殺人者は貴方です。
「川畑様。ゲームは無事終了でございます。おめでとうございます」
「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
ゴールすると黒いスーツの男達が口々に丁重な態度で迎えてきた。
その一番奥に五十嵐の姿もあった。
「二日間。お疲れ様でした。今回のゲーム、貴方が唯一の勝者となられました。おめでとうございます。貴方の負債額は約一〇〇〇万。獲得金額は三〇〇〇万です。返済を済ませてもなお、ご満足いただける金額がお手元に残るかと思われます」
切れ長の目をいっそう細くしてにっこり笑いながら五十嵐は言った。
「唯一だと?そんなはずない。六億持って俺より先にここに来た奴がいるはずだ!」
直貴は言った。
「???はて、何をおっしゃっているのか?今回のゲーム、このゴールの門をくぐりぬけた栄えある勝者は貴方様ただ一人だけでございます。まぁ、門をくぐったはいいが肝心の金を持ってこられなかった愚か者なら先ほど一人いらっしゃいましたがねぇ・・・」
五十嵐はそう言うと斜め後ろへ目をやった。
五十嵐の見た方向へ眼を向けてみると、そこには両腕を縛られて吊るされた堀川の姿があった。
五十嵐は説明を始めた。
「この男は堀川大輔、ゲーム中の大半を必死に隠れてすごし、ついには二日間隠れとおした、たいした男でございます。しかし、最後の最後、下手をうって貴方に金を奪われた。愚かな男でございます」
五十嵐は吊るされた堀川の前まで歩くと、堀川の腹へ一撃、力いっぱい殴った。
ドゴッッッッ
「なぜ金を渡した!」
バキッッッ!!
「あそこまで逃げ切っておいて最後の最後に何故金を渡した?制限時間が過ぎたらお前の金を我々が守ってくれるとでも思ったのか?」
ビシッッッッ!!!
「金を持たずにここへ帰ってきて、それで助けてもらえると思ったのか?あぁ?」
バシッッッ!!!!
「このクズ野郎が!!!!いいか?一つ教えてやる。金の取り合いってのはなぁ。制限時間が過ぎたら終わりじゃねぇんだよ!これから先もずっと続くんだ。貴様が死ぬまでの間、生きている限り永遠に続くんだよ!!」
五十嵐は吊るされた堀川の腹を、顔を何度も何度も殴り倒した。罵声を浴びせながら、何度も、何度も。
「おい!やめろ!もうやめろ!そいつ死んじまうぞ」
直貴は言った。
「やめろ?ですって?おかしなことをおっしゃる。この男、堀川大輔を殴り殺しているのは私ではありません。堀川を殺したのは他でもない貴方自身ではございませんか。貴方は先ほどこの男から三〇〇〇万奪い取ったのですよ。こんな借金まみれのサンピン男が三〇〇〇万奪われるとしたら、それはもう死んだも同然、生涯かかっても手にできない金を奪われたのですから。理解しておられないようなのではっきりと申し上げましょう。この男を殴っているのは貴方、この男を殺したのは貴方でございます」
五十嵐は相変わらず笑顔のままで言うと、堀川のわき腹をもう一発殴りつけた。
「ごぶ****」
もはや声にならないうめき声とともに堀川の口からゲロまみれの血液が飛び散った。




