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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第26話 オーガ討伐

Side:パーチェス


 スルースのオーガ退治を見届ける。

 スルースが死んだら、遺体は必ず家族の元へ届ける。

 それが今まで良くしてくれたスルースへのせめてもの恩返しだ。


 ローラースケートを使った移動は速い。

 オーガを翻弄できるはずだ。

 勝算は大いにある。


 パイルバンカーという技がどこまで通用するか。

 それが、明暗を分ける。


 あんな杭で強敵のAランクモンスターがどうにかなるものか、半信半疑ではある。

 金属とはいえ、ただの杭だぞ。

 背丈ほどの大剣とは違う。

 頼りない感が拭えない。


 街道のオーガの縄張りで待ち受ける。

 ズシンズシンという音が聞こえてきた。

 オーガの背丈は人間の2.5倍ぐらいだが、10倍はあるような錯覚を感じる。


 行きの時に出会わなくて良かった。

 出会っていたら硬直して何も出来なかっただろう。


 オーガが街道に出て来た。


「見てろ。これこそがパイルバンカーだ。【バリヤー、エクスプロージョン】、ローラーダッシュ。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。でかぶつは足を狙う。セオリーだ」


 スルースがオーガに肉薄。

 ジャキンと音がしてから爆発音。

 オーガの脛から真っ赤な血が噴き出した。

 オーガの骨は折れたようだ。


 凄い。

 今まで疑って申し訳ない。


 オーガの絶叫が響き渡る。

 もしかして、あの黒い杭はアマダンタイト。

 なんという高価な物を使っているんだ。

 だが、そのぐらいでないとオーガの硬い皮膚を突破することはできない。


「弱点狙いも定石。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。弱点がむき出しなのはお約束」


 オーガの股間から血が噴き出した。

 オーガは絶叫して倒れた。

 えげつない攻撃だ。

 騎士なら、そんな攻撃は絶対にしない。


「さいごは頭だ。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。ヘッドショットもロマン」


 そして額に止め。

 凄いのは分かるが、なんという金の無駄遣い。

 これにさらに魔石の粉の無駄遣いが加わるのか。

 商人の俺としての感想は、狂人の所業だ。


「どうだ。パイルバンカーは恰好良いだろう」

「アダマンタイトを使うなら剣の方が格好いい」


 言ってしまった。

 もう気分を害しても問題ない。

 街は助かったのだから。


「ちっちっちっ、素人はこれだから。黒光りする杭は最高に恰好良い。剣など足元にも及びつかない」


 気にはしてないようだ。

 懐の広さを感じる。

 友達になるのも良いかな。

 帰るまでに、連絡先を聞いておこう。


 変人だが天才だし、良い奴であることは間違いない

 そのうえ強い。

 一人でサクっとオーガ瞬殺だからな。


 だが、アダマンタイトの杭を作るなら。

 その金で冒険者を100人雇った方が良い。

 その方が確実だ。

 商人の俺ならそう考える。


 収納鞄にオーガを入れて終わりだ。

 変人だが、金持ちだ。

 収納鞄が羨ましい。


 街にオーガ討伐成功の報を持ち帰ると、宴会騒ぎになった。


「パイルバンカーの良さは分からないが、あんたに敬意を表して、パイルバンカーの技を伝えようと思う」


 パイルバンカーは今でも、もっと他にやりようがあると言いたい。

 だが、実績を出しているという事実があるからな。


 なんでこんな商品が売れるのかと、さっぱり分からない商品もある。

 いちいち否定しても仕方がない。

 実績は実績だ。

 パイルバンカーの強い理由や原因などを分析するのは学者に任せるさ。

 俺は商人だ。


「そうか」


 スルースがとっても嬉しそう。

 オーガの死骸と魔鉄の杭100本と連絡先を置いて、スルースは立ち去った。

 太っ腹だな。

 これじゃお礼の金を貰っても赤字だろう。


 商人の俺にとって赤字になる行為は馬鹿に見える。

 だが、スルースは軽蔑する馬鹿ではない。

 尊敬しても良い馬鹿だ。


「【バインド、バリヤー、エクスプロージョン】。うん、こんな感じか」


 とりあえず、パイルバンカーをやってみた。

 飛ばしたら駄目なんだな。

 杭の根元にでっぱりがあるのに引っ掛けるんだったな。

 スルースの威力とは程遠い。

 人間に使ったら、きっと相手は打撲で済むだろう。


 やっぱり分からん。

 先が尖っていない杭もあるが、それじゃ攻撃力ダウンだろう。

 意味が分からん。


「パイルバンカーという技の訓練ですか」


 修練場で訓練していたら、兵士が寄って来た。


「そうだが。的も満足に破壊できない」

「この平らな杭は、殺さないようにするのには良いかも知れません」

「そうか、非殺傷用なのだな。訓練用かも知れないな。ちょっと謎が解けたよ」

「俺もやってみていいですか」

「ああ、杭は何本もあるやっていいよ。パイルバンカーの訓練するなら、杭はあげよう」

「では、先の尖ったのと平なのを一本ずつ」


 兵士達がパイルバンカーに興味を示し始めた。


「何が良いんだ?」


 疑問をぶつけてみた。


「これって魔法で殴っているようなものなんですよ。殴るとすかっとするでしょう。それが良いんです」


 なるほど、そう考えたら良かったのか。

 殴ってスカっと爽快ね。

 さしずめ大振りの全力パンチなんだろうな。


 そうなると杭は拳か。

 アダマンタイトの杭は極限まで拳を鍛えたってわけだな。

 金の力でだが、ロマンを感じる。


 兵士は木の杭を作って先にわたを付けた。

 これなら、目にでも当たらなければ危なくない。

 パイルバンカーを使った戦闘訓練が始まった。


 確かに殴り合いだ。

 見物している兵士も熱狂する。

 急所に食らって身もだえしたり、ふらついたり。

 外して大笑いされたり。


 野蛮だがこういうのが好きな男の気持ちも分かる。

 飛びナイフよりは実用的ではないが、ロマンに文句を言っても仕方ない。


 やがてわたが付いた木の杭は兵士の武器として正式採用された。

 そして、街の犯罪が減った。

 性質の悪い酔っ払いなども木の杭をみると大人しくなる。


 剣では相手を殺してしまうからな。

 そういう意味では平和的な武器だ。

 優しさがある武器とも言える。


 俺はスルースに手紙を書いた。

 パイルバンカーの魅力を分かってあげられなくて済まなかった。

 あれは拳の殴り合いみたいな物なのだな。

 やっと意味が分かったよ。

 男のプライドなんだな。

 優しさが詰まった武器でもあると書いた。


 スルースから返事が来た。

 パイルバンカーが流行ってくれて嬉しいが、あれは一撃必殺の武器なんだよ。

 戦場で生まれた紛れもない武器だ。

 ただ、男のプライドという意味は共感できると書いてあった。


 やはり天才の言うことは分からん。

 あれを一撃必殺にするまで磨くのなら、もっと別の方法があるだろう。

 金と労力を考えたら、俺ならやってられない。

 ロマンの産物か。

 そう思った。


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