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224 西地区|永崎桐生戦・血戦

 鮮烈、苛烈。一体どの言葉が最も正しいのか、永崎ナギサには冷静に分析する間も与えられなかった。それほどまでに、バーサークに至った騎士というのは手が付けられない。似ている、そう、浅倉シオンによく似ている。


 浅倉シオンはいわば、年中無休でバーサークに手を出しているようなものだ。最も初めの授業、模擬戦で彼女が見せたのは痛みと損傷をトリガーとする暴走だった。普通の人間は痛すぎて滅多にやらないだけで。


 桐生カノンは図らずも浅倉シオンと似た戦法を取っている。ただ、全く違うのは、彼は過去に悪魔と人間の戦争の最前線にいたということ。その死線をくぐった経験が、彼の火事場の馬鹿力(バーサーク)を一層強くしている。


「(冗談じゃない! こんな短時間での大量の質量攻撃とか……! でも、確実に削れてはいる……気がする。相手はさっきの回復で、もう気力が残ってないはず。強化暴走バーサークが終わるまでの数分を耐えるんだ!)」


 永崎ナギサの読みは正しい。バーサークはそう長い時間使用できない。理由は、その力は回復にマギと精神をすり減らした反動でしかないからだ。本来以上の力を恒常的に出せるのは、浅倉シオン程イカれないとできない。


 そんな事実──混沌の中に意識がある桐生カノンとて理解していた。ただ、自分はどこまでも理性的でありたいという意志を持つ彼は、そこまで身を落とすことはしない。それで得た力など、幻影でしかないのだから。


「俺、は」


 彼は。


「知って、る」


 知っている。


 何が正しく、何が愚かしく。自分が何をすべきなのかということを。そして、桐生カノンは幾本もの石柱を停止させる。マギの層で防戦一方だった永崎ナギサがこれ幸いと攻勢に転じるが、彼はそうさせなかった。


 永崎ナギサに何かをしたわけではない。


 自分に、したのだ。


 GRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRSH!!!!!!!


 一本の石柱が桐生カノンを吹き飛ばす。煙が巻き起こる。だが、もう粉塵爆発は効かない。なぜならば、石柱で自分を攻撃し「無意識を追い出し」て、意識を取り戻した桐生カノンが、粉の一粒まで岩と思えるものを操ったからだ。


 これは賭けだ。バーサーク状態から引き起こすバーサーク。十秒と持たない。だが、意識は反転し明瞭。永崎ナギサだけは、絶対にここで潰すという強い意志が、彼を立たせた。そして、全ての岩石、砂、土が、浮遊する。


 詠唱するは、桐生カノン、岩石系最強の奥義。


「──岩皇濁流マッドレイン


 永崎ナギサは、瞑目する。

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