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異世界ピザMAP! ピザ配達員は世界を測ります!  作者: クッソデカパイのナギ


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第28話 地図を描くには新しい仲間がいるらしい

ふん(うん)!…ふふおう(つくろう)…!!」


 一拍止まった後、ナトリカも立ちあがって左手を差し出しながらもごもごと喋った。何って言ったのかは確認しなくてもわかる。


 目の前には、左手であたしと握手、右手には食べかけのピザ、口の中にもピザを頬ばってるナトリカ。


「あっ…ごめん!食べてる途中なのに…。」


 決意が固まって気持ちがたかぶったあたしと、ピザを楽しむナトリカとの熱量の差にハっと気づくと、急に恥ずかしくなってそそくさと座る。


「……。」


「ふふ。リンちゃんって、やっぱり可愛いね。」


 ナトリカもゆっくり座ると、たどたどしいあたしを形容した。


「なんだよ~…。」


「リンちゃんも一緒に食べようよ。」


 むす~っとして応えたあたしをなだめるようにナトリカが誘う。


「えっ、いいよ。ナトリカに作ったピザだし。」


「こんなに一気には食べられないよ。リンちゃんも一緒に食べてくれた方が嬉しい。」


「そう…?じゃあせっかくだし、もらっちゃおうかな。」


 遠慮なくグリーン・ブロウの一片をいただく。一口噛んだ瞬間にルッコラとバジルの香りが鼻の奥に広がっていった。そうそう、これこれ。


 生のバジルは、ミント程ではないけど、強めの清涼感が尾を引いて口の中がスースーするんだよね。そこにルッコラも多めに入れてあげることでバランス良くまとまったんだ。


 昨日も試食したけど、やっぱり何度食べても美味しいものは美味しい。


「そう言えば、次はどこの方面に地図を描きに行くか決めてるの?」


 一旦落ち着いたナトリカが口を開く。


「ううん。実はまだなんだ。ちなみに、何か他国関連の情報を知ってたりする?」


 ちょうどピザ1ピースを食べ切ったあたしも打ち合わせモードに入る。


「それが…生活圏外の情報が一切なくて…。」


「だよね…。一応、現状を確認すると、フローラリア王国を拠点にして東西南北のどこにでも行けるの。その中で、今回は東に進んでネレイダ王国にたどり着いたわけなんだけど、ネレイダ王国よりももっと先があるよね。」


「うん。この先は森林地帯が広がってるの。森林が日光を遮断してくれるから涼しい気温で調査を進められると思う。だけど1日で終わるわけじゃないだろうから、森に入って先に進むとなると入念な準備をしなくちゃいけない。例えば、雨が降ってもある程度は森林が遮ってくれるけど、この前のように急な大雨だと濡れるのは避けられないしね。少し先の気象を予測することはできても、全て正解ってわけじゃないから、急な天気の変化にも耐えうる装備が必要だと思う。」

 

 天候に詳しいナトリカに頼もしさを感じる。心強い仲間がそばにいてくれるから、計画的に測量を進めて行けそう。


「そうだね…あたしたち2人きりだし、まずは見通しの良い土地から少しずつ形にしていこう。」


「その方が良さそう。フローラリア王国を拠点にして、次はどの方角に進もうか…」


「う~ん……。ネレイダまでの測量を進めてる時に気になってたんだけど、北には山脈が横たわっているよね。」


「うん。ネレイダからも見えるし、すごく広範囲だと思う。」


 山を越えるとなると、地図の技術の問題だけじゃなくなってくるよね。


「一度、山脈の付近まで行ってみようかな。そこを行き止まりにして、北側の範囲を確定させよう。」


 と言ったところで重大なことを思い出す。


「あっ、そうだ!任命式があるんだった…」


「任命式?」


「うん。フローラリア王国から、正式に地図作成を任命されることになったの。危険性が増してくるから、国も地図作成に協力してくれるって。あと、旅の同行者をあたしが指名して良いってさ。」


「リンちゃんが選べるの?」


「うん。だから、ナトリカにお願いしようと思ってるの。行きたがってくれてたじゃん?」


「えっ…私で良いの…?」


「もちろん!フローラリアの侯爵様がね、地図作成は長旅になるから、一緒にいて信頼できる人じゃないとダメだろう、って言ってくれたの。」


「信頼…できる人…。」


「一緒に地図を作ろうって言ってくれたし、天候に関する知識は絶対に武器になるし、そうすれば、ナトリカも正式な…」


「……。」


「…ナトリカ?ねぇ、ナトリカ~?…ナトリカってば!」


「えっ!?は、はい!」


「急にどうしたの?」


「ご、ごめん。何だっけ!?」


「だから、あたしが指名すれば、ナトリカも正式な地図作成の一員だよって言ったの。」


「あ、ありがとう!嬉しいよ!!」


「ほんと~?なんか重たそうな表情カオしてるんだけど…。」


「そんなことないよ!リンちゃんに付いて行くだけじゃなくて、“同行者”っていう重大な役割に任命されることにびっくりしちゃったの。」


 そりゃそうだよね。自分からあたしに“付いて行く”のと、国から任命されたあたしに“同行する”のとじゃ精神的な負荷が変わってくる。


「それに…信頼してるって言ってくれて嬉しい。」


 ナトリカはあたしに静かな笑顔をくれた。


「その任命式はいつ執り行われるの?」


「3日後なんだ。ただ、3日間何もしないってわけにもいかないから、明日からあたしだけで可能な限り北側の測量を進めていって、任命式までに戻って来ようと思ってるんだ。ナトリカは任命式の後から…」


「私も行くよ。」


「へっ?行くって…明日から始めるんだよ?フローラリアからスタートだよ?」


「大丈夫。明日から行けるから、2人で任命式までに戻ってこようよ。」


 えっ…!?ほんとに明日から来れるの!?ナトリカの加入は、てっきり任命式後だと思って一人で進める準備をしてた。だから意外な返答に少し戸惑ったけど、あたしの思惑よりも仲間が増えるワクワクの方が一瞬で勝つ。


「じゃあ、明日から一緒に地図を進めようっ!」


「うん、私も頑張るねっ!」


 2人で「オー」と拳を突き上げて決意表明をする。単独で進めてきた地道なプロジェクトが、少しずつ賛同を得て拡大していく様子に確かな充実感があった。

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