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双神の輪~紡がれる絆の物語~  作者: Guidepost
2章 学生編  生きる覚悟
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45話

 呆れたような顔をしている流輝にソリアはニコニコと笑いかけてきた。




「確かにとても高価ですので、質のいい石は身分の高い方しか手に入れることはできません。また、そこそこの石でもそれなりに高価なため、婚約指輪の宝石としても使われたりするそうです」


「へえ、そうなんだ」


「ええ。そういえばリキ様、以前殿下に指輪をプレゼントなさったらしいですね。薄いオレンジ色の石がついた」




 ますますニコニコとしてくるソリアに、流輝はぽかんとした顔を向けた。




「は……? え? 指輪……? あ、もしかしてミューダ当ての景品のやつかよ! あれはどう見ても安物だったぞ。何言って……」


「魔石は庶民の間でも特別な贈り物として定番なんですよぉ。ですので婚約者や家族のため、がんばって手に入れようとする者もいましてね。そこそこ大きなゲームの景品なら、中には品質はいまいちながらに魔石を使ったアクセサリーが出回ることもあります。だからなおさら、ああいったゲームって参加者は少なくないんですよねぇ」


「そ、そんなの知らなかった」




 流輝は唖然とした。自分はいらないしと気軽な気持ちであげた指輪がもしかしたら婚約指輪として定番なものかもしれないなど、誰が予想するというのだろうか。




「そんなに照れなくとも私は冷やかしませんよぉ」


「照れてねぇ」


「うふふ。そういえば大切な身内へ、自分の魔力を石に込めて御守りとして贈るのも定番だったりします。ですがさすがに景品の魔石だと、リキ様の魔力を込めたとたんに壊れてしまいそうですね」


「そ、そうなのか」




 御守り。そういうパターンもあるのだと聞いて流輝はなんとなくホッとした。




 それに……そうだよな、ローザリアがあんなに喜んでたんだ。




 案外世間の流行りや定番ものに詳しいローザリアが魔石の用途を知らないということはないだろう。きっと御守りとして受け取ったか、もしくはやはり魔石でもなんでもないおもちゃの指輪かだと流輝は思った。




「ところでこのまま地理のお勉強もいたしましょう。そんな魔石ですが最もよく取れる産地として有名なのはどこの国でしょう」


「いきなりだな……。あと何で地理? 魔術とどう関係あんの。まあいいけど……えっと、確かモールザ王国だっけ?」




 モールザは東の方にある鉱山が豊富な王国で、特に南の王国、フェザリアとよく取引を行っている。フェザリア王国はモールザ王国で取れた石を宝石に加工し、美しい装飾品や美術品を作ることで有名だ。ちなみにフィンが言っていたが、フェザリアの第一王女にフィンの兄である北の王国レイクオーツ第一王子のルーベンが婚約を申し込んでいるようだ。だが全く関心を持たれていないらしい。苦笑していた。




「でもお前の話を聞いてるとフィンの兄さんのほうがフィンよりもっと王子様らしいんだろ?」


「リキの言うもっと王子様らしい、が兄に当てはまるのか俺にはわからないけどね。ああ。兄はとても素晴らしい人で王となるにふさわしい人だよ」


「じゃあ何で関心持ってもらえないんだろな。もしかしてフィンのお兄さん、人に言えないような性癖があるとか?」


「なんてことだよリキ。もちろんそんなことあるわけがない。勝手ながら俺に仕えてくれている者に少し調べさせたんだけどね、噂によるとフェザリアの姫はとてつもなくご自身の兄を大事に思っておられるらしい。兄第一だからこそ、他に興味がないとか。噂だし、本当だとしても微笑ましいことではあるけれどもね」


「またブラコンかよ」


「え?」


「ああいや、なんでもない。なるほど。兄が大事すぎて他の男に興味がない、か」




 ブラコンと聞いて、こちらの場合は兄以外の存在に興味を持っているらしいアリアンを思い出した。ついでに流輝と琉生もお互いブラコンだという自覚はある。


 そんな話を思い出していると「よく勉強されてますね、当たりです。そのモールザですが。王族関係のどなたかが学園に来られてたりはしないですか?」とソリアに聞かれた。




「え? 何で?」


「今の王のお子たちは確かに学園へ来る年齢に当てはまる方はいらっしゃらないんですが、身内の方のどなたかはどうだろうかと思いまして」


「いや、えっと……多分来てないけど……多分」


「そうですか」


「何でそんなこと聞くの?」


「……何となく、ですかねえ」


「何だよそれ」




 怪訝な顔をソリアに向けると、にっこり微笑まれた。




「いえ。とりあえずリキ様、ではそろそろ今日の実践といきましょうか」


「ほんっといきなりだな! でも待ってた! 覚悟しろよ、今日の俺は一味違うからな」


「それはそれは。どんなお味がするのかとても楽しみですねえ」




 昨夜魔法理論の復習をしていて思いついた少々複雑な魔法を試そうと楽しみにしていた流輝だが、結局今日もソリアには一度たりとも魔法を決めることができなかった。




「……ほんとに俺、ソリアより魔力量多いの?」


「ええ。私より断然多いし私より優秀な魔術師になられる能力をお持ちですよ」


「ほんとに? だったら何で一回も決められねえのかな」


「それはやはり勉強と訓練とあとは慣れ、ですかね」


「慣れ」


「ええ、慣れ、です。ですので遠慮なく私にばんばん放ってくださいね」


「遠慮したことねえんだけど……」


「うふふ。次はどんなお味を見せてくれるのか楽しみです」


「クソ」

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