それは腹黒い京都弁よりも恐ろしい
キスをさらに重ねた後、下着姿の俺達はでベッドの上で肌を重ねていた。
「まだ、こうしてるか?それとも朝メシの用意するか?」
「ん~?人肌って、ええもんやなぁ。でも、お腹すいてるわ」
「じゃぁ、置いてきた俺の荷物を取って来るから待っててくれ。食料が入ってる」
下着姿だった俺は、服を着て、装備をつける。
「それと、ここらへんに……あっ、まだあった」
木箱を漁ると、女性用の服が何点か残っていた。
「昨日来てた盗賊用の服も装備もボロボロだろ。この中から服を見繕って着ておいてくれるか」
下着姿の彼女にそう言いながら、バサバサと女性服をテーブルに置いておく。
「おおきに。助かるわぁ。さすがにこんな下着だけの格好やと出歩かれへんし」
「じゃぁ、行ってくる」
「いってらぁ~♪」
服を選びながら、彼女は答えた。
そうして、昨日の夜にセィソが戦っていた場所に向かう。
置いてきた自分のリュックを見つけた。大したものは入っていないが、魔物や泥棒に持ち逃げされてなくて助かった。
自分のリュックを回収し、セィソが振っていた短剣と、おそらく彼女のであろう肩掛け鞄とを見つけたので回収しておく。そして辺りを見回すと、結構な数のスケルトンが倒されていたことが分かった。
金玉のないスケルトンを相手にしてもセィソそれなりに戦えるらしい。盗賊職において中々のやり手なのだろう。
「ふぅ、これで全部か」
俺は、荷物を持って、小屋に戻る。
「ただいまぁ」
「あんさん、お帰りやすぅううう♪」
俺は、ズッコケた。スタイル抜群で美人の巨乳メイドさんが立っている。セィソか?なにゆえ京都弁。
「……メイド服選んでるし」
「他の服はアカンかった。全体的に小さかったり(特に胸)、着丈はいいんだけど肩幅がやたら大きかったり、とくかくクソでかかったり、しててんなぁ」
おそらく、聖女:小柄で貧乳、令嬢:ムキムキマッチョ、王女:贅肉デブ、の服だろう。前の時に置いていったからな。メイド服は多分あの時より前からそこにあったんだろうな。
「なんや?この手の服、嫌いなんか?」
異世界美女のメイド服姿……御馳走様です。おじさん困っちゃう。
「いや、好きすぎて困る。っていうか似合ってるし」
「だんな様?朝から御戯れは、火傷しますぇ?」
「あっちぃ。ちょ……まて」
股間のタマタマに熱が走った。
「ふふん『金玉点火』や」
ヤヴァイ、白子焼きにされる。どこをヤケドさせるんだ。大体あってるけど。
「ほい『金玉冷却』」
おおう、熱がひいていく。風呂上りの御稲荷さんに扇風機をあてるように。
「ふひぃいいいいいい」
天にも昇る心地よさ。
「なに変な声だしとんねん」
この安堵感、爽快感、声もでますよね。男なら。
「俺のタマタマで遊ぶな。っつたく、もう……はいコレ、お前の短剣と鞄だろ」
「ウチのんも、持ってきてくれたんや、おおきに」
ゴソゴソと彼女は渡された鞄の中を確認する。
「オッケー、オッケー。空っぽやけど、また使えそうや」
「えーと、それ何?」
そこには陶器製の箱があった。
「金玉収集BOXや。貯めておいて、必要な時に『金玉大爆発』とかにして使ってるんや。スケルトン軍団の時は、タマ切れになってしもたけど」
「……俺のは入れないで」
「大丈夫やで、基本ゴブリンとかオーガのタマやし。人間だと犯罪者くらいからしか取らへんよ」
「そ、そうか。よろしく頼む」
「採取して、しばらくしたら『金玉蘇生』できんようになるからなぁ。アンタの玉は使う時に直接とるわ。産地直送や、その方が威力もあるんやし」
「お願い、やめて……」
泣きそうになりながら懇願した。痛くなくても元通りでも、何か大切な物が削られる気がする。
「わかったって、なるべくせんとくさかい」
ハタから見れば、若い娘にヨシヨシされるオッサンの図が小屋の中では繰り広げられているのだろう。
「とりあえず、なんらかのオスでタマの補給できるまで俺が戦うから」
「スケルトンとかタマの無い敵は頼むわ。んで、ゴブリンとかオーガとか見つけたらタマの補給するさかいに。タマついてる生物はウチが瞬殺できるし」
「魔王すら殺したんだもんな」
「せやで。魔王もタマタマついてたさかい」
この女に生物上の雄は勝てない。絶対に絶対にだ。
「まぁ、タマの補給はそれでええわ。んで、ウチの短剣とか装備なんやけど」
装備品も短剣もボロボロだった。
「もう、使わない方がよさそうだねぇ」
「防具はあきらめるとして、この小屋に包丁でもないんやろか?さすがに素手で森の中動きたくないわ」
「あるには、あるんだけど。ちょっと手伝ってくれるか?」
俺としては、あまり使いたくないアイテムボックスの中にあった。
盗賊職のナイスバディ美女にメイド服。
うむ……反則だな。
京都弁は良く分からない人です。なんか腹黒くて怖いですね。
方言指導してもらえると嬉しゅうおす。