。


 別の引き出しを開けると、満杯の金貨があった。

 とりあえず赤字は回避できたみたいだな。


 別の引き出しからは、殺しの依頼書が出てくる。

 うん、虫に食われたりもしてない。

 守備兵に渡して終わりかな。

 ふと、懐かしい名前を見つけた。

 エリーゼ。

 顔を覚えていない母親だ。


 エリーゼは殺されたんだな。

 この依頼書は俺が貰っておこう。


 母親に感謝することがあるとすれば、産んでくれてありがとうだ。

 この恩は大きい。

 依頼人を始末したぐらいでは返せない。

 勘当が解かれたら、毎年、墓参りしよう。


 俺を殺す依頼書もあった。

 エリーゼの物もだが、ふたつとも依頼人はキュラリーだ。

 糞親父の後妻だったな。

 エリーゼの仇を討ってやらないとな。


 売れる物があれば好きにして良いと言って、倉庫の始末をヤーマルさんに頼んだ。

 道場に行くと、リリアンヌの目が吊り上がった。


「スルース様から、女の匂いが致しますわ」

「お嬢様、こういう男はもてると言いましたよね。嫉妬むき出しは淑女としてはしたないですよ。とりあえず、言い訳を聞かないと。まあ、この手の言い訳は決まってますけど」


「あー、全く身に覚えがないんだけど」


 女に抱きつかれたとか、そんなことは最近ない。

 山を下りた時に立ち寄った村で夜這いされたけど、時効だよな。


 ええと、何だろう。

 18禁に近い展開なんかあったか?

 はて?

 そう言えば、18禁でお約束の台詞を聞いたな。


 くっ、殺せ。

 なんたる屈辱。

 心まで支配できると思わないことね。

 だったな。


 ナノマシン杭って女なのか。

 意外だ。


「リリアンヌ、その杭を下ろせ。俺に接触したとすれば、この女だ。ナノマシン杭、略してナノだ」


 ナノって名前がちょっと可愛いから、気に入ったとか言わないんだから。

 硬い魔力を無理やりぶち込んで、あんなの気持ち良くないんだから。

 好きになったりは絶対にしないんだからね。


「スルース様が好きだという波動が杭から、伝わってきました。生きているのですね。杭では嫉妬しても仕方ありませんわね」

「生きてはいない。ナノマシンだ。意思のある機械だ」


 そういう設定。


「お嬢様、そんな言い訳に騙されるのですか。ちょろ過ぎませんか」

「分かるのです」


「お嬢様、一度、医者に診てもらってはどうですか」

「アイラ、失礼ですよ。私は心の病気ではありません」

「恋なんて、心の病気ですよ」


「ええと、ナノの凄さを見せてやる。充電魔力パイルバンカー、回復ナノマシン散布!」


 盛大に白い光がほとばしった。


「気持ちいい光ですね。疲れが吹き飛びます」

「また、妙な道具を作りましたね。馬鹿なのか、天才なのか、運が良いだけか」


 俺が作ったんではないよ。

 もらったんだ。

 ええと、ナノマシンはどうやって手に入れたという設定が良いかな。


「宇宙軍の研究者が作り出したんだ」

「まあ、別世界の宇宙軍ですね」

「お嬢様、この男の話を鵜呑みにしてはいけません。詐欺師の匂いがします」


「嫌だな。嘘は言わないよ」


 そういう設定なんだ。

 嘘ではなくて、設定を言っている。

 設定は大事。


「詐欺師なら、回復効果のある杭は手に入れられません」

「おそらく、ピットマイン商会に作らせたのでしょう。回復の魔道具が杭の中に仕込んであるに違いありません。無駄遣いですね。将来、お嬢様が財布の紐を握らないと、こんなへんてこな物に大金を浪費してしまいます」


「スルース様が稼いだお金ですから、そこまで干渉するのはどうかと」

「甘いですね。教育は早い方が良いのです。遅すぎるぐらいです。腰にぶら下げている希少金属の杭を見て下さい。あれ全部で家1軒が建ちます」


「いいじゃないですか。高級なワインとか集める人に比べたら、よっぽどましです」

「ワインは他の貴族との話の種になります。杭なんか、杭でしかないですよ。パイルバンカーという技は凄いですが、技の実物を見せられない限り、他の人は感動したりしません」


「パイルバンカーは貴族に自慢するためにあるんじゃない。強敵を貫くためだ。戦友に分かってもらえればそれで良い」

「戦う男ですね。剣技を見せてくれとパーティで言われた剣の達人が、怒ったという話を聞いたことがあります。スルース様も同じ心境なのですね」


 いいや、俺はパーティでパイルバンカーを褒められたら、何度でも見せるけど。

 自慢とかじゃないロマンなんだ。

 ロマンを分かってくれる人は同志で戦友だ。


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