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双神の輪~紡がれる絆の物語~  作者: Guidepost
2章 学生編  生きる覚悟
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58話

 他の従騎士の友人が言うには、双子たちは特にハードなのらしい。


「特にって。皆同じようなことすんじゃねえの?」


 従騎士ではないとはいえ、同じように毎日へばっている流輝が聞けば首を振られた。


「俺らも一応実戦も経験したけど、やっぱ補佐だけだよ。普段だってそんな反吐吐きそうなほどの訓練はしてないし。むしろ担当の騎士に仕えて身の回りのことばかりさせられてるよ。まあ聞いていた通りだけど、ちょっと俺らのこと召使いとでも思ってんのかって感じ。でもお前らの話聞いてたら、俺はこれでよかったって思うよ」


 爽やかに笑われた。溜まっていた愚痴が双子によってすっきりした感じだろうか。


「俺らですっきりすんなよ」

「いやいや、まあがんばれ」

「ありがとうね」


 琉生は何やら含みのありそうな笑顔で礼を言っていた。

 かなりきついものの、従魔術師や従騎士というのはこういうものだとばかり思っていた双子は二人になって顔を見合わせた。お互い、ソリアとフランを思い「もしかして人選間違えた?」などと思ったが、すぐに首を振る。


「頼んだのは俺らだしな」

「うん。それに厳しくしてくる分、きっと期待されてるんだよ。それに俺らに厳しくしてくれてるってことは」

「だよな。ある意味愛だよな」


 実戦でも前線に立たされはするが、絶対にソリアとフランは二人のそばにいる。今のところ危ない目に遭ったことはない。


 ……いや、一回だけあったな。


 少し前に向かった国境近くの森で、流輝が魔法で攻撃をしていた背後にいつの間にか別の魔獣が来ていた。少し離れていた上にあまりに咄嗟のことで、その魔獣が放った闇魔法の攻撃を流輝は避けられなかった。攻撃を受け、思わず目を閉じてしまったが、次の瞬間にはソリアがその魔獣を倒していた。


「リキ様……!」


 やられたと思い、思わずその場に座り込んでしまった流輝をソリアが支えに来る。流輝は心臓がバクバクと動いているものの一切我が身に損傷がなく無傷であることに気づき、ソリアを見上げた。


「ソリアが魔法で助けてくれたの?」

「……いえ。大変申し訳ないことに、私も間に合いませんでした」

「そうなの? じゃあ何で俺、無傷なんだろ……もしかして奇跡的に魔法、逸れたんかな」

「……」

「ソリア?」

「ああ、申し訳ありません。そう、ですね……あの攻撃魔法はまともに食らっていたらただでは済まなかったと思います。気配を消すのも上手かったし、かなりレベルの高い魔獣だった気がします」

「なら俺、すげーラッキーだったんだな。あとそんな魔獣を一発で倒すとかやっぱソリアすげえなあ。あークソ、まだ心臓ぶっ壊れそうなほどドキドキしてる」

「とりあえず本当に支障がないか診ましょう。救護テントまで、歩けますか? 私がまた抱えましょうか?」


 以前、訓練の過程でかなり足腰がふらふらになった流輝を、あろうことか魔術師で力がないはずのソリアが米俵を持つように抱えて運んでくれたことがある。屈強な体の相手ならまだしも、最初に女性と間違えたほどのソリアだけに死ぬほど恥ずかしかったしわりと耐え難かった。ソリアのほうが多分7、8センチは背が高いとはいえ、どう見ても華奢そうだ。その上「大丈夫ですよ、リキ様は軽いので」とまで言われ、魔術師を目指してはいるが筋トレもしようかと本気で考えたりした。


「自分で歩くから! 抱えなくていいから」

「大丈夫ですのに」

「いや、勘弁して……」

「お米様抱っこが不満ならお姫様抱っこで……」

「ちょっと何言ってんのかわからないな!」


 言いかけてる途中で速攻突っ込みを入れたらニコニコと笑われた。だがソリアはすぐに真顔になった。


「リキ様をお守りできず、本当に申し訳ございませんでした。こういったことは二度とないよう精進いたします」

「な、何だよ急に。ソリアらしくないだろ。それに実戦なんだ、何が起こってもおかしくねーだろ。ソリアは悪くねーよ」

「とんでもございません……」

「いやほんとやめて。昔キャスにもすごくそんな風に謝られたことあるんだよ。俺、そんなの求めてない。ソリアはすごくよくしてくれてるよ」

「……ありがとうございます、リキ様」

「礼もいい。だからいつもと変わらず、俺の魔術師でいてよ」

「……はい。ふふ、リキ様はあれですね、タラシですよねえ」

「何の話だよ……」


 結局いいと言ったがソリアは流輝が攻撃されかけたことを報告し、流輝に魔術科の授業として教える以外の謹慎を一週間ほど食らっていた。

 あんなことで一週間の謹慎? と憤慨したが、流輝や琉生はそれほど大事な存在として扱われているということになる。考えたらそんな相手にソリアもフランも腰が引けたりせず厳しく教えてくれるのはかなりありがたいことなのではと双子は思えた。

 闇魔法の攻撃は奇跡的に逃れられたものの、油断は禁物だとその後さらに厳しくなったのも、多分愛ゆえだ。そう思うしかない。

 そんなある日、流輝は久しぶりに例の夢を見た。例の夢、と一括りにしていいものかどうかも、いつも起きたらあまりはっきり覚えていないため定かではないが、多分同じシリーズな気がする。

 今回は一人の錬金術師が出てきた。ずっと魔力の研究をしていた錬金術師は誰からも才能を認められない中、弱さゆえか闇の魔力を生み出してしまう。人間が闇の魔力を使う時点であってはならないこと、禁忌だというのに、さらに研究を重ね、人体実験まで犯してしまった。それにより取り返しのつかないこととなり、錬金術師は自分への怒りと絶望に声が枯れるまで叫び続けた。

 目が覚めた時、流輝までもが叫んでいたような気分だった。うなされていたのか、嫌な汗がこめかみを流れる。


 疲れすぎていつもの夢がさらに悪夢になったのかな……。


 流輝は思いきり息を吸うと、それを今度は思いきり吐き出した。

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