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双神の輪~紡がれる絆の物語~  作者: Guidepost
2章 学生編  生きる覚悟
28/120

27話

「クラスが違うの残念」


 ローザリアが本当に残念そうに二人を見てくる。


「まあ、でも隣だろ」


 大したことないじゃないかと、流輝はしっかり焼かれた上で煮込まれたカウネスの肉と新鮮な野菜を挟んだポフにかぶりついた。

 ちなみにカウネスは元の世界での牛に似ているが、牛ではない。サイみたいな角が生えている。緑や水が豊富な湿原に生息しているため、それらが豊かなニューラウラ王国付近でよく見かけられるらしく、ここではよく食べられる肉だ。野生のカウネスも食べられるが、食用として育てられているカウネスのほうが脂がのっていて流輝は好みだったりする。多少肉特有の臭みもあるが、焼いたり煮込んだりする際にハーブを使うためその香りと相まってむしろ味わい深さを楽しめる。大抵はステーキや煮込み料理として出てくるが、ここは学園の食堂だからか、ポフに挟んだ料理もあり、流輝としてはそれが一番好きだったりする。

 ついでにポフは元の世界でいうパンだろうか。味は似ていると思う。最初この料理を見た時に流輝はハンバーガーを思い出して飛びついた。味はジャンクよりは高級寄りかもしれないが美味しく、こうして度々食べている。


「隣だけど。でもまた違うじゃない」

「何が違うかわかんねーな。昼飯だってこうしてちょくちょく一緒に食べてるじゃないか」


 別に同じクラスだろうが違うクラスだろうが変わらないだろと流輝がどうでもよさそうに言う横で、何故か琉生が苦笑している。


「何だよルイ」

「ううん。兄さんだしなと」

「? 何が俺だしなの?」

「何でも。ねえローザリア。あなたはもう選択は何にするか決めてるの? あれだったら選択授業で同じになるかもしれないだろ」

「決めてるけど……多分同じにならないかも。私は経済学科にしようと思ってるから」

「あー確かに兄さんは選ばなさそう」

「何で俺が選ばなさそうだと思うんだよ。わかんねーだろ」

「あら。じゃあリキは政治学や法学などを専門的に学ぼうと考えたことあるの?」

「ねえけど……でもわからないだろ。だって、だからって俺、今のところ他にこれをしようって決めてる学科もないし」

「そうなの? 私、てっきりリキは魔術科を選ぶんだろうなって思ってた」


 ローザリアに言われ、双子はそれぞれ無言になる。流輝は琉生を危ない目に遭わせて以来全く魔法を使っていないし、特に何も言ってこないが多分琉生は流輝がそうだと気づいているのだろう。


「え、もしかして私、変なこと言っちゃった……?」

「ううん。言ってねーよ。気にすんな。俺はとりあえずまだ何も決めてない。でもルイは騎士科選びそうだよな」

「俺? うーん、そうだね。多分」


 琉生がにっこり笑う。まだそこまで本格的ではないかもしれないが、フランやキャスに剣を習うようになって琉生はめきめきとその実力を上げてきた。今では多分だが、学生レベルは優に超えているのではないだろうかとさえ流輝は思っている。

 昔は琉生が少ししっかりとした発言をしてきた時にモヤモヤとした流輝だったが、今では琉生の成長を心から喜べている。それに今でも自分が琉生を守るという気持ちに違いはないものの、剣の腕がよければその分琉生も危険回避しやすくなるだろうと思えて安心でもある。守るとはいえ、弟に対してどこかに閉じ込めて危険を避けさせたいわけではない。それに琉生自身、剣が合っているのか楽しそうだ。

「もしかして選択は別になるかもしれないの? じゃあ令嬢たちもますますリキ派、ルイ派に分かれやすそうね」

 楽しそうに笑うローザリアに流輝が怪訝な顔をした。


「何だそれ?」

「あなたたちが入学してから結構話題だったりするんだけど、気づいてないの? 特にご令嬢たちから」

「知らねえよ」


 何だそれと呆れる流輝の横で琉生はただ苦笑している。


「何故知らないままでいられるの? いいけど。それでね、とてもあなたたちが気になるんだけど、どうも見分けがつかないって人も少なくないみたい。選択がわかれたら多少はわかりやすくなるかもね」

「まあ、双子だしね。でもローザリア。あなたはわりと最初から見分け、ついてた気がする」

「私? ええ、そうね。だってわかりやすかったんだもの、あなたたち。でも確かに最初見た時は同じ顔だって思ったのよ」

「そういや元の世界でも俺らと親しいやつは完全に見分けついてたみたいだけど、あんま喋ったことないやつとかからは全然見分けつかないって言われたことあったな」


 ふと思い出して流輝が言うと、ローザリアが少し寂しそうな顔をしてきた。


「? どうかしたのか、ローザリア」

「ううん、リキ。なんでもない」

「ああ、ねえ。話題といえばローザリア。あなたのクラス、セレーネの男子がよくあなたの話をしているのを耳にするよ。かわいいとか好きだとか、挙句結婚したいとか」

「マジか。モテモテじゃないか、ローザリア」


 ローザリアをよく思わない生徒もいるにはいるようだ。多分親の影響なのだろう。だがもちろん全員が全員ではない。特に同じクラスだとローザリア自身を知れるだろうしちゃんと見てくれるやつもいるんだと、琉生の言葉に流輝が楽しそうに言えば、何故か琉生にほんのり憐れむような目で見られて納得がいかない。ローザリアはローザリアで「モテてない」と少し口元を膨らませながら甘そうなソースのかかったパラクレタを口に放り込むという器用な真似をしていた。ちなみにパラクレタは元の世界でいうクレープみたいなもので、以前市場でキャスや琉生が食べていた。流輝としてはそこにもスライスしたカウネスを挟んだら美味しいのではともくろんでいる。

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