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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第2話 悪夢

Side:キュラリー


 スルースの顔を見ると、その夜はエリーゼに復讐される夢を見てうなされる。

 なぜなら、エリーゼを殺させたのは私だから。

 子供の頃から、悪事を働いていた私だけど、殺しに関わったのはそれが初めて。

 貧乏貴族で育って、奸計は何度も実行した。

 成り上がるためには仕方ない。


 嘘の噂を流したり、脅迫したり、生き物の死骸を送りつけたり。

 チンピラを使って怪我をさせたり。

 とにかくいろいろとやった。


 殺し以外の悪事では、悪夢なんて見なかったのに。


 スルースを殺したい。

 殺したら悪夢にスルースも加わる気がする。

 それは、ちょっときつい。

 だから、手を出すのを控えてる。


 スルースを殺してエリーゼの悪夢から逃れられるのなら、すぐに実行したでしょうね。

 私も母だから、分かる。

 スルースに手を出したら、エリーゼがもっと怒るような気がする。

 悪夢が酷くなると思ったら、気が引けても仕方ない。


 歯がゆい。

 いまの状況がもどかしい。


 夜中、エリーゼの悪夢で目が覚める。


「奥様、大丈夫ですか?」

「エリーゼ、死ね! 土の中に戻れよ! ブス! この売女! もう、何で!」

「奥様、気を確かに」


「あなた、何か聞いた?」

「いいえ」

「きーっ! 嘘おっしゃい! 嘘つきは鞭打ちよ!」

「お願いです。許して下さい」


 メイドを乗馬鞭で打って、気が晴れた。


「母様」


 ガセインが立っていた。


「ガセイン、うるさくしてごめんなさい」

「ううん、しっこ」


 メイドがガセインをトイレに連れて行く。

 ガセインと一緒に寝てあげたいけど、悪夢があるから。

 お母さんを許してね。


 音のしない笛を吹くと、しばらくして秘密の出入り口から黒ずくめの男が入ってきた。

 こいつが、エリーゼを殺した殺し屋。

 普段はこの屋敷の隣の家で待機してる。


「夫はエリーゼの死因を疑ってはいない?」

「病気で死んだと思ってるよ。安心しな」


 殺し屋には昼間、秘密の抜け穴から、天井裏に入って、夫の情報を探ってもらっている。


「そろそろ、私が書いたエリーゼの殺しの依頼書を処分しても良いんじゃない」

「あれは保険だからな。あんたが裏切るとは思ってないが、口封じってのは良くあることだ。心配するな。依頼書は肌身離さず、持ってるよ。俺は殺されるような間抜けでも、3流でもない。だから、依頼書は安全だ」


「仕方ないわね」

「呼び出しは新しい仕事か?」


「ええ、ピットマイン商会は知ってるわよね」

「ああ、中堅の商会だ。裏工作はしないと評判で、仲間内の評価は高い。会頭はやり手だと言われてる」


「ウータルフ商会がうとましく思っていてね。私に、何か手がないかと言って来たのよ」

「会頭を殺すのか?」

「ピットマイン商会に勤めてる商人がみな有能で、会頭を殺しても次の会頭候補達も同じぐらいの手腕を持っているみたいなの」

「全員を殺すのは難しいな。ひとり殺したら、警戒されるからな」

「お金を奪うのが、良いと思ったのだけど」

「俺は殺し屋だ。あんたに関わる命令は別だが、殺し以外の仕事はしない。ウータルフ商会からの殺しの依頼なら受ける。ウータルフ商会の依頼で、密偵の真似事はしない」


 商人にとって大事なのは商品と信用。

 隊商をどうにかするべきね。


「隊商の馬を殺してほしい」

「馬か? 確かに殺しには違いないな。よし、引き受けた」


 こうすれば、商品は届かない。

 上手くころべば、信用を失うだけでなく、商品も失うことになる。

 移動できなくなれば、状況によっては荷物を捨てていかないといけない。


 ウータルフ商会は実家の出入り商人のひとつ。

 私の父は政敵への裏工作とかも頼んでた。

 私も何度か、使ったことがある。

 ウータルフ商会は殺しの仕事はしない。

 情報収集や噂の操作、嫌がらせや脅迫などが得意。

 戦闘員がいないので、今回みたいな時はなかなか手が出せない。


 戦闘員を抱えないという方針は何となく分かる。

 裏切られたら、こっちの身が危ない。

 この殺し屋の男も本当は縁を切りたい。

 でも、殺しの依頼書という弱みを握られている。

 この男は色々と便利ではあるし、仕方ないのかも知れないわね。


 眠気が来ないので、子飼いのメイドを呼んだ。


「スルースの様子はどう?」

「毎日、元気に遊んでいて、すくすくと育っています。本も見ているようですが、おそらく内容は分かってないと思われます。モンスター図鑑が特にお気に入りです。たぶん絵があるからでしょうね」


 忌々しい。

 昼間にちらっと見たら、ガセインより背が高い。

 身長で、能力が決まるわけではないけど。

 同い年なのに、スルースが長男と主張しているようで、ムカつく。


 幸いにして、ガセインは夫に似てる。

 私の浮気を疑われないし、自分に似てるガセインを可愛がっているのは良いのだけど。

 将来、スルースの方が、ハンサムになるに違いない。

 スルースの評判が、ガセインより高くなるのは許せない。


 こうなったら、スキル鑑定に賭けるしかない。

 ガセインのスキルがスルースより良き物であるようにと祈るしかない。


「スルース派の使用人のリストはできた?」

「なかなか、本心を喋らない中立派もいて、まだ時間が掛ります。スルースは長男ですから、このままいけば跡を継ぐので、様子見してる者も多いです」

「きーっ! 後継ぎは絶対にガセインよ! スルースなど認めない!」

「そうですね。後継ぎはガセイン様です」

「興奮して、ごめんなさい」

「いえ」


「このイライラはスルース派のメイドにぶつけましょう。スルース派のメイドがした適当な過去のミスを思い出して、朝になったらそのメイドを連れて来なさい」

「はい」


 さあ、寝直しましょう。


「殺したな」


 夢で、肉が腐っているエリーゼが私に詰め寄った。

 体が動かない。

 肉に集っているウジ虫が、私の口から入ってくる。

 私の手をみると、皮の下にウジ虫が見えた。

 絶叫を上げる。


 夢だと分かっているけど、どうにもならない。

 皮の下のウジ虫がうごめく。


「殺したな、殺したな、殺したな」


 謝っても何しても、エリーゼは消えない。

 こんなことになると知っていたら、殺さなかったのに。

 殺さなくても、エリーゼを離縁させることはできた。

 チンピラにでもレイプさせたら、それで何とかなった。

 夫にその事実を吹き込むだけで良かったのだから。


 エリーゼが憎かった。

 私より格上の実家で、美人。

 私より先に子供を授かった。


 許せるわけない。

 それにエリーゼが妻の間は、私は愛人のまま。

 日陰者なのは、嫌だ。

 ガセインが一生、日陰者扱いされるのは我慢できない


 離縁では、エリーゼと会うたびに比べられてしまう。

 亡き者にしないと、我慢できなかった。


 うなされて、起きた。

 どうにもならないらしい。

 朝になったら、スルース派のメイドを鞭で打って、憂さを晴らしましょう。

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