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スキルロバリー〜スキルなし判定されて異世界で放り出された俺が、ユニークスキル「スキル強奪」で闇社会の覇王となるまで〜  作者: 陰陽
第一部 王宮復讐ざまぁ編

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第18話 神に愛されなかった男

ブクマがちょっと見ない間に2倍近くに……。


待っててくれる読者の方がいるというのは、

本当に嬉しいものです。


実は個人的な目的があって、

このサイトに作品を上げることを決めました。


とある理由で6月末までに、

何らかの形で自分の力を

示さなくてはならなくて。


自分には書くことしか出来ないので、

頑張っている次第です。


目標は一回でも、

デイリーランキング100位以内に入ること。


新人が無謀な挑戦をしていると思いますが、

それを達成出来るまで、頑張って作品を

上げていきたいと思います。


次話上げました。

よろしくおねがい致します。

 1kgの火薬。

 TNT換算でざっと鉄筋の建物が損壊する程度。木造の家なら完全に吹っ飛び、衝撃で隣の家の屋根が落ちる。

 黒色火薬は最も歴史の古い火薬で、当然今の化学薬品主流の火薬よりも威力は落ちる。

 それでも近距離でくらったのだ。俺も風魔法と火魔法でガードしたが爆風に吹っ飛ばされた。当然ダメージはデカい筈。


「……ウソだろ。」

 俺は嫌な汗をかきながら、変な笑いが止まらなかった。

 確かにダメージは負っていた。だがネクロマンサーは死んでいなかった。もう幾つかぶつければ死ぬのかも知れないが、既に再生を始めている。

 ユニフェイやみんなの命もかかっている。ここで挑むよりもこの隙に逃げる方が得策だった。

 俺は階段まで走り抜けた。振り返るとネクロマンサーはゆらゆらと揺れながらも、振りかざしていた杖を下げた。


 俺は街まで走った。途中何度も転びながらひたすら走った。街に到着すると相変わらずの冒険者の多さで走り抜けるのが困難だった。人にぶつかり怒鳴られながらも、俺はある場所を目指した。

 その役職につくのであれば必ず持っているもの。持っていなくてはならないもの。

 決して戦線に加わることはないが、この街で唯一の高レベルの聖属性魔法持ち。

 教会の祭司の元へと。


 祭司は聖職者の職業スキルを持つ者がなれる唯一の職業で、その属性は聖属性魔法だ。

 聖職者自体が高レベルの職業スキルであり、魔法スキルがなくともレベル5の聖魔法が使える。

 同時に他の魔法が使える者も多く、祭司の中で最も高い人だとレベル10の聖魔法を操る。

 神に愛された職業、神に愛された祭司程奇跡が起こるというのは、生まれた時からチートスキルを幾つも兼ね備えていることに由来する。


 ただし死者を蘇生させる復活などの、神の奇跡と称されるスキルを持ち合わせていない場合、管轄祭司や主教には生涯なる事が出来ず、地方の祭司で終わる。

 教会が給与を保証する、王宮勤め以外で数少ない食いっぱぐれることのない職業だが、本人の努力が一切通じない悲しいスキルでもある。

 なのでどんなに小さな教会でも、レベル5以上の聖属性魔法が使える祭司が存在する。

 教会での仕事は主に宗教の布教とそれに付随するものだが、街の人や冒険者が怪我をしたり毒を負った場合、それを必ず助けなくてはならない義務が存在する。


 人間であれば必ず助けて貰える。ただし罪を犯した者を除いて。犯罪者が怪我や毒を受けた場合、それは神罰として放置される。

 だがユニフェイは魔物だ。それを助ける義務はない。祭司の懐次第だ。経典に従い不浄なものとして、魔物を毛嫌いする祭司も当然多い。

 教会に魔物が入れないのは、浄化されるだとか、魔物が嫌がるだとか、そういうことではない。忌むべき存在だから受け付けない。ただそれだけ。


 俺は全財産を投げうってでも助けて貰うつもりだった。ユニフェイの命には代えられない。

 貧乏な教会なら尚の事、金の魅力には弱い。隣街の祭司ラグナスなら絶対に助けるだろう。

 だがこの街の祭司が清廉潔白な人の場合は絶望だった。金の力で動かない人を暴力で従わせる?魔法を使って?

 教会の祭司にそんなことをしたら、世界中の教会から追われることになるだろう。だがそれでもいい。だから、だから、だから──。


「おや?どうしました?」

 祭司は飛び込んで来た俺を見て、訝しげに首を傾げた。

「さいっし……さ、ま。」

 息が切れて上手く話せない俺を心配して、床によつん這いになって息をする俺に、祭司は駆け寄ってしゃがみ込み、その手を伸ばす。

「仲間が……毒を受けました。レベル5の毒魔法です。祭司様にしか解毒出来ない。

 お願いです、ユニフェイを、助けて下さい!!!」

 祭司の表情が一瞬歪む。駄目か。


「……何ということでしょう。ユニフェイとは、あなたが従えていた、あの魔物の事ですよね?」

「はい……。魔物です、でも俺にとっては大切な、」

「すぐにあなたの部屋に行きましょう。

 ご存知の通り教会の中は経典により、魔物を入れる事が出来ません。

 そこで治療を行います。」

「祭司……さま?」

 祭司は一も二もなく治療を了承してくれた。俺は泣きそうだった。


 部屋に入ると、アイテムボックスからユニフェイを取り出し、ベッドの上に寝かせる。冷たい。既に死んでいるのかと思いギョッとする。

「……まだ浅くですが呼吸をしてますね。

 これなら間に合います。

 アイテムボックスに入れたのは正解でしたね。この中はとてもゆっくり時間が流れます。毒の進行を遅らせたのでしょう。」

「中に入られたことがあるのですか?」

「幼い子たちとの、かくれんぼでちょっと。」

 以外と大胆な人なんだな。


 祭司がユニフェイに解毒魔法をかける。そして直後に回復魔法を放った。俺のものとは比べ物にならない強大な聖なる光。まるで祭司そのもののような、暖かく優しい慈愛の光。

 ユニフェイが目をあける。不思議そうにキョロキョロした後、泣いている俺の顔を舐めだした。

「こんな時までお前……、俺の心配が先かよ……。」

 俺はユニフェイを抱き締めた。


 俺は戻った報告の為、祭司に礼を告げ、ユニフェイを従えて冒険者ギルドに向かう事にした。

 祭司はしゃがみ込むと、ユニフェイの頭を撫でてくれた。

「主人を守るのも大切な事ですが、あまり無茶をしてはいけませんよ。この方は、あなたの命をとても大切に思っています。

 魔物であっても一つの命。その大切な命を、あなたの為にも、主人の為にも、大切にして下さいね。」

 ユニフェイは祭司をじっと見つめ、真剣に言葉を聞いているかのようだった。


「──祭司様?」

 声のする方を振り返ると、ミンティが立っていた。

「ミンティ、あの、申し訳ありません。私は何か、あの日あなたを怒らせてしまったようで。」

 優しい祭司は急にオロオロとしだす。

「いいんです……。

 仕方がない事だから。

 分かってます。オロス様が祭司でなくなることなんて、絶対にあり得ないんだもの。」

 ミンティは悲しげに微笑む。え?このやたらオロオロする祭司様、オロスって言うの?俺は内心突っ込みたくなった。


「どういうことです?あなたが変えたかったスキルと言うのは、私のスキルだったと言う事ですか?」

「……だって、祭司は結婚出来ないじゃないですか。

 私がどんなに思ったって、祭司である限り、オロス様とは結婚出来ないんだもの。

 私は初めて会った時から、優しいオロス様が大好きなのに。」

「ミンティ、まさかあなた、私のことを……?」

 俺は何を見せられてるんだ?


「だから変えられるものなら変えたかったの。聖職者のスキルが無くなれば、オロス様が祭司じゃなくなるのにって。」

「おおミンティ……、何という事でしょう、私もあなたを愛していました。ですが私は祭司……。この思いは心に秘め、あなたの幸せを願うつもりでいたのに。

 神よ、なぜ愛し合う二人にこのような試練をお与えになるのでしょう?私は祭司の立場など捨てて、ミンティと共に生きて行きたい……!」

「逃げて!すべてを捨てて私と逃げて!」

「ミンティ!」

「オロス様!」

 ……。

 二人の世界に入ってるカップルって、傍からはこう見えるんだな。恥ずかしいから将来彼女が出来ても、外でこういうことをするのはやめよう。


「オロス様……。」

 俺はしゃがみ込んでミンティと抱き合って泣いている祭司の肩に手を触れる。

「オロス様も神に祈られてみてはいかがですか?

 俺の友人の本気の願いを、神は聞き届けて下さいました。

 二人の愛が本当ならば、神は願いを聞き入れて下さるのではないでしょうか。」

「そ、そうですね!」

「そうしましょうオロス様!

 私たちの愛は本物だもの。」

 やれやれ、また神が降臨しますよっと。俺は義理は果たすほうの神なんでね。


 祭司とミンティは並んで祭壇に祈った。俺はニグナの時と同じように、後ろで火魔法と土魔法を使い火花を放った。

「今のは……?」

「オロス様!きっと神様の答えです!」

 うん、スキルはもう変わってるから安心して?

 祭司は水晶を取り出して、自分のスキルを確かめる。


「調理、狩猟、栽培……。

 ああ、これなら、どんな仕事にも、ミンティと共に田舎で獣を狩って野菜を育てて暮らす事も、何だって出来る。

 私はもう縛られない!何にだってなれるんだ!」

「オロス様!」

 二人は抱き合って喜んだ。うんうん、良かったね。俺も嬉しいよ。高レベルスキルが手に入って。


「──私はもう祭司ではありませんので、ここで働くことは出来ません。

 すぐに代わりの祭司が来る事と思いますが、それまで治療を行えるものがいなくなります。

 くれぐれも怪我にはお気を付け下さいね?」

 ミンティの肩を抱きながら、最後まで優しい言葉をくれる元祭司──オロス様は、幸せそうに微笑んだ。

 ミンティ、お前いい女だな。見る目あるよ。絶対に幸せになれよ?

 俺はオロス様に礼を言って冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドの前で、ガッツたちをアイテムボックスから出してやる。

「ここは……?」

「冒険者ギルドだ!俺たち助かったんだ!」

「よくやってくれた!本当にありがとう!」

 3人が俺に抱きついてくる。痛い……。あとちょっと男臭い……。

 俺たちは冒険者ギルドに帰還の報告と、ダンジョンのボスがネクロマンサーであることを告げた。

 ダンジョンは明日にでも立ち入り禁止になり、王宮の魔法師団の到着を待つこととなった。

 ダンジョンに入れないと分かった冒険者たちは、一様にガッカリした表情で項垂れた。


 俺はガッツたちと別れを告げ、一度宿に戻り、風呂に入ってステータスの確認をした。

「──ユニフェイ、行くぞ。」

 ユニフェイがピクッと耳を動かして、俺に続くように立ち上がった。

 俺は夜中に一人でダンジョンへと向かっていた。

 4人以上でないと入れないのは冒険者ギルドの決まりなだけであって、ダンジョン自体が拒絶するわけではない。

 俺は千里眼に刻まれた地図を元に、一気にネクロマンサーのところへと駆け下りた。


 強制転送魔法陣が発動し、目の間にネクロマンサーが、昼間のように手に広げた本を持ちながらゆらゆらと揺れている。

 俺は自分を鼓舞する為にステータスを確認した。


 ───────────────────

 国峰匡宏

 16歳

 男

 人間族

 レベル 19

 HP 4100

 MP 19800

 攻撃力 642

 防御力 523

 俊敏性 364

 知力 1143

 称号 異世界転生者 すべてを奪う者

 魔法 生活魔法レベル6 回復魔法レベル2 火魔法レベル3 風魔法レベル2 水魔法レベル2 土魔法レベル1 聖魔法レベル7

 スキル       テイマー(岳飛:フェンリルの幼体) アイテムボックスレベル1 解体 再生 食材探知 索敵 採掘 強打 捕獲 騎乗戦闘 投擲 踊り子 盗賊 売春婦 アイテムボックスレベル5 千里眼 隠密 聖職者 賢者

 ───────────────────


 オロス様のスキルは凄まじかった。聖職者自体がレベル5の聖魔法が使える職業スキルだが、賢者はさらに凄い。

 魔法使いと僧侶それぞれの能力を持ち、攻撃と回復を併せ持つ、聖魔法使いの中でも最上級に近い職業スキル。

 それ自体がレベル7以上の魔法をいきなり使えるチートスキルだが、それとは別に聖魔法を持っていた。


 それでもこの世界の経典だと、聖職者が優先されて、祭司以外の職業につけなくなる。

 本当なら大魔法使いとして名をはせていただろうに、彼はずっと教会に縛られていたのだ。

 こんな力を持ちながら田舎で燻って、女性人気も同期のラグナスに奪われたとあっちゃあ、そりゃあ腐るわ。俺でも腐るわ。

 こんなスキルをすべて捨ててでも愛し合いたい唯一の女性に出会えたのだ。彼はこれから幸せになれるだろう。


「さて。」

 俺は改めてネクロマンサーを睨んだ。

「リベンジマッチといこうぜえ?

 今の俺は、さっきまでの俺とは一味違うぜ!!」

かくれんぼの下りを変更しました。

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