表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
362/372

305 虚空|奸計

「それで俺らはどうすりゃいいの? 戦争終わるまで見守ったけど」

「お主。何も聞いておらんかったのか? 阿呆め」

「あほは言い過ぎだろ。てか腹も減らない眠くもならない、ここなんなの?」

「虚空としかわからぬと言っておろうが。妾達は見つけなばならんのじゃ」

「何をだよ」

「この水晶の中から、重要な記憶を、じゃ」

「ヴァニタスは結局何か思い出せたのか~?」

「──ああ」

「っておいおい。何を思い出したんだよ」

「お主、デリカシーがないのう。言いたくないことだから言わんのじゃろうが」

「でも巫女と観測者とヴァニタス。この三人が結局何のためにここに集められて、何のために見届けるのか、具体的にはわかんねぇままじゃん」

「まあ、具体的に、と言われたらそうじゃが……。観測者はそのカメラで何かわかったことはないのか?」

「カメラねぇ。浅倉シオンの人生とか、ラウラの話とか。知ってはいるけど、俺には今んとこ関係ないし。冷帝って奴が悪いってことは、輪っかの奴から聞いたな」

「ネグエルはもう来ないのかのう。妾たちはあやつの話を鵜呑みにして良いのかもわからんわい」

「──恐らく、偽典はもうこない」

「え? なんで?」

「──冷帝に迫れる最大のチャンスを逃したからだ」

「ほう、この戦争がそうじゃと?」

「確かに、最後に冷帝がロアを乗っ取った時、討てばよかったんじゃ?」

「無理じゃろ。器が壊れたとて、宇宙規模の存在に傷ひとつつかんわ」

「今ってさ、世界は三つに分かれてるよな。結局」

「そうじゃな。超大陸オラシオンに収束した『物質界』、冷帝がそのほとんどを掌握する『形而界』、そして忘れ去られた総ての可能性が漂う『虚無界』」

「それ今名付けたの? かっけー」

「うるさいわい」

「俺らは虚無界から出られないよな。ってかそこらへん浮いてるのって、他の世界の可能性か? 魔刃学園が元々あった世界とかも──消えちゃったのか?」

「浅倉シオンが一度『救済』したときとは違って、大きく分断された先に隔離された様じゃな。マルチバースは消失し、物質界が唯一の世界となった」

「なんだか悲しいな──って、浅倉シオンはまたそれを取り戻そうとするんじゃ」

「かもしれぬが、ようわからん。海上の要塞、方舟アークで一体何をするつもりやら」

「ところでさ。シャンバラってのは結局どの世界にあるんだ?」

「これは仮説じゃが、全ての世界の中心にあるのではないかと踏んでおる」

「ベン図みたいにした時の真ん中ってこと?」

「なんじゃ、阿呆でも理解できるんじゃな」

「おい」

「ほほほ。──ま、妾たちはここからただ見守るしかあるまいよ。ここは虚無界。声は虚空にしか届かぬ、闇の底。狭間の世界なのじゃから」

「副音声みたいな感じ?」

「なんでお主はすぐ俗っぽくしたがるのじゃ……」

貴重なお時間を割いてお読みいただき誠にありがとうございます。

お気に召しましたら☆☆☆☆☆からご評価いただけますと幸甚です。

ブックマークも何卒よろしくお願い申し上げます。

ご意見・ご感想もいつでもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いします!

同作者の作品

黎明旅団 ─踏破不可能ダンジョン備忘録─

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ