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全ての始まり
序章
八年前…
「お前のせいだ!」
「謝れよ!」
「何黙ってるのよ!」
八人くらいの子供たちが一人の少女を責めている。
少女は下を向いて来ている服をぎゅっと握っている。
違う、お前は悪くない…だめだ、だめだ…次の言葉は言ってはいけない…
「お前なんか誘うんじゃなかった…」
思いも虚しくその言葉が俺の口から零れる。
ハッとしたのだろう、急に上に動かされた俺の視界は目に涙をいっぱいに溜めて、それでも泣かないようにしている少女を捉えた。
「…ごめん…もう、来ない…ごめん…」
少女はそう言ってかけて行った。誰も入れないはずの“魔女の棲む森”へと…
……
うっすらと開いた目に暖かい日差しが差し込む。
「レイシア……」
夢の中で、束ねた紅い髪をなびかせながら振り向かずに俺と反対側の森に向かって走る少女は何故か泣いているように見えた。