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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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緩むな・・・まだ、終わっていないのだから。

 ・・・何故?何故かはわかりませんが、敵はこちらの位置がわかるようですね。

 松下はカウンターの裏で必死に考えていた。

 外からは絶対に見えない筈、すると考えられるのは・・・。

 松下はあたりを見渡した。ふと目に付いたのは監視カメラだ。

 なるほど、もし敵が監視カメラの映像を何らかの方法で見ることができるのだとしたら、先の二発の狙撃に説明がつきますね。そして、もしそうなら、ここに隠れていることも既にばれていることになりますね。

 松下はこの時点で及川が監視カメラからのデータを元に追ってきていることに気付き、迅速に移動する。

 ・・・ここなら、カメラには映りません。フフフフ・・・あなたがどんな手を使ってカメラの映像を見ることができるのかはわかりませんが、その程度では私は倒せませんよ。

 とても小さな足音が静かに近寄ってくる。

 スッ・・・   スッ・・・

 そして、松下の隠れているところからわずかに、及川の足が見えた。

 来たな!

 及川の足が向きを変えた瞬間、松下は姿を表し、及川の背中へ向けて発砲!


 パァ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ァン!!!!!!


 及川は完全に虚を突かれた。

 振り返るとカウンターの一番奥に四角い穴、床下収納か!蓋が開かれて中から銃を掲げた松下が姿を表していた。

 及川の目に、してやったりといった松下の顔が映った。そしてその表情がゆっくりと引きつっていくところを及川は見ていた。松下の引きつって固まった表情に向けて及川は冷静に銃を構え、発砲!固まっていた表情は柔らかい肉片となって飛び散った。

 及川は松下の死体から金を抜き取ってから思った。

 甘いねぇ、今から銃撃戦をやろうって人間が、背中に防御を用意していないはずが無いだろう?

 及川は全身に雑誌や電話帳を仕込み、さらにフルフェイスヘルメットを被っていた。

 お前と俺との決定的な違いはやはり情報の量だ。俺は監視カメラでこのゲームのフィールド内をくまなく探し、防御に使えそうなものを探した。しかし、看板などの金属の板はちょうど良い大きさのものが無く持ち運びには少々重過ぎるものばかりだった。雑誌などの軽量な防御壁はいくらか点在していた。お前も胸に仕込んでいる。覚えているぞ。しかし、ヘルメットなどの頭を防御するのに適したものはこれ一つしかなかった。

 松下もまた急所を雑誌で防御していたが、頭に被っていたものは、鍋だった。もちろん顔は無防備。お前は俺の後ろ姿を見た瞬間、頭にヘルメットを被っている事を確認した、そして迅速な判断で心臓を狙ったのだろう。俺が体に雑誌を仕込んでいるという情報を持っていないからだ。そして、お前は最初の作戦がうまく行き過ぎたこともあって、少々舐めていたのだろう。自分以外の参加者は全て馬鹿なやつらだと。そうでなければ、俺の背中に雑誌が仕込んであることは推測できたはず、そういった緩みも敗因だ。勝負の前半で好調な奴が陥りやすい心理。僅かな緩み。しかし、その緩みが、その油断が、勝負の後半では命取りとなることはままある。

 及川は記憶しているゴールまでの道のうち最も狙撃や待ち伏せがしづらいルートを割り出し、速やかにゴールへ向けて移動を開始した。

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