105話
「か、勘弁してくださいよ。あなた方は王子なんですよ?」
「ですがあなたは光の救世主様の一人ですし」
「いやまあ、そうでしょうけど……」
「そういえばローザリア王女を射止められたそうですね!」
「テディ王子、そうなんですか? それは僕も詳しく聞いてみたいですね」
ダブルで眩い顔をニコニコと向けてくる王子たちと流輝を、ロニーがほんのり同情気味に見てきた。
いやほんと勘弁して。話を最初に振ってしまった俺が悪い、悪かったから!
流輝は尻込みしつつ困惑の笑みを浮かべた。
ローザリアのことをそういう意味で好きだったと気づいただけでなく両思いだったと知った時には興奮気味に「聞いてくれよ」と琉生に話はしたが、あれは琉生だからでもある。いくら流輝でもさすがに元々友人だったわけでもない他国の王子相手に「いやぁ、ローザリアのこと好きって気づいた途端、あいつも俺のこと好きだったって知ったんですよね」などと言えるわけがない。
だが「綺麗な人ですよね、ローザリア王女。ニューラウラ王国に招かれた時にお会いしたことありますが、お美しいだけでなくとても聡明な方だなあって思ったんですよね」とテディに言われ、つい口元が緩む。自分の身内や好きな人が褒められるのはとても嬉しい。
「ありがとうございます」
「実は結婚相手にとこっそり思ったりもしたんです」
マジかよ。
「ですが殿下とお話した時にそれとなくそういった会話を振ってみたんですが、当時すでに彼女には昔からずっと思っている方がいると知りまして。はは。あれ、リキ殿のことだったんでしょうね」
マジかよ。
「リキ殿、さっきから顔が百面相ですよ」
ロニーがそっと教えてくれて、流輝は慌てて両手で頬を押さえた。同じ言葉しか浮かんでなかったが、引きつったりニヤついたりしていた自覚はある。
とりあえずこれ以上自分とローザリアの話が続くのは少々勘弁と思っていたら目的地にどうやら着いたようだ。これから大変だというのに思わず流輝はホッとした。
神殿の少し離れたところで駐屯している者たちに、流輝たちはざっとした説明を受けた。
闇の魔力が込められた魔法石のことやそれらが地雷のごとく神殿周辺に埋められていること、そして時限爆弾のような魔法円での装置や魔法石の力を解除できるのは光の魔法もしくは光の魔法石のみだということ。
どうやら今まで琉生がこつこつ溜め込んできた光の魔法石を今回使い、解除させることとなったらしい。その石は魔力の高いソリアによって使用され、今現在ほとんど解除できているようだ。残りはあと数個ほどだと聞いた。
しかしさすがに気づかれ、魔族や魔獣たちが攻めてきた。それだけでなく操られているのかモールザ王国の兵も転移魔法が使われ、大量にやって来た。大群の兵や高い魔力を持つ魔族、そして力の増した魔獣。どうやら予想以上に状況は厳しいようだ。
転移魔法での大群兵が特に予想外だった。
流輝たちもモールザ王国から脱するのに転移魔法を使用してもらったが、この魔法は距離があればあるほど、人数がいればいるほど、魔力量が求められる。そのため人間は滅多に使わないし使っても至近距離か数人を送るくらいになる。
だが魔族の魔力量は人間と比べ物にならない。よって距離があろうが人数が多かろうが、魔族にとって転移魔法を使用することは容易いことだった。
流輝が話を聞き終えたところで、到着したことを聞いた琉生がテントに入ってきた。お互いがお互いの無事な姿を目の当たりにし、抱き合って喜ぶ。
「無事だった……会えて嬉しい、すごく嬉しいよ兄さん」
「俺も。ものすごく会いたかった」
恋人にしか見えないような会話や行動かもしれないが、双子の純粋な兄弟愛に周りもこんな状況にも関わらず少しほのぼのとした気持ちになった。
「うん。解除はあと一つなんだ。ソリアにはなるべく集中してもらってる。でも魔族の攻撃がかなり激しい。うちの精鋭騎士だけじゃなく二国の援軍が加わっても押され気味だよ……」
「そうなのか……。こっちはソリア以外の魔術師は一応攻撃に回ってるんだよな?」
なるべくニューラウラ王国の魔術師はモールザ王国メンバーではなく神殿メンバーに加えたはずだった。
「うん。でもやっぱりソリアと比べたらそこまで強い魔力を持つ魔術師はいないしね……あと負傷者がかなり多いから回復にも結構人数割いてるんだ。とりあえず兄さんも回復かけてもらえないかな」
負傷者の話を聞き、流輝は琉生に案内され急いで救護用のテントへ向かった。
「俺、光魔法持ってんのにさ、全然使えない……何でこんなに魔力量低いんだろな」
向かいながら琉生が悔しそうに呟いた。
「……。……お前の分まで俺がすげー治してくからさ。お前はとにかくヤバいくらい強い敵もぶった切って、無事この難局乗り切ったらまた魔法石に力、すげー蓄えてってくれよ。どっちもお前しかできない」
「……うん。ありがとう、兄さん。それにうん、兄さんの分まで俺が魔法石に力蓄えないとだもんな」
「そういうこと」
流輝の風や水魔法による癒しの魔法で一瞬は誰もがさらに苦しんだように見えたが、その後すごい勢いで皆表情が和らいでいった。
「片っ端から治すぞ。治療の痛みには耐えてくれよな」
満面の笑みを向けた流輝に、軽傷、重傷に関わらず患者たちは複雑そうな表情をしつつもホッとしていた。
「か、勘弁してくださいよ。あなた方は王子なんですよ?」
「ですがあなたは光の救世主様の一人ですし」
「いやまあ、そうでしょうけど……」
「そういえばローザリア王女を射止められたそうですね!」
「テディ王子、そうなんですか? それは僕も詳しく聞いてみたいですね」
ダブルで眩い顔をニコニコと向けてくる王子たちと流輝を、ロニーがほんのり同情気味に見てきた。
いやほんと勘弁して。話を最初に振ってしまった俺が悪い、悪かったから!
流輝は尻込みしつつ困惑の笑みを浮かべた。
ローザリアのことをそういう意味で好きだったと気づいただけでなく両思いだったと知った時には興奮気味に「聞いてくれよ」と琉生に話はしたが、あれは琉生だからでもある。いくら流輝でもさすがに元々友人だったわけでもない他国の王子相手に「いやぁ、ローザリアのこと好きって気づいた途端、あいつも俺のこと好きだったって知ったんですよね」などと言えるわけがない。
だが「綺麗な人ですよね、ローザリア王女。ニューラウラ王国に招かれた時にお会いしたことありますが、お美しいだけでなくとても聡明な方だなあって思ったんですよね」とテディに言われ、つい口元が緩む。自分の身内や好きな人が褒められるのはとても嬉しい。
「ありがとうございます」
「実は結婚相手にとこっそり思ったりもしたんです」
マジかよ。
「ですが殿下とお話した時にそれとなくそういった会話を振ってみたんですが、当時すでに彼女には昔からずっと思っている方がいると知りまして。はは。あれ、リキ殿のことだったんでしょうね」
マジかよ。
「リキ殿、さっきから顔が百面相ですよ」
ロニーがそっと教えてくれて、流輝は慌てて両手で頬を押さえた。同じ言葉しか浮かんでなかったが、引きつったりニヤついたりしていた自覚はある。
とりあえずこれ以上自分とローザリアの話が続くのは少々勘弁と思っていたら目的地にどうやら着いたようだ。これから大変だというのに思わず流輝はホッとした。
神殿の少し離れたところで駐屯している者たちに、流輝たちはざっとした説明を受けた。
闇の魔力が込められた魔法石のことやそれらが地雷のごとく神殿周辺に埋められていること、そして時限爆弾のような魔法円での装置や魔法石の力を解除できるのは光の魔法もしくは光の魔法石のみだということ。
どうやら今まで琉生がこつこつ溜め込んできた光の魔法石を今回使い、解除させることとなったらしい。その石は魔力の高いソリアによって使用され、今現在ほとんど解除できているようだ。残りはあと数個ほどだと聞いた。
しかしさすがに気づかれ、魔族や魔獣たちが攻めてきた。それだけでなく操られているのかモールザ王国の兵も転移魔法が使われ、大量にやって来た。大群の兵や高い魔力を持つ魔族、そして力の増した魔獣。どうやら予想以上に状況は厳しいようだ。
転移魔法での大群兵が特に予想外だった。
流輝たちもモールザ王国から脱するのに転移魔法を使用してもらったが、この魔法は距離があればあるほど、人数がいればいるほど、魔力量が求められる。そのため人間は滅多に使わないし使っても至近距離か数人を送るくらいになる。
だが魔族の魔力量は人間と比べ物にならない。よって距離があろうが人数が多かろうが、魔族にとって転移魔法を使用することは容易いことだった。
流輝が話を聞き終えたところで、到着したことを聞いた琉生がテントに入ってきた。お互いがお互いの無事な姿を目の当たりにし、抱き合って喜ぶ。
「無事だった……会えて嬉しい、すごく嬉しいよ兄さん」
「俺も。ものすごく会いたかった」
恋人にしか見えないような会話や行動かもしれないが、双子の純粋な兄弟愛に周りもこんな状況にも関わらず少しほのぼのとした気持ちになった。
「うん。解除はあと一つなんだ。ソリアにはなるべく集中してもらってる。でも魔族の攻撃がかなり激しい。うちの精鋭騎士だけじゃなく二国の援軍が加わっても押され気味だよ……」
「そうなのか……。こっちはソリア以外の魔術師は一応攻撃に回ってるんだよな?」
なるべくニューラウラ王国の魔術師はモールザ王国メンバーではなく神殿メンバーに加えたはずだった。
「うん。でもやっぱりソリアと比べたらそこまで強い魔力を持つ魔術師はいないしね……あと負傷者がかなり多いから回復にも結構人数割いてるんだ。とりあえず兄さんも回復かけてもらえないかな」
負傷者の話を聞き、流輝は琉生に案内され急いで救護用のテントへ向かった。
「俺、光魔法持ってんのにさ、全然使えない……何でこんなに魔力量低いんだろな」
向かいながら琉生が悔しそうに呟いた。
「……。……お前の分まで俺がすげー治してくからさ。お前はとにかくヤバいくらい強い敵もぶった切って、無事この難局乗り切ったらまた魔法石に力、すげー蓄えてってくれよ。どっちもお前しかできない」
「……うん。ありがとう、兄さん。それにうん、兄さんの分まで俺が魔法石に力蓄えないとだもんな」
「そういうこと」
流輝の風や水魔法による癒しの魔法で一瞬は誰もがさらに苦しんだように見えたが、その後すごい勢いで皆表情が和らいでいった。
「片っ端から治すぞ。治療の痛みには耐えてくれよな」
満面の笑みを向けた流輝に、軽傷、重傷に関わらず患者たちは複雑そうな表情をしつつもホッとしていた。




