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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第29話 逃亡

Side:ウェイ


「何で、アンデッドの大軍が」


 俺はウェイ。

 村人だ。

 俺達は村から、家財道具満載の荷車を引いて逃亡している。


「あの石碑を移動したのが原因なんじゃないか」

「まさか、ただの石だぞ」


 畑の外れにある石碑は別に謂れのある物じゃない。

 村の言い伝えではモンスター被害にあった人の慰霊碑だとされている。

 違ったのか。


 石碑には大きな文字で、慰霊碑と彫ってあったのも子供の頃から見て知っている。

 封印だったら、それらしく書いとけよと言いたい。

 まあ、封印などと書くと馬鹿な奴が破ろうとするかも知れないがな。


 封印ではないと思うんだよな。

 不気味な声とか聞いた奴もいないし。

 ここら辺で、化け物が出て退治したという昔話は聞いたことがない。


 そういうのがいたら、代々伝わるってもんだ。

 誇張されたり、話の筋が多少変わることはあるが、何か残こってるはずだ。

 化け物がいなくても、封印ならそんな話が伝わっていると思う。

 絶対に封印ではない。

 だが、それを言っても仕方ない。


 畑の拡張のために邪魔だったから移動した。

 慰霊碑だったから死人が怒って出てきたってのか。

 神官を呼んで聖句を唱えて貰ったのだぞ。

 エセじゃないちゃんとした神官だ。


 ゴーストが飛んできて俺達に触っていく。

 何時間も運動したかのように体が重くなった。

 話に聞いたドレインタッチだ。

 こんなにもつらいものだったなんて。


 くっ、ここで歩けなくなると、ゾンビやスケルトンに追いつかれて死ぬことになる。

 とにかく逃げるんだ。


 体が重い。

 もう横になって寝てしまえという誘惑に駆られる。


 スッキリント草を隣で荷物を担いで歩いていた奴に差し出された。


「荷物を軽くしてくれるとありがたい」

「おお、ありがたくもらおう」


 スッキリント草を噛むと、眠気は去った。

 体は重いままだが、まだ歩ける。


 聖水を何で買っておかなかったんだ。

 後悔しても仕方ない。

 アンデッドなんか、子供を寝かしつけるための、遠い世界の話だと思ってた。


 ゴーストがまた来ている。

 くそっ。

 隣の奴が、木の麺棒に布を巻いて火を点けた。

 松明でゴーストを追い払おうって算段だ。

 俺も荷車に積んである椅子を壊して松明を作る。


「来るな、あっちに行け」


 ゴーストを松明でけん制する。

 効果はあってゴーストが逃げて行く。

 だが、立ち止まっている間にスケルトンとゾンビが近づいた。

 まだ足音は聞こえないが、腐臭が漂ってきているような気がする。


 くそっ、このままでは死にそうだ。

 荷車の上の子供はぐったりしている。

 荷車を押す妻も苦しそうだ。

 会話する気力すらない。


 村の方角の空を見上げると、灰色のゴーストが塊になって飛んでいる。

 それがこっちに向かってくるのが見えた。

 荷物を全て放り出して子供だけ荷車に載せて逃げた方がいいのか。


 家財道具は後で取りにくれば良い。

 そうするしかない。


「おい、道端に家財道具を置いて行くぞ」


 妻は怠そうに頷いた。

 道端に家財道具を投げ捨てるように置く。

 みるとみんな同じ事をしていた。


 移動速度は上がったが、ゴースト集団の方が早い。

 あれに囲まれたらもう終わりだ。


 くそっ、神様助けて。


「何だ、空に何か浮いてやがるな」


 冒険者が道に立っていた。


「ゴーストだよ。あれに囲まれたら終わりだ」

「パイルバンカーで蹴散らせるかやってみよう」


 冒険者は銀色に輝く杭を手に取ると構えた。

 そして、空を飛んで行って、空中で爆発を起こした。

 ゴーストの塊に穴は開けられたが、冒険者はゴーストに囲まれた。

 駄目か。


 その時に、ゴーストの塊が爆発した。

 冒険者が落ちてくる。


 俺達は勇敢な冒険者の亡骸だけでも運んでやろうと落下した地点に急いだ。

 それにしても、最近の冒険者は自由に空を飛ぶらしい。

 そういうスキル持ちかな。

 自由に空飛べたら気持ちいいだろうな。


「いててっ、バーニヤが間に合って良かった。ミスリルの杭の中で爆発を起こすなんて、するもんじゃないな。結界の中にいてもヒヤヒヤしたぜ」


「ありがとう。見事な攻撃だった」

「いいや、外道技を使っちまった。杭を爆発させるなんてパイルバンカー道にもとる」


「パイルバンカーという技なんだな」

「ああ、そうだ。興味がある?」

「ゴーストが倒せる技なら興味がある」


「パイルバンカーは杭を爆発の力で撃ち込む攻撃だ。さっきのは邪道だったがな。撃ち込んだ後に杭を爆発させるなんて、外道と言うほかない」

「打ち込んだ杭を爆発させるのは確かに危険だな」

「パイルバンカーで撃ち込んだ後に敵のロボットが爆発して、巻き込まれるのはあるあるだな。大抵は爆発の煙を引き裂いて、颯爽と生還するのがお約束だけど」


 何を言っているのか分からない。

 とりあえず頷くしかない。


「うんうん。それで杭を爆発させるのはあと何回出来るんだ」

「ミスリルの杭なら、あと9回だな。アンデッドは鉄じゃ駄目だろう」

「ああ、粉々にしても死なない。魔石を砕くか、焼くか、聖水を掛けたら別だが」


「魔鉄の杭に聖水を塗って爆発させるか」

「もしかして、聖水を持っている?」

「ああ、持っている」


 もしかして勝てるのか。

 だが、冒険者がひとりだけでは。


「スケルトンとゾンビの軍団が近づいてる。あんたも逃げた方が良い」

「パイルバンカーは最強だ。それを証明するんだ」

「分かった。俺はあんたを見届ける。それが男ってもんだ」

「好きにしろ。そうだ、これを装備してみろ」


 右手だけのごついガントレットを差し出された。

 魔道具の武器なのか。

 凄い威力かも知れない。


 それぐらいごつい。

 使い方を教わったので、樹の幹に向かって撃ってみた。

 轟音と共に、杭が幹を貫く。

 反動が凄い。

 農作業で鍛えてなかったら、腕がどうにかしてたな。


 危ない武器だ。

 だが頼もしい。

 これなら、オークでも倒せるだろう。

 簡単に壊れそうな骨で出来たスケルトンなんか敵じゃない。

 ゾンビも上半身ぐらい吹き飛ぶに違いない。


「気にいったか? これもパイルバンカーだ」

「おう、これなら無敵だ」

「分かってくれて、嬉しいぞ。そうだよ、無敵なんだ」


 この借りた武器だけでも、この男が凄いのが分かる。

 ゴーストの塊を退治した技があるなら、スケルトンとゾンビの軍団も倒せるのではないかと思う。

 この男に賭けてみても良いんじゃないかと思った。


 最悪、俺が逃げられなくて死ぬだけだ。

 逃げている他の村人も逃げ切れるとは思えない。

 早いか遅いかの違いだな。

 希望があるなら賭けてみたい。

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