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最臭屁器聖女は勇者パーティーを離脱しました  作者: 凜古風
タマタマは男の宝物です
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朝食そして出発

 丸だしだった下半身に下着を履き、ズボンを着て、朝食の準備を進めた。

 メニューは、冒険者よろしく、熱い湯と、干し肉と、固いパンだ。


「「いただきまーす」」

 あぐあぐ、うぐうぐ……と、セィソは勢いよく食べていた。

「いやぁ、魔王殺してから逃げっぱなしで、食べるヒマなかってん」

「そっか、まだあるし今日は装備を整えに街へ引き返そうと思うから、食べきっても大丈夫」

「ほなら、遠慮なくいただくわ」

 そもそもオマエはしてないだろう?遠慮とか。

 そう思いつつ、俺は異世界に転移する前の小説内容などを思い出していた。


「どなえしたん?もの思いにふけって?」

「ん?さっきの収納なんだけどな。入口がタマ袋で小さくて不便だし、温度に敏感だしって思ってね。俺の知ってるアイテムボックスだと時間が止まるから熱々の食材を出して食べたりしてたのを読んだことがあってね」

「ええやん、それ。熱々のスープとか入れときたいわぁ。いつでも出せるんやろ」

「できるかよ。キンタマ袋が火傷しちまう。それとな、キンタマは熱いのがダメなの。体温よりすこし低い温度くらいが最適なの。だから蒸れるけど冷却機能のある袋に入ってるの」

「へぇ~そうなんや」

 あぐあぐ と食べてやがる。絶対聞き流してるだろコイツ。男の子の大事な秘密なのに。


「せや、ええ方法あるで。『金玉冷却ボールクール』」

「はぅん♪」

「中年のおっさんがあえいで、どなえすんねん」

 た、タマが冷える。ちょっとした快感。

「こうやって、冷やしながらやったら、熱々スープでも仕舞えるんちゃうか?」


 なんとう女の浅知恵。気持ちよかったけど。


「……だめだ。無理だ」

「は?なんでや」

「しかたない、見ればわかる」


 俺は席を立ち、ズボンと下着をおろす。今日、何度目だ?


「……ちぢこまってるやん。引っ張っても、あんまり伸びへんし」

 コラコラ、見れば分かると言ったのに、俺のお稲荷さんを、つまんで引っ張ってやがる。


「そういうことだ。タマが冷えると、袋が縮むんだよ。冷えすぎないように」

「うわぁ、無駄に高性能なんやな。タマ袋って」

「気が済んだか?手を放してくれ。まぁ、お金とか貴重品とか緊急の武器とか非常食とか薬とか、小さいモノを入れるのには便利だけどな、無限に入るらしいし」

「そもそも、貴重品が2個入ってる袋やし。おりゃ」

「ぐぉぉおお」

 キンタマにデコピンすんな。ムラカーミ・スプリングトゥリーの小説かよっ。

「あ~なるほど、この程度で、こんなに痛がるんか」

「急所だよ。急所。目ん玉も、金ん玉も。だからやめて」

「目ん玉と同じ扱いなんや、そっかそっか」


 そうして再度、俺は、丸だしだった下半身に下着を履き、ズボンを着る。面倒だから、もう脱ぎっぱなしでいいかもとか思ってはいけない。

 そうして、俺達は朝食を食べ終えた。

「げふぅ。あ~腹いっぱいやわぁ」

「派手にゲップしやがって。で、どうする?体の具合によっては、もう少し休んで、昼からの出発でもいいんだぞ」

 昨日の夜は、瀕死だった彼女に無理をさせたくない。

「せやなぁ、身体は絶好調や。今から行った方がええやろ。ギルドに報告もせんなんし」

「ギルド……か。最近、行っていないな。俺も行こう」


 そうして、俺達は荷物をまとめ、武器を手に取る。

「ふん♪ふふん♪黒鋼の短剣♪欲しかったんやぁコレ。しかもウチの空き鞘にすっぽりんこ」

「そいつはよかった。今の俺のサブ武器はコレだからな」

 俺は今装備している短剣を腰から抜いた。

「へぇ~、ミスリル製なんや。さっすが勇者。って、なんやねん、そのメイン武器?」

「ああコレか?ショベルだ。円匙えんぴとかスコップとも言うが」

 俺は、メイン武器のオリハルコン製ショベルを持ち上げた。


「……穴掘りの道具やんか」

「そうだな。でも小さい頃から使い慣れてるんだよ、武器としても」

「そんなんで大丈……すっご」

 俺は彼女の首筋にスコップの側面を当てた。

「ざっと、こんなもんさ。剣術も弓も知らないけれど、コイツの扱いは軍隊上がりに人に教わったんだ」

 若い頃、バイト先の建設現場に来てたロシアの元軍人アンドレイ・チンコスキーさん、元気かな。日本だと卑猥な名前なことに気づいてただろうか。


「そうなんや。まぁ扱い慣れてる武器が一番やんな。勇者っぽくないんやろけど」

「まぁ、そういうことだ」


 そして、片付けと出発準備を終えた俺達は小屋の扉をあけ、昨日入る前と同じようにかんぬきをかけた。

「ほんなら、出発しんこー」

「ああ、街へ向かおう」


 ショベルを担いだ冒険者服のハゲ中年とメイド服を着た美女との変テコな組み合わせで俺達は森の中を歩きはじめた。


 農作業で金象印ショベルを愛用しております。マムシ退治にも大活躍するし(私は造林鎌ほうが得意だけど)

「突かば槍 構えば小盾の 鉄円匙てつえんぴ 焚火に載せれば 鍋になりけり」

 ショベルって冒険者の装備に最適と思うですよ。野営でウンコする時の穴掘りにも必要でしょうし。あ……土魔法で便所作るのか、だったらいらないね。

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― 新着の感想 ―
[一言] スコップで戦う異世界系があるんだよねぇ。 きっと主人公はそれが知られる前の時代の方なんやろなぁ(ォィ
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