研究所の崩壊と獣殺し
街から離れたとある研究所
ここでは最近見つかった2体の『獣』の研究が行われていた
一体は胴の長い女性のような獣
その見た目は胴体が異様に長いため手足が少しアンバランスに見える
もう一人はとあるマンションに現れた獣
その姿はまさにキメラだろう
この2体の異形が脱走しても良いようにこの研究所で研究しているのだ。
研究員の西田がパソコンに文字を打ち込んでいると
突如入口から大きな音が鳴り響いた。
西田は慌てて入口へ向かう、
そこには
「おい、返せよ、仲間を、私の」
テレビで戦線布告したあの獣が居た、
その後ろには別の獣もいる
その獣の容姿は大きな頭に首からは大量の手が生えており、
生えた髪の先は人の頭を模したものが生まれている。
そしてその金色の目はこちらを睨んでいた。
「すまんが返すわけにはいかない、我らの命がかかっているのだ」
同期の刈谷は言った。
刈谷は小学校からの親友で仲が良かった
あいつはくだらないことをするのが好きで今でもその性格は変わっていない。
今だって首にマーカーで落書きをしてるくらいだ
「アー、なら殺すしかないな、交渉決裂なら」
「来い!化け物!」
そういうと刈谷はハンドガンを出した
それを見てその獣は言った
「酷いなぁ、化け物とは、名前はあるんだ『リア』という立派な名が」
そういうとリアはフラフラとしながら刈谷に近づいた
刈谷はリアに向かいハンドガンを撃つ
「教えてやる、冥土の土産に、『ベニ』と言うんだ、そこの頭でっかちはな」
そういうと、リアは思い出したように言った
「冥土の土産ってセリフ……」
少し間を開けて言った
「死んでる奴に言っても意味ないよな!」
は?そう思うと刈谷の首が胴体から転げ落ちた
いつの間に!?
「いつの間に?そう思ったな?」
リアは言った
「こいつはハンドガンを出した時には死んでたんだ」
あり得ない!刈谷はハンドガンを撃った筈だ!
「こんな話を知っていますか」
ベニはそう言った
「病は気から、人は気分で体調を崩すこともあるのです。
リア様の能力は正にそれです。
リア様は人の首を一瞬で切ることでその人物に
『生を誤認させる』ことができます」
そんなのあり得ない!首を切られたら普通は死ぬ!
「それがあり得るのです。私たち『獣』はそのような人知を超えた力を持っているので」
「そうだよ、実際に見たろ?お前の同期が首を切られたのに生きていたのを」
それはハッタリかもしれない。そう口にしようとすると
「現にもう切られてるんだぜ?お前だって」
「いつのm……」
そう言おうとすると意識を失った
<sideベニ>
「あいつは『オレの能力の秘密』に気づきかけた。だから殺す」
リア様はそう言った。
リア様は普段ふざけた口調だが実際は普通に喋れるのだ
それから私たちは囚われていたドウナガとクラブを連れて帰ろうとした。
その時、急に空が暗くなった
そこには私たちと同じ、『獣』がいた
「誰だ?お前、オレたちの仲間とは違うみたいだが?」
その獣は赤黒いモヤのような形をしていて
どこか気味が悪い
その獣はこう言った
「私は『オウマ』自称『獣殺し』だ、君たちを殺しにきた』
そういうとモヤが固まり、包丁のような形になっていった
そして複数の包丁を生み出し、リア様目掛けて飛んでいった。