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双神の輪~紡がれる絆の物語~  作者: Guidepost
3章 騎士編 光の救世主
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103話

 ノアの元へ一旦向かいとりあえず挨拶を交わした後で、セオたちを貴賓室へ案内した。そこにはルビーが待っていて、セオたちを見た瞬間こちらへ駆けつけようとしてむしろへなへなとその場に崩れ落ちた。どうやら緊張の糸が切れて力が抜けたようだ。セオが慌てて駆け寄りルビーを支える。


「ルビー。ニューラウラ王国へ手紙を渡してくれて、助けを頼んでくれて本当にありがとう」

「お兄様……、皆様も……本当に無事でよかった……本当に……」


 会議の間も、説明をし続けていた間も、ずっと泣かなかった気丈なルビーが涙をポロポロと流し、泣いた。

 その後、正妃とセオは拘禁されているモールザ王ローガンの部屋へ向かった。セオは正妃であり母親であるネイの護衛としてと、モールザ王国継承権第一位の身分として向かったし、さらにセオの護衛として闘技奴隷のリーダーだったセオの元師匠がついて行った。

 ネイはモールザ王国の正妃としてローガンと向き合い、これまでの罪について話をし合うべきだと考えていた。ある程度の時間魔族から離れ、魔族の支配からもおそらく離れている今ならローガンとして話を聞けると思ったのもある。

 しかしローガンはもうすでに壊れてしまっているのか、それとも元からどうしようもなかったのか、威厳を保とうとしながらも自分の身を優先する言動しかとってこなかった。今さら家族に対してどうこうなど期待していなかったが、まず国民の心配や国の行く末を案じるべきである国王としての責任も矜持もローガンは持ち合わせていなかった。

 セオたちがローガンの元へ行っている間、ノアだけでなく通信装置を使うことで各国の王も見聞している閣議の間で流輝たちは待機していた。ロニー以外、他の公妾や幼い弟妹たち、そしてルビーには疲れているだろうからと改めて部屋が用意され、今度こそ休むよう案内されていた。共に来た闘技奴隷だった者たちも身なりを整えるための用意とともに一旦部屋に案内され丁重に扱われていた。

 流輝は心配しながらロニーにも休むよう提案したが「大丈夫です」と首を振られた。

 その後セオたちが案内され入ってきた。正妃ネイが口を開く。


「改めてリキ様やニューラウラ王、各国の皆様にはご迷惑をおかけいたしました。そして我が国を救ってくださいましたこと、心から感謝申し上げます」


 一旦頭を下げると続けてきた。


「大罪を犯した我が国はこのまま潰れてしまうべきなのでしょう。ですが何も知らない国民を捨て置くわけにはまいりません。私はモールザ王国の王妃として国王であるローガン王を断罪するとともに、改めてモールザ王国を救いたいと思っております。奴隷として扱われた者、ハーフブラットである我が友たち、彼らを含めた国民の安全と安定を確保できたのちに、私も大罪の責任を取りたいと思っております」


 きっぱりとしたネイの言葉に誰もが身の引き締まる思いがした。ローガンの影に隠れてネイはただ何も言わない寡黙な王妃だとばかり思われていたが、セイと同じく内に秘めた意志や祈り、願い、そして矜持が責任感とともに感じられた。

 セオたちを待っている間、流輝によってモールザ王国でのことは報告してあった。

 闘技奴隷のことや、通常の奴隷は助けられなかったこと、味方になって助けてくれたハーフブラットの騎士たち。

 気をそらすために残ってくれたハーフブラットの騎士たちは言っていた。

 ここへ残ることで国内に自分たちと同じ考えを持つたくさんいる者たちに今回のことを話すことができると。きっと他のハーフブラットたちも味方になってくれるはずだと。

 ハーフブラットの騎士たちのおかげで流輝たちは無事抜け出せたようなものだ。彼らがいなかったら脱出はさらに難しかっただろう。

 流輝の話を聞いていた各王たちはそれらを重く受け止めたようだ。

 魔族というだけで完全な悪だと思っていた。魔族と人間の間に生まれようが、魔族は魔族だと恐れ、憎んでいた。

 だが今回のことで、魔族に対しての見方も変えるべきだと皆感じられた。もちろん、実際は簡単なことではないだろう。遥か昔から培ってきた魔族に対しての気持ちは簡単に変われるものではない。

 それでもこれは波紋だと思われた。波もたたない長らく変わらないところへ投じられできた波紋だ。

 モールザ王国第二王子であるロニーは、今回の件で自分たちがどれほど無知であるか痛感したと流輝の話の後に語った。奴隷のこともそうだが、悪意のない大切な国民であるハーフブラットがどれほど迫害されていたのかを改めて知ったと言う。


「もちろん純魔族だけでなくハーフブラットの中にも危険な者はいるにはいるのでしょうが、人間だってそれは同じです。それこそ我が国がいい例だ……。私は今がいい機会だとさえ思いました。偏見はそう簡単にはなくならないでしょう。ですがまずは王族が国の指針になるべきだと思います」


 そんな話をしているところへセオたちが入ってきた状態だった。

 ネイの言葉を聞き、誰しもが「ここにいるモールザ王国の王族に対し罪を問うべきではない」と改めて思っていた。

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