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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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時間はゲーム開始時に遡る

 及川潤は銃を受け取ってこのゲームをスタートした。その後、およそ一〇分ほどでパソコンの部屋へ辿り着き、三〇分ほどでパソコンの中にあった全ての情報に目を通した。それは「綾」と同じく監視カメラの映像をハッキングしようとの考えのもとに行動した結果だった。次に彼が考えたのは銃についてだった。彼は銃を人生で一度も扱ったことは無かった。いざと言う時に使用する武器だ。経験の無い人間に扱える代物ではないだろう。彼は監視カメラのデータから下水道に隠れている男に目をつけた。

 人目につかない場所に一人で隠れていてくれると助かる。こちらも安全に試し撃ちを行いにいける。

 及川は下水道に隠れていた男に銃を放った。発砲することでどれほどの衝撃が腕にかかるのか?どれほどの音が発生するのか?どの程度の距離からなら素人でも安定した命中率を出せるのか?彼はその全てを的確に学習し、三〇〇〇万を奪ってから迅速にパソコンの部屋へ戻った。

 こうして及川はゲーム開始から一時間ほどでゲームの全てを理解した。そして、既に勝利するための効率のよい方法を考えついていた。


 クククククク・・・・予定通り、予定通り人数は減っている。そして金は一箇所に集まった。

 時間が経てば経つほどに人数は減っていく、そしてそれは金が一箇所に集まっていくということでもある。ゲーム開始時は一人を殺しても三〇〇〇万にしかならない。しかし、ゲーム後半なら話は別、一番たくさんの金を持っている奴を一人殺せばそれでいい。

 そして、その一人を殺す方法についても及川には考えがあった。

 パソコンが外に持ち出せない以上、この部屋での待ち伏せが有効な戦い方、しかし、こんなビルの最上階まで偶然に上がってくる奴は少ない。

 実際、及川がこの部屋で待ち伏せをはじめ、部屋の近くを偶然通りかかったのは一人だけ。及川はそいつを殺し、ここで所持金を六〇〇〇万とする。

 当然及川は理解していた。こんな小銭が目的ではない。及川はただ静かに部屋で待っていたのではない。及川は大物をおびき寄せるための撒き餌を行っていた。

 一番金を持った男を殺すにあたっての作戦。

 直貴達が松下の罠から逃げ出した後、松下が火災を発生させていた頃、及川のゲーム一日目は順調に、何一つ問題の無い終わりを迎えようとしていた。

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