あぶねぇあぶねぇ・・・金は、銃よりあぶねぇ
及川と言う男が銃を選んだ。
そうだった、俺達はゲームをやらされるためにここに来たんだった。よく考えてみたら何もせずに金をもらえる訳が無い。きっとこれは罠、これから始まるゲームに関して、銃を持っていた方が有利な何かがあるに違いない。いや、むしろもうゲームは始まっているんだ。この選択肢、誤ってはいけない。目先の欲でここ一番の選択を誤るところだった。そうだ、ここで三〇〇〇万を得る必要は無い。今はいい、最終的に勝てばいいんだ。
何人かはそれに気付いたのだろう。及川の後から呼ばれた者達はほとんどが銃を選択した。当然直貴も銃を選択。
全員の受け取りが済んだ。
「それでは只今より、ゲームのルールを御説明いたします。制限時間は二日間、場所はこの建物から半径一キロメートルの範囲です。それではただいまよりゲームを開始いたし・・・」
「おい、ちょっと待て」
スーツの男の声を遮って一人の負債者が声を出した。
「それだけか?」
「何がでございますか?」
「だから、ルールはそれだけかって聞いてるんだ?二日間、その場所で俺達はいったい何をしたらいいんだ?」
確かに、さっきの説明だけではだけではさっぱりわからない。この銃の意味も、金の意味も。
スーツの男は応えた。
「これは、察しの悪い方ですね。既に他の皆様はお気付きだと思いますよ。先ほど申し上げたとおり、ルールはそれだけ、二日後に負債額を返済できた方全員を解放いたします」
「じゃ、じゃぁいったいなんなんだ、この銃は?」
「何といわれましても銃は銃でございますよ。この二日間であなた達がどう使おうと自由でございます。おそらくですが、役に立つかと思いますが・・・」
スーツの男は薄ら笑いを浮かべて言った。
この時、直貴にはやっと理解できた。このゲームのルールが。この銃の使い道が!
俺の考えが正しいのなら今から始まるゲームは・・・。