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一撃必殺!パイルバンカー!~スキルがなくて追放された俺はパイルバンカーで天下を取ってざまぁする~  作者: 喰寝丸太


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第19話 奇妙な詐欺師

Side:サムワン


 くっ、ゴブリンが大量発生した。

 大量発生と言っても、50ほど。

 だが、上位種のゴブリンキングというAランクモンスターがその中にいる。


 俺は王都へ報せの荷馬車を走らせた。

 貴族の屋敷では、門の中には入れてもらえなかった。

 これは予想済み。

 うちの領主は50ほどのゴブリンごときでは動かない。


 前もそうだった。

 得にならないからな。


 街が滅ぶ規模なら別だが。

 冒険者ギルドに望みを掛ける。


「はぁはぁ、依頼を出したい。げほ、げほ……」

「落ち着いて下さい」

「すまん、急いでたのでむせた。緊急なんだ!」


「依頼書に記入をして下さい」

「そんな暇はないんだ!」

「規則ですので」


 くそっ、押し問答してる暇はない。

 こうしている間に、顔見知りが死んで行く。

 急いで依頼書を書き上げる。

 依頼書と一緒に金貨10枚をカウンターに置く。


「これで文句はないな!」

「はい。ですが、この金額で受けてくれる冒険者はいないと思います」


 心が打ち砕かれた。

 絶望で、目の前が真っ暗になった気がする。


「くそっ、この世に神はいないのか!」

「どうします?」

「仕方ない。依頼を出してくれ。可能性がある限りは諦めたくない」


 俺の出した依頼が、掲示板に貼られる。

 俺はそれが見える位置で、うろうろと行ったり来たりした。

 歩いていないと、イライラがつのるからだ。


 冒険者が俺の依頼書の前に立ち止まると、希望の光が差す。

 だが、依頼票を取らずに、別の依頼を見に行くと、崩れ落ちるぐらいがっかりする。


 そんな、ことを何度も繰り返す。

 日が暮れる頃には、もう一喜一憂することもなくなった。


「酒場にいるから、依頼を受けてくれた人がいたら、呼んでくれ」


 そう、受付嬢に告げて、ギルドの併設の酒場の椅子に腰かける。

 今日はここで寝よう。


 そして、何日か経ったが、依頼を誰も受けてくれない。

 依頼金が安過ぎたというのは分かるが、村の出身の冒険者もいるはずだろ。

 お前ら、こういう事態が嫌で、村人を救おうと冒険者を目指したんじゃないのか。

 大声で叫びたい。


 でもどうにもならない。

 冒険者ギルドの依頼掲示板の前に立っている日々。


「ミスリル鉱山に近いのか? ひとっ飛びだものな。あー、もしかしてこれって俺のせい」


 そんなことを言って依頼を手に取った男がいる。

 ゴブリンの大発生がこの人のせいなわけないだろ。

 でも贖罪だと思ってくれているのなら別に良い。

 たぶん命を懸けてことに当たってくれるからだ。


「サムワンさん」


 呼ばれたのでカウンターに行く。


「この方が依頼を受けてくれるようです」

「スルースだ」

「サムワンです」


「急ぐんだよな」

「はい」


 何、当たり前な事を聞くんだ。

 大丈夫かこいつ。

 ぶら下げている武器は鉄ノミ。

 ひとつ高そうな金属の鉄ノミがあるが、メッキだろう。


「食料を仕入れたら出発だ」


 ピットマイン商会という所に連れて来られた。


「これはこれは、スルース様ではありませんか。いつ王都に?」

「昨日だ。最後の収納鞄は回収したか?」

「ええ、手紙と共に」


「ミスリル鉱山を開くことになった。エングレイ家が取り仕切る。紹介状を書くから、上手くやれ」

「それはありがたいことです」

「魔鉄の杭、1000本とミスリルの杭を9本注文したい」

「豪勢ですね」

「金は後払いだが構わないだろう」

「ええ、信用しておりますとも」


 この人、大物なのか。

 いや詐欺師の匂いがする。

 こういう商店と取引があって、でかい話をして信用させる。

 よくある手口だ。


「食料を、馬車10台分ぐらいかな」

「在庫をかき集めればすぐ揃います」


 商人の顔がもう笑いが止まらないといった感じだ。

 俺を騙してしてやったりか。


 小さなポーチを渡されて終了。

 へっ、これが10台分の食料。

 馬鹿にするな。

 詐欺にもほどがある。


「お前、詐欺師だろう」

「えっ、何か気にいらないことがあるのか」

「そのポーチに馬車10台分だって」

「ああ、収納鞄を初めて見るのか。そうなんだよな。俺も初めて見た時は詐欺だと思った。やってみても良いぞ」


 ポーチを渡された。

 手を入れれば良いんだよな。

 手を入れると頭の中に目録が浮かぶ。

 干し肉と念じると、干し肉が出て来た。


「ほへぇ」

「なっ、驚くよな」

「凄い。こんな道具があるなんて。欲しい。いくらするんだ?」

「金貨1000枚ぐらいかな」

「へっ、き、金貨1000枚」

「ああ、そうだな。全然凄くないぞ」


 まだ詐欺だと疑っている自分がいる。

 だけど、ここまで小道具があったら騙されてもいいかなと思う。


「ひとりでゴブリン全部を相手にするのか」

「うーん、籠城戦ならいけるけど、相手も馬鹿じゃないよな。何か作戦を考えないと」


 どんな詐欺の手を考えたのか聞かせて貰おうか。


「どんな作戦で行くのか? それによっては依頼はキャンセルしてもらう」

「パイルバンカーって、多数の敵には相性が悪い。特に小さい奴にはな。敵を一纏めに出来ないかな」

「できないかなって。ゴブリンを合成して巨人ゴブリンにするのか」

「おおそれだ。合成スキル持ちが必要だな」

「モンスターの合成は禁忌だぞ。どうしてもやるのか」

「ああ、ちまちまやってやれるか。たかがゴブリン。巨体になっても強くはない。軽い軽い」


 こいつ、ゴブリンを一纏めにして逃げるつもりじゃ。

 いや大きくすれば殺しやすいのか。

 なんか泥沼にはまりそうな気がするんだが。

 もうどうにでもなれ。


「合成スキル持ちは村にいる。植物の合成をしている奴だ」

「よし、作戦は決まった。ロケット加速で向かうぞ」


 王都を出たら掴まれというのでしがみ付く。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、ロケット加速」

「うひょう。何だよこれ」

「喋っていると舌を噛むぞ。どんどん加速行ってみよう。【バリヤー、エクスプロージョン】【バリヤー、エクスプロージョン】【バリヤー、エクスプロージョン】【バリヤー、エクスプロージョン】、ロケット加速」


 もう必死だ。

 手を放したら恐らく死ぬ。

 これって止まる時はどうするんだ。


「【バリヤー、エクスプロージョン】、バーニヤ」


 ロケット加速とやらで飛ぶと地面と接触しそうになる。

 それをバーニヤでちょこちょこ修正。

 器用なもんだ。

 来る時は3日掛かった道程が1時間だ。


 着いた村はゴブリンに占拠されていた。

 詐欺師だと思っていたが、逃げ足の速い詐欺師に変更。

 きっと、ゴブリンを合成して巨大化したら逃げるつもりだな。

 巨大化したゴブリンは餓死させて殺すのかな。

 餓死するまでに村は壊滅だ。


 そんなのは許さん。

 見張っていて、逃げる兆候が見えたら、絶対に殺す。

 相打ちになってもだ。


 ロケット加速で扉をぶち破り、合成スキル持ちの従弟のサムボデの家に転がり込む。

 俺とサムボデは壊れた扉の所に家具を積んで塞いだ。

 サムボデは生きていた。

 ガリガリだが、生きていてくれて嬉しい。


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