表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙のスカイスフィア  作者: 山口遊子
第1部 宇宙のスカイスフィア
31/75

第31話 DORA(ドーラ)2


「50秒、52、53、……、60」


 DORA(ドーラ)がゲートに再突入して1分が経過した。この1分は無時間でゲートを通過した場合DORA(ドーラ)の加減速を考慮した場合の最短往復時間である。



「1分経ったな」


「ゲート通過は無時間ではなかったようだ」


「圭一兄さん、DORA(ドーラ)からの信号確認。DORA(ドーラ)が現れた。突入後ちょうど70秒だったわ」


「無時間で通過するかと思っていたが、ゲート通過に要する時間は5秒だったということか」予想が外れた割に、圭一の顔は嬉しそうだ。


「圭一、良かったな」


「おお」


DORA(ドーラ)が撮影したゲート内の映像とゲートの先の映像が送られてきたわよ。

 DORA(ドーラ)はこのまま、再突入させる? DORA(ドーラ)には今のところ異常はないようだけど、送られてきた映像を確認してからにする?」


DORA(ドーラ)はこのままゲート前で停止して、先に映像を見てみよう。ゲートの先が危険な世界である可能性がないわけじゃないからな」


「了解。モニターに出すわ」


 操縦席前の大型モニターに、ゲート内の映像が映されたはずだったが、モニターにはノイズしか映っていなかった。


 5秒ほどその状態が続いた後、いきなりモニターに宇宙空間が映し出された。モニターの左半分にガス巨星らしき惑星が映っており、右手前方には輝く太陽が見えた。ガス巨星が属する恒星系の主星なのだろうが火星から見た太陽ほどの明るさがあった。


「一般的な恒星系に見えるな。真理亜さんはどう見る?」


「前方の明るい恒星はおそらく太陽と同じG型恒星だと思う。

 左に見えるガス巨星については今のところ何とも言えないけれど、土星のようなはっきりしたはないようね。それでも惑星の周りを岩石や氷が回って薄いを作っている可能性があるからDORA(ドーラ)を向こうにやる際には気を付けた方がいいわ。気を付けると言っても、具体的にはどうしようもないでしょうけど」


「そのためのドローンだから危険は目をつむろう」


 30秒ほどその映像が続き、その後、カメラが切り替わりゲートが映し出された。外見はこちら側のゲートと全く同じで、ガス雲に囲まれた赤味を帯びた黒い円盤だった。


「それじゃあ、明日香、DORA(ドーラ)をゲートに再突入させて、観測を始めよう」


「了解。

 DORAドーラ、ゲートに向けて加速開始。

 10秒後に突入。8、……、2、1。DORA(ドーラ)ゲートに突入。

 信号喪失。

 それじゃあ、スカイスフィアはこれから木星を周回するわよ。

 回頭開始、現在の速度から秒速110キロまで1Gで加速。2時間45分後に90度回頭するからそれまでシートベルトを外しててもいいわよ。

 翔太さんも圭一兄さんもだいぶ無重力に慣れたみたいね」


「一大発見に興奮して、アドレナリンがドバドバって出たからかな」


「そうだと思う」


「明日香、さっきのガス巨星の映像をもう一度見せてくれる」と真理亜。


「どうぞ」


 明日香が軽くキーボードとトラックボールを操作して、モニターに先ほどDORAドーラが送ってきたガス巨星の映像が映された。今映っているのは静止画である。


「何か気になることでもある?」


「この辺りを拡大できる?」


 真理亜が指さしたスクリーンの上の個所を明日香が拡大した。その辺りに何かモヤのようなものが横に広がっていた。


「はっきりとはわからないけど、やはりがあるみたい」


DORA(ドーラ)は惑星を見つけるため何個所かに移動して撮影するから、少し心配だわね。今さらどうしようもないし、無事に戻ってくることを祈りましょう」


「だな。

 俺は、はしゃぎすぎたせいか、少し疲れたから部屋に戻って次の無重力の時まで仮眠をとってくるけど、みんなもかなり長く起きてるから仮眠をとった方がいいぞ」


「わたしは、スカイスフィアが回頭を済ませたら、次の回頭まで15時間は何もオペレーションがなくなるから、その間に寝るわ」


「わたしは明日香と一緒で次の無重力まで望遠鏡を覗いてる。それから寝るわ」


「俺も起きていよう。

 みんな何飲む?」


 翔太はみんなの希望を聞いて、台所から飲み物を各自に配って歩いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ