表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/53

第21話 巨人ゴブリン

Side:サムボデ


 こんなの勝てるわけないだろ。

 ゴブリンの大きさは丘よりでかい気がする。


「おっし、良い具合にでかぶつだ。良いねぇ。燃えるねぇ。胸熱だねぇ」


 こいつ、頭がおかしい。

 冒険者の男は怯えもせず丘ほどの大きさになったゴブリンの前に立った。

 結末は見届けないと。

 きっとグシャって潰されて終わりだろう。

 そうしたら逃げるぞ。

 村人はみんな避難して、村には俺しかいない。

 気兼ねなく逃げられる。


 隣村からも逃げよう。

 城壁のある都会に行くんだ。

 でもあのゴブリンの背は城壁より高い気がする。


 禁忌を犯した俺はきっと縛り首になる。

 いいや、もっと遠くに逃げるんだ。


 巨大ゴブリンが冒険者に向かってパンチを繰り出す。


「ほら、言わんこっちゃない。一撃でグシャっとなった。あれっ?!」

「行くぜ! 拳砕き! 【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。ざまぁ! 右手を殺したぜ!」


 声が聞こえ、爆発音。

 巨人ゴブリンの拳が跳ね返され、辺りは緑色の血で染まった。


「グギャーー!!」


 鉄ノミで、拳を砕いたのだな。

 俺達は勘違いしていたらしい。

 サムワンもこの人は詐欺師みたいだと言っていたが、確かに詐欺師だ。

 弱い感じをして、ドラゴンに匹敵する。

 スライムの皮を被ったドラゴン。


 プシューという音と蒸気。

 爆発は分かる。

 魔法言語を唱えていたから、魔法なんだよな。


 でも、蒸気に何の意味が?

 魔法を終えたら、冷やす必要はない。

 魔法が終われば消えるのだからな。


 百歩譲って、爆発を冷やしていたと考えても良いが、プシューという音はしないだろう。

 謎だ。


 意味が分からん。

 魔法にはそれほど詳しくないから、分からないだけかも知れないが、何となく無意味な手順があるような気がする。


 巨人ゴブリンは砕かれていない手を突き出すと巨大な炎を生み出した。

 合成にはゴブリンマジシャンも混ざっている。


 モンスターの魔法には敵わんだろ。

 モンスターは魔石で魔法を強化してるから、人間の魔法の何倍も強力だ。

 火球が冒険者を襲う。


「魔法破壊魔力パイルバンカー! 魔法破り! これじゃ駄目か!」


 駄目かなんて言っている暇はないだろう。

 でも、火球は空中に止まったように見えた。

 だが、少してて、じわじわと進み始める。

 魔力パイルバンカーという技が押し負けているのだろう。


「消し炭になるぞ! 逃げろ!」

「やっぱり、金属の杭じゃないとな。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。ミスリルパイルバンカー! これだよ! これっ! 一度、ミサイルなんかをパイルバンカーで撃墜してみたかった」


 銀色のノミが火球を打ち砕いた。

 巨大な火球が吹き消されたように消える。

 やっぱり、聞こえるプシューという音と、謎の蒸気。


 なんということだ。

 ドラゴンの比ではない。

 神だ。


「くっくっくっ、足元がお留守だぜ。【バリヤー、エクスプロージョン】、ロケット加速。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。でかぶつは足からってのが定石だ」


 物凄い速さで近づくと、巨人ゴブリンの足首を砕いた。


「グギャーー!!」


 巨人ゴブリンが片膝を付く。


「丈夫な方の足もいっとけ。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。これぐらい大きい巨大蜘蛛メカもやってみたいな。8本の足を砕いてから、止め。想像するだけで、痺れる展開」


 両足を砕かれて巨人ゴブリンは横たわった。

 こんな大きさの巨大蜘蛛なんて、勘弁してほしい。

 俺は想像するのも嫌だ。

 巨大ゴブリンは遅いが、巨大蜘蛛は速いだろうからな。


「止めだ。【アラーム、シャープエッジ、バインド、バリヤー、ロール、エクスプロージョン、クールウォーター】。足を砕いてから止め。ロマンだよな。弱点ですと言わんばかりの、むき出しのコアとかあるとなお良い」


 巨人ゴブリンの額を魔鉄の杭が砕いた。


 巨人ゴブリンは死んだ。

 あんなにあっけなく。

 むき出しの弱点。

 そんな生物がいたら、すぐに絶滅するだろう。


「勝てただろう。でかいだけのゴブリンなんてパイルバンカーの敵じゃねぇ。戦いは胸熱だったがな」


 緑色の血まみれで冒険者がニカっと笑う。


「ありがとう。あんたは神だ」

「そうだな。名人みたいに上手い奴を神と呼ぶ。この世界でもっともパイルバンカーが上手いのは俺だ。だから神だと言っていい」

「普通に偉業なんじゃ」


「素材は採らないのか?」

「えっ?」

「こんだけでかいと魔石もさぞでかいだろうな」


 巨人ゴブリンの魔石を採るのは大変だった。

 だがその甲斐はあった。

 おそらくSランクモンスターの魔石に匹敵するだろ。

 冒険者はその魔石を村に寄付するという。

 良い人だ。


「ああ、そうだ。空の飛び方を教えてくれ」

「簡単だよ。結界魔法を作って中で爆発魔法を起こす。一方向の結界を薄くしておくのがコツだ」

「【バリヤー、エクスプロージョン】、ぐべっ」


 俺は吹き飛ばされてゴロゴロと転がった。


「大丈夫か? まあちょっと慣れるまで危ないがな」

「ぺっぺっ、もうやらない」


「そういうなよ。それで杭を撃ち込めばパイルバンカーだ。パイルバンカーは良いぞ。どんな硬い物も砕く。胸熱だろう」

「いや、安全に空を飛びたいだけなんだが」


「パイルバンカーの良さが分からないなんて人生の半分は損をしているぞ」

「そうか。ならやってみるか。【バリヤー、エクスプロージョン】」


 俺は地面に木の杭を打ち込んだ。

 爆発を小さくすればそれほど危なくないな。

 杭を打つ作業は農作業やっているとままある。

 それに柵とか作るのにもな。

 良い事を教わった。


「なに地面に杭を撃ち込んで満足しているんだよ」

「便利だから」

「まあいいか。パイルバンカー最高だろう」

「ああ、最高だ。なんとなく気持ちいいしな」

「そうなんだ。エクスタシーなんだよ。次はモンスターに挑戦してみろ。そして最後はドラゴンだ。ドラゴンがやれたら免許皆伝だ」


 夢物語みたいなことを言う男だ。

 英雄はみんなこんな感じなのかな。

 玩具を与えられて、その良さを力説しているみたいだ。


「もう行くのか」

「ああ、村のみんなに謝っておいてくれ。今回の騒動は俺が原因だ」


 やはり頭がおかしいようだ。

 ゴブリンなんざ定期的に大発生するだろう。

 そんなの誰のせいでもない。

 やはり神にでもなった気でいるのかな。


「俺達は誰もあんたを恨んじゃいない」

「そうか。なら良い。もし撃ち砕けないような硬い敵が現れたら連絡しろ。硬い岩でも良いぞ」

「おう、そうさせてもらうよ」


 冒険者は去って行った。

 巨大ゴブリンの皮をなめす作業が始まった。

 皮の盾や鎧が量産され、かなり儲かった。

 畑の作物と家畜は全部ゴブリンにやられたが、お釣りが来るぐらい儲かった。


 上手く事が収まって良かったよ。

 俺は従弟のサムワンと一緒にパイルバンカーを毎日練習している。

 そのうち空が飛べたらいいなと期待して。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ