アイテムボックスは、あの袋
アイテムボックス。
それは、異世界小説では必ず出て来る、超便利なチート。
例に漏れず、俺の異世界転移にもアホ女神はそのチートをつけてくれたんだ。
使い勝手はアレなんだけれども。
「なんや?ウチが使えそうな武器があるんか?ほな、はよ出して、レンタルでもかまへんさかい」
関西弁の人って、どうしてこう気が早いんでしょうね。
「ちょっと待ってくれ、準備するから」
俺は、ズボンと下着を脱いだ。
「なんで、またフルチンやねん……」
「この中にアイテムが入ってる」
「はぁ?ぶら下がってるのがエクスカリバーとか言うんちゃうやろな。嘘やったら金玉衝撃やで」
アレは勘弁してほしい、実質リモート金的だし。
「嘘じゃないよ。手が4本いるから、ちょっと手伝って欲しい」
「はいはい、何すればええんや?」
「この竿をこんな感じで持ち上げて、袋を横に引っ張ってくれる?」
「えーと、これでええ?」
「いてぇ。ひっぱり過ぎ、もうちょっと優しく」
「はいはい。これくらいでええか?」
そして、彼女の右手で竿を持ちあげてもらい、左手で袋を右に引っ張ってもらう。そうして、俺は左手で袋を左に引っ張り、右手で引っ張った袋の中央に、指を突っ込んだ。
「!?男って、そんなトコに指が入るん!?」
「普通は入んないよ。これ異次元空間なんだろ、多分」
そうして俺は、昔使ってた短剣を右手で探り当て、ゆっくりと引っ張りだした。
「ちゃんと、持ち上げててよ。この短剣よく切れるから」
彼女が俺の竿から手を離すと、おそらくチョン切れて、床にソーセージが転がるだろう。
「痛っ」
「ほんま、よぅ切れるんやなぁ」
「ヤメテって」
「はいはい、よっこいしょ」
冗談でもヤメテクレ。竿の外側の皮が、ちょっと切れたじゃないか。敏感なんだぞ。
「よし、抜けた」
短剣の先まで外に出たら、コッチのものだ。
黒光りする刀身を上にかざす。
「黒鋼の短剣だ。鞘はモンスターに喰われちまったけどね、規格品だから今まで使ってたセィソの短刀の鞘に入るんじゃないかな?」
俺は、少し切れちゃったトコロにもじもじしながら、短剣の柄を彼女に向ける。
「これ、結構エエ武器やんか?ちゃんと服着てプレゼントされたら、惚れてしまうやろ」
そういえば、俺はフルチンだった。
「え?プレゼント?レンタルでもかまわないって……さっき」
「……金玉衝」
「あげるって。間違えた。それっプレゼントだから、もってけドロボー」
「そっか、おおきに♪パーティー仲間は大切にせんとな♪ウチは盗賊職やで♪意味わかってるやんな?」
まて、いつからパーティ仲間になった?
「あの?俺とパーティ組むの?」
「せやで。ウチはそもそも、聖女&勇者パーティに加わるつもりやったんやし。あかんの?アンタ今一人やろ」
「ありがたい申し出だけど、いいのか?一応は勇者だけど、俺みたいなオッサンと」
「ええねん、ええねん。ウチはそもそもパーティ自体が初めてやけど、よろしくなぁ」
「ああ、わかったよ」
そういや、他の仲間3人も、やたら押しが強かったなぁと、思い出した俺だった。短剣を出すときに切れたところに軟膏を塗りながら。
どうやら、勇者の股間の御稲荷さんは、アイテムボックスだったようです。
えーとボックスじゃなくて袋なのかな。
入口が狭いため、色んな貴重品を細長くして収納しています。
だからまぁ、背負っているリュックに大事な物は入っていないんですね。
金貨とかはアイテムボックスが基本ですし。
え?袋に入ってる金玉と間違いそうですか?そーですか?