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スキルロバリー〜スキルなし判定されて異世界で放り出された俺が、ユニークスキル「スキル強奪」で闇社会の覇王となるまで〜  作者: 陰陽
第一部 王宮復讐ざまぁ編

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第12話 俺、神になる

ユニークが300越えてて……。

毎日同じ方が見てたとしても、

150人以上の方が見て下さってる計算です。


ブクマも増えてて、本当にありがとうございます。


反応があるのが嬉しくて、

書くのが楽しくて、

気が付けば連日、重要な用事以外の時間を、

すべて執筆活動に当ててました笑


続き上げました。

よろしくおねがい致します。



「……てゆうか君、ニグナ君だよね?」

「何で分かったんだ!?」

 ニグナが驚愕の表情を浮かべる。

「アテアたちに聞いてた通りだったから、すぐに分かったよ。

 みんな心配してたよ?

 どうしてるか分からないからって。」

 ちなみにこれは当てずっぽうだ。

 ニグナの人相風体なんてまったく聞いていない。

 アテアたちと同年代の、養護施設に入り辛そうにしていた男。俺の知っている情報の中で、可能性があるのが、連絡の付かないアテアたちの仲間、ニグナだったというだけだ。

 心配は本当だが。


「そうか……。

 本当に知り合いだったんだな。

 疑って悪かった。

 けど、何で知り合いじゃないだろって聞いた時、すぐに否定しなかったんだ?」

「君なら話す?

 初対面の、誰か分からない、名乗りもしない、敵意むき出しの人間に、自分の友達との関係をさ。

 俺の方こそ、君が彼らに何か悪いことをするんじゃないかって、警戒してたよ。」

「そうか……そうだな、確かに。

 俺もそうするかも。」

 ニグナは独り言を言うようにして納得してくれた。

 まあ、一回会っただけだけどな。


 ちなみにニグナのことがすぐに分かったのは、俺の記憶力がずば抜けていいとかではなく、アテアたちの出身の養護施設に行くことを決めた時点で、相手を信用させる為に、出来る限りの情報をメモに書きとめてあって、その中にニグナという単語も書いてあり、それを養護施設に来る前に、再度読み込んでおいただけのことだ。


「養護施設には、小さい子ども目当ての変態とか、子どものいない金持ちに売り飛ばす目的で、よく知り合いを騙って変な奴らが来る事があるんだ。

 ノエルも小さい頃、一回誘拐されかけた事があってさ。

 養護施設ってだけで、周りから差別を受ける事もあるし、俺たちあんまり、養護施設の仲間以外と、仲良くなることなんてなかったから、まさか旅先で友達を作ってるなんて思わなくて。

 本当にごめん。」

 なるほど、こちらも当てずっぽうだったか。


「こんなとこで立ち話もなんだし、少し歩かない?アテアたちと友達なら、俺とも友達になってよ。」

 俺はにっこりと笑った。

「……うん、いいよ。

 どうせ街に戻るつもりだったし。」

 ニグナはぎこちなく笑った。

 ありがとう。そしてアテアたちのように、何か役に立つ情報をくれ。

 俺は期待から微笑み返した。


「そう言えば、ニグナ君がアテアたちと一緒に行動してない理由までは聞いてないんだけど……聞いても大丈夫?」

「ああ、うん……。」

 俺たちは連れ立って街に戻る道を歩いていた。

「俺のスキル……冒険者に向いてなくてさ。」

「使えないスキル、って、ノエルが言ってたけど、何なの?」

 ニグナはしばらく逡巡してから、

「俺……、隠密しか、なかったんだ。」


 キタアアアアアァ!!!!!

 俺は心の中の絶叫をおくびにも出さず、心配そうに言った。

「隠密って……、それしかないと、犯罪者になることも多いっていう、あの?」

「……。うん。

 あ、でも、俺はもちろん、犯罪なんてしてないぜ?

 けどさ……。スキルがないと、本当に何やっても、うまくいかないんだ。

 まるで、頭の中の一部が欠落してるみたいに、やることなすこと、うまく出来ない。

 本当はやりたいことがあったけど、俺には無理みたいだ。」


 ──スキルは、才能、という言葉に置き換えれば分かりやすいだろうか。

 それがないと、どれだけ頑張っても一定以上の成功は望めない。

 ただこの世界のスキルの恐ろしいところは、スキルがあることである種の縛りを受けることだ。


 職業スキルがあると他の仕事に付けないのは宗教上の問題だが、この世界には、そのスキルがあることで、他の普通の、計算だったり、料理だったり、そういったことが一切人並み程度に出来なくなってしまうスキルが幾つか存在する。

 その一つが隠密だ。


 ある特定のことに特化した、人より優れたスキルであるが為に、その他の能力が制限されるスキル。

 例えて言うなら、プロスポーツ選手。

 プロ野球選手の大半は、野球に特化した生活をしていて、いざ引退した時に、まともに料理も、税金の申告も、普通の人が当たり前に出来ることがまるで出来ないし分からない人が大半だという。

 この世界にプロ野球選手という職業スキルがあったなら、恐らく同様に、野球以外のことに制限を受けるレベルで、野球のスキルを磨くことになるだろう。


 隠密を磨いて活かすようにスキルが求めてくることで、普通の仕事に就くことが出来なくなってしまう。戦国時代の忍者や、現代のスパイのような職業があれば問題ないのだろうが、今のこの国に隠密を必要とする仕事が殆どない。

 普通の仕事が出来ないから生活出来ない。──だから食い詰めて犯罪者になる。


「そっか……今は、何してるの?」

「知り合いのつてで、パン工房で働かせて貰ってるよ。毎日怒られてるけどね。

 でも、ちょっと前まで、屑ひろいで生活してたんだけど、……また戻ることになるかも知れないや……。」

 スキルは神の恩恵。だが望まぬスキルだったり、スキルがあることで苦しむことも多い。この世界の神は、何を思ってスキルを決めて、またそれを見えるようにしたのだろう?

 スキルが他者から確認出来る物でなければ、スキルを呪うことも、縛られることもないんじゃないかと思ってしまう。


 街に到着し、武器防具屋が見えた。ユニフェイがいるから防具なしでここまで来れたが、流石にこの先は必要になってくる。

 金が入ったことだし、防具が欲しくなった。

「ねえ、ちょっと寄ってもいいかな?」

 俺が武器防具屋を指差すと、ニグナはきらきらした目で大きく頷いた。まあ好きだよな、男なら。


 俺が防具を見て回っている間に、ニグナは武器を見て回っているようだった。手に取って眺めたり、嬉しそうな表情を抑えながら、じっくりと見て回っているようだった。

 俺は店主と話して、3枚重ねの中で一番軽い革の防具を銀貨80枚で買った。ここで買える革の中では最もいいやつだ。ちなみに初心者用で30枚。一番使われているやつで50枚だから、そこそこいいお値段がする。

 買った防具を奪ったばかりのアイテムボックスレベル5にしまうと、ニグナに声をかけた。

「それ、欲しいの?」

 一番熱心に見ていた剣を指差して言う。

「ううん、そういう訳じゃないんだ。」

 ニグナが恥しそうに手を振って答えた。

「ふうん?」

 俺は首を傾げながら言った。


 腹が減ったので俺の奢りで串肉を頬張りながら歩く。悪いよ、とニグナは遠慮したが、店に付き合って貰ったお礼、と言うと、素直に受け取ってくれた。

「なあ……。少し聞かれたくない話がしたいから、人が少ないとこに言って話さないか?」

「いいけど……。」

 俺はニグナを連れて、教会近くの遊歩道に向かった。礼拝日以外は人が来ないので、内緒話をするにはもってこいだ。


「ニグナはさ、今のスキルに満足してる?」

「……してるわけないよ。」

「それを神様にお願いしたことは?

 スキルを変更して下さいって。」

「──そんなこと!

 したって意味ないじゃないか!

 みんな生まれた時にスキルは決まってて、それと向き合って生きていかなきゃならないんだ。

 自分に合わないスキルでも、それを乗り越えて生きて行くことを、神様から求められているんだから!」

 そういう経典なんだよな、知ってる。


「ニグナ……。

 今から言うこと、絶対内緒に出来るって、約束出来るか?」

「う、うん。」

「俺さ、生まれた時のスキルが、奴隷商だったんだ。」

「うそ!?」

 うん、嘘だ。これから言う事、全部嘘だ。

「俺、ずっとテイマーになりたかったんだ。

 神様からいただいたスキルだけど、奴隷商なんて嫌だった。

 俺には夢があったから。」

 ニグナがゴクリとツバを飲み込む。


「さっきさ、ずっと、剣を見てたよね。

 ひょっとしたらニグナの夢って、剣を作りたいんじゃないの?」

「……そう……だよ……。でも……。」

「俺は神様にお願いしたよ。

 世界に名を残すテイマーになるから、お願いだからスキルを変更して下さいって。

 ──そして俺は今、テイマーをやってる。」

「ほ、ほんとに?」

 テイマーだって事だけはな。

「夢なら本気で願ってみろよ、神の与えたスキルなんかに負けんな。

 お前の夢は、そんなもんじゃねえだろ!?」

 俺はニグナの肩に手を触れる。

 奪う。

 与える。

 俺の手が小さく光る。

「俺たちの国に、こんな言葉があるんだ。

 ──天は自ら助くる者を助く。」

 救うのは神じゃなく、俺だがな。

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― 新着の感想 ―
[一言] この場面はスキルを交換するのが一番いい流れで、でもバラすのはリスク高いし… と思ったら、そうきたか…
[良い点] う~む、主人公が面白い! まだ、物語の序盤なのに、こんなに引き込まれる作品は稀です。 困ったことに仕事が手につきません(笑)
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