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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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この世で、ギャンブラーほど愚かしい生物はいない。

 男の名は五十嵐勇樹 たった今、四倍役満をあがった男だ。

 ククククク・・・・

 あんな物もちろんイカサマに決まっている。全自動卓が主流になった現代の雀荘では、イカサマは昔と比べだいぶ少なくなった。

 そう、「少なくなった」のであって決して「無くなった」訳ではない。皆そこのところを誤解している。

 ギャンブルなんぞをする者は少なからず馬鹿なのだ。一般社会でのはみ出し者、頭が悪くて力も無い。その上努力する気もない。ただのクズなのだ。それでいて自分の能力の低さを認めもせず、運だけは誰にも負けないと言って強がる。そんなものはもはや負け惜しみ、一般社会で必要な能力である知能や体力といったものが他者より劣るが、運が太いのでギャンブルでは負けない?そんなに世の中甘くは無いのだ。

 それに、ちょっと考える頭があれば、ギャンブルはやらない方が正しいと解る。現代の主なギャンブルにパチンコ、競馬、麻雀、宝くじなどが挙げられるが、どれ一つとってみても負ける確率の方が高いのだ。麻雀や競馬ならまだ勝つ目もあるかもしれないが、パチンコや宝くじなどはもってのほか、絶対に客が負けるようにできているのだ。簡単な確率の計算ができるのなら、少し考えればこの程度のことはガキでも解る。

 ギャンブラーを自ら名乗る者達にはこれが解らないらしい。全くの馬鹿だ。

 それだけではない。ギャンブラーと言うのは少し勝ちが重なると途方も無いことを言い出す。「今週の俺は負けない。」「今なら勝てる。勝つ流れだ。」馬鹿馬鹿しい。そんなオカルトじみた言動を言い出すようではもう終わりだ。現実が見えていない。確率よりも理論よりも流れとか言う目に見えないものを重視すると言う。それで勝つのだという。それで勝てるのだという。全く愚かな話だ。ギャンブラーが信じてやまないその「勝つ流れ」というものがどれほどにもろい物なのか私はよく知っている。

 実際今日も、勝つ流れに乗っていたと言う愚かなガキに現実を教えてやったと言うわけだ。

 種明かしは簡単だ。実に簡単。この卓に入っていた私の両隣二人が私の味方であることは当然のこと、周りの卓で打っていた客の内、五人も私の味方。当然あのガキの手配を覗いて簡単なサインで俺に送ってくる。サインも実に簡単かつばれることは無い。私のスーツには携帯電話が全てのポケットに入っている。どの携帯がどのパターンのバイヴレーションで震えるかをチェックするだけ。これなら、他の人間と目線一つ合わせずにサインが通る。そして、この雀荘で使用されている物と全く同じタイプの雀牌を懐に潜ませておく。配牌がすんだ直後は自分の手配に目が行きがちで他人の手など眼中に無い。この隙に全牌取り替え。

 ギャンブラーの中にも当然頭のキレる奴が時々いる。しかし、それは悪魔でもギャンブルのルールの中でのキレだ。何をどうすれば勝てる確率がどうだとか。相手の心理は今こうだからこうしてやろうとか。そう言った頭のキレ。それゆえ、ギャンブラーはここまで到達できない。私達詐欺師とは既に論点が違う。ギャンブラーの決めたルールなどギャンブラーしか守らない。

 ククククククク・・・。ギャンブラーがいる限り私達詐欺師は食いっぱぐれない。

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