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5,調べもの

 結局誰一人レンさんに攻撃をあてることができませんでした。

 

 私とみうの困惑に騎士団長さんが立ち上がり答えてくれます。

 「陛下が彼に期待するのも納得です。彼は既に戦いの基本職の才能を修めてしまっています。一人の人間が発揮できる力ではないのです」


 これは彼がそんなに強いなら彼と一緒だと安全、ということなのでしょうか。

 

 「ここでの要件はこれで終わりか?なら俺は城の中でも見て回るとしよう。ではな」

 レンさんが姿を消します。[移動]でしょうか。本当に使えるのですね。

 

 みっともないところを見せてしまいましたね、と苦笑の騎士団長さん。

 「いやはや彼には驚かされます。彼一人いれば今場内にいる戦闘員全員でよりもあなたを守れるのでしょうね。陛下はどうやって協力を続けてもらうのか……」


 「あの、私たちはお部屋に戻っても良いのでしょうか?」

 「そうですねお送りできずに申し訳ない。宮仕えよ、巫女さまをお送りした後我々は明日からの準備だ」

 「はい、わかりました。それでは戻りましょうか、お姫様」

 「その前に一つ、私も皆さん相手に練習させていただきますね」


 私は巫女の能力全体回復を私の好きな音楽を口ずさみながら念じる形でつかってみる。

 壁のほうでぐったりしている騎士の方も皆顔色がよくなっています。成功ですね。


 「この人数を一度に。大変素晴らしいです」

 騎士団長さん、ほめても何も出ませんよ?

 「では行きましょうか、みう。皆さんも準備頑張ってください」


 ~・~・~・~・~

 「皆さんの前で私の名前を呼んでも他の方には誰だかわからいですよ、ひなさま」

 部屋に戻って開口一番にみうが進言する。


 「いいじゃない。だって騎士団長もみうのことモノ扱いしているようで嫌だったから。みうはみうよ」

 事実既にみうなのだ。何にも問題はない。

 「それにレンさんに完敗した後なのに」

 弱すぎじゃん騎士団、絶対ここはそんなに安全じゃないです。

 「みうは危なくなったらすぐに逃げなさい。あああやっぱり心配です。お役目にも連れていきたいです」

 私はみうの両手を握ります。


 「そういうわけにはいかないんです。わたしはお城のほうで買ってもらっていますので、ひなさまが旅立てはまた次の方に使えるんだと思います」

 彼女は落ち着いた口調で答える。少しだけ寂しそうに聞こえるのは私の思い込みだろうか。


 「わかった。私が何とかして見せるから、それまで何が何でも生きていてね」

 両手を包む手に力を籠める。


 「無理はなさらないでくださいね。私は名前をいただけただけで十分ですから」


 あああもうかわいい!私は何度も握る手に力を込めました。


 ~・~・~・~・~

 「何とかなりませんか?レンさん」


 みうが部屋を出て行った後、私は窓の外に見かけたレンさんを部屋に呼び出してそう聞きます。

 お部屋には入れないそうなので扉越しです。


 「俺も報酬に関してそれほど話し合ったわけではないのでな。掛け合ってみるのもいいだろう」

 レンさんもみうの同行に異論はないようです。

 「お前が変えてしまったんだから責任を持つのはいいことだ。ここにいてもろくなことにならんだろうし」


 私のせい?私は名前を付けただけだと思うんですが。

 「そういえばさっき別の存在に変えた、とか言ってましたよね。なんなんですか?」

 引っかかっていたことをきいてみる。


 「本当に無意識でやってたのか。俺は道具から能力を[奪う]ことができる。それと同じようにあんたはものに名前を付けて[変える]ことができる、ってことだ。人間だけが対象なのかはわからないが」

 続けて彼が推測する。

 「[変え]た名前とあんたの込めた意思でみうとやらは人以上の存在に代わっている。このままここに置いておくと何に使われるかわからんだろう。空から現れた俺のようなのを頼るような連中だ。下手するとあんた共々実験動物にされるだろうからな」

 

 なんかとんでもないことを言ってます。


 「この国はぎりぎりのところで持ちこたえているようなものだ。さっき見ただろう?騎士団も弱い。他国からの侵略も近年は目立ってきてどうやら防ぎ入れていないようだしな」


 「私がそれです。辺境の村が攻撃されて避難するときに巫女の資質を見出されてここに来ましたから。でもなぜあなたがそんなことを?」


 「少し資料室や図書館に入って調べた。俺が何者で、この国がどういった場所なのか知りたくてな。結局この国が結構ギリギリなことしかわからなかったが」


 お城の皆さん、好き放題移動されてます。いいのでしょうか。

 「レンさんは記憶がないのですか?そんな風には見えませんが」


 「城の前にいた以前の記憶はないが、それだけだ。やることはできたし記憶も急ぎではないしな」


 さらっと言ってますが、待って。

 「レンさんってここにきてから一日たってませんよね?なじみすぎなのでは?」


 「なじんだもの勝ちだな。なぜだか陛下と預言者は俺の強さを信用しているように感じる。この辺も知りたかったのだか」


 そうですよね、いくら国がギリギリでもよくわからない来訪者を頼るなんて。いやそれほど状況がよくないのかも。

 そう自分で納得した後、私はもう一つの疑問をぶつけます。


 「練習場を出てからの時間でそんなに資料や本をどうやって頭に入れたのです?」

 

 「ああ、司書の使う道具の効果にそういうのがあったので[奪っ]ただけだな」

 続けて

 「あと腹が減ったので食事も作っているものをいただいたぞ。あれはうまかった」

 

 ニカっとしてるのが目に浮かびます。

 ……お城の皆さん、好き放題されてませんか?

次は戦いです

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